下北沢で“醤油ラーメン”ならココ！魚醤にこだわった「中華そば」が絶品

こんにちは、ラーメンインタビュアーの岡崎美玖です。東京都内を中心に年間約200杯以上のラーメンを食べ歩き、作り手の人柄や想いを伝える「ラーメンインタビュアー」として活動しています。

下北沢グルメといえば、カレーのイメージが強い方も多いと思いますが、実はラーメンもアツいんです。今回は「下北沢で唯一無二の“醤油ラーメン”を食べるならココ！」というお店をご紹介します。

今回ご紹介するのは、下北沢駅から徒歩6分ほどの場所にある「中華そばこてつ」。下北沢駅前から少し離れた一番街商店街に2016年にオープンし、今や『ミシュランガイド東京 2020』からビブグルマンとして4年連続で登場している人気店です。

今でこそ飲食店も多く並び、夏の風物詩「下北沢阿波踊り」のメイン会場にもなるほど賑やかな一番街商店街ですが、「開店当初はすごく静かだったんですよ」と、店主の大島徹也さんは話します。

19歳で上京して以来、都内で焼肉店、バーなど多数の飲食店で働いた中で「ラーメンが一番」で修業を積み始めます。

10年という長い年月を家系ラーメン店で修業した大島さん。しかし「より幅広い層に届けたい」「仕込みから完成まで全てを1人で完結できるラーメン屋をやりたい」という思いがあり、家系ラーメンと比べあっさりとした味わいで、なおかつ作業工程も少ない“中華そば”を軸にしたラーメン店での独立を決意します。

当時は経験したこともない新たな味づくりを一から始めることに、修業先の店主や家族から猛反対を受けたのだそう。

「最初、賛成してくれる人は周りに1人もいませんでした。お店を回すことは修業先で経験しているから、あとは味を完成させるだけ・・・とポジティブに考え、反対を押し切って前に進みました。そんな僕の姿を見て、最終的には周りの人も『頑張れ』と背中を押してくれましたね」（大島さん）

そんな大島さんが営む同店でぜひ食べていただきたいのが、看板メニューの「中華そば」（800円）。

麺の上には、焼豚、メンマ、かいわれ大根、ネギがトッピングされています。

スープは鶏ガラをベースにしており、そこに昆布や椎茸、煮干し、3種の節を加えてつくる出汁、3種の醤油（薄口・生・たまり）、そして「いしる」とも呼ばれる石川のイカで作られた魚醤をブレンド。一度食べたら虜になる味わいです。

「ふと手に取ったイカの魚醤がとてもスープに合ったんです」と話す大島さん。いしるは味の力強さを出すのに絶対不可欠な、こてつのラーメンを支える調味料なのだそうです。

口に運んだ瞬間、キリッとした表情をみせながらも奥深いうま味とコクが口いっぱいに広がります。あと一口、もうあと一口、とスープをすくうレンゲが止まりません。

細麺は八王子にある製麺所「田村商店」さんのもの。何種もサンプルを取り寄せ、こだわりのスープとの相性を研究したのだそう。

「味づくりの勉強も兼ねて色々食べ歩いたところ、つつじヶ丘の『柴崎亭』さんの麺に惚れ込み、同じ製麺所さんの麺を使用することにしたんです」（大島さん）

最初の一口目から最後の一口までパツパツとした食感が印象的な麺は、スープと上品に絡み合い、スルスルと食べられてしまいます。

「ラーメン店にあったら自分が嬉しい」という大島さんの思いから作られた、サイドメニューのご飯ものもオススメ。

3種の丼ものの中でも一番人気だという「チャーシューごはん」（300円）は、程よく炙られた香ばしい焼豚とご飯の相性もバツグン。おろしソースが添えられているので、さっぱりいただけて大満足の一品です。

「今年で7年目になりますが、常連さんに支えられてここまでやって来れました。また来てくれるようなお店を目指していきたいですね」（大島さん）

店内には常連さんとの会話が飛び交い、和やかな雰囲気も印象的な「中華そばこてつ」。日々、自分の理想とする味を追い求める大島さんの手掛ける醤油ラーメンを味わいに、ぜひ訪れてみてくださいね。