浅草には、江戸時代の落語家さんや落語の世界観が色濃く残っているんです

瀧川鯉斗さんのおでかけの相棒は?プライベートなおでかけ事情と落語の魅力を語る!_1099388

――瀧川鯉斗さんのプライベートでのおでかけには、”相棒”がいるという。

 

「バイクに乗ることが好きなので、ツーリングがてら出かけることが多いです。最近は『東京ゲートブリッジ』がお気に入り。左右に海が広がっていて、バイクで渡ると、海の真ん中を走っているような気分になるんです。もちろん東京メトロにもよく乗りますよ。寄席に出演しているときは複数の演芸場を分刻みのスケジュールでハシゴすることが多いので、渋滞などに巻き込まれる心配のないメトロでの移動は欠かせません」

 

――当初は俳優にあこがれて名古屋から上京した鯉斗さん。上京当時の思い出を懐かしそうに振り返る。

 

「上京したての頃は、新宿の飲食店に住み込んでアルバイトをしながら生活していました。立ち並ぶ高層ビルや人混みに圧倒されて、とても刺激的な日々を過ごしていました。毎日お金がなくて大変でしたけど、すごく充実していましたし、新宿は今でも大好きな街の一つですね」

 

――仕事柄、特に頻繁に通っているエリアがあるという。

 

「『浅草演芸ホール』のある浅草、『新宿末廣亭』のある新宿三丁目、『池袋演芸場』のある池袋……これらの街には定期的に通っています。それぞれ街ごとの”色”があって良いですよね」

 

――中でも、鯉斗さんの大のお気に入りは浅草。

 

「東京の下町と呼ばれているだけあって、話し言葉や生活様式のそこかしこに江戸の文化が残っているんです。浅草にいるだけで落語の世界観を感じられるといいますか、自分にとってはとても居心地の良い街です。個人的に、少し古めかしい居酒屋が好きなので、昔ながらの飲み屋街がたくさん残っているという点でも浅草は魅力的です。今でも良さそうなお店があると、一人で入ってしまいます(笑)。浅草の中でもまだまだ散策できていない通りがたくさんあるので、機会があれば居酒屋のハシゴをしたいです」

 

――今秋、鯉斗さんがチャレンジしたいのは、大好きなバイクに関わること。

 

「今年こそ、北海道へツーリングに行ってみたいです。先日落語会に出演するために旭川へ行って、”北海道熱”が改めて高まりました。茨城県の大洗港からフェリーに乗って苫小牧港まで行って、そこから日本最北端の街である稚内市の宗谷岬をバイクで目指すという計画を立てています。北海道の海の幸もたくさん食べたいですし、ぜひ実現させたいですね」

まだ落語を知らない人たちに、少しでも落語の魅力を伝えていきたい

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――鯉斗さんが噺家を志したのは運命的な出会いから。

 

「当時アルバイトをしていた新宿のレストランで月に1度、落語会を開いていたんです。そこで師匠である瀧川鯉昇の落語を初めて見て、すごく感動して。その日の打ち上げの席で『弟子にしてください!』とお願いしました。その場ではお断りされたのですが、次の日から3カ月間、寄席に通って落語というものに触れ、改めて師匠にお願いをして弟子入りを許していただきました」

 

――それから15年間、噺家として大切な資質を学び2019年に真打に。

 

「長いようであっという間でした。真打になってからも落語が相変わらず楽しいですし、今回のように取材をしていただくことで、落語に初めて興味を持ってくださる方もいらっしゃると思うのですごくありがたいです」

 

――そこで、落語に馴染みのない人に向けて落語の魅力を語ってもらった。

 

「都内には“寄席”と呼ばれる、毎日休まず落語の公演を行っている劇場が3~4カ所あります。寄席では常時10人前後の落語家さんが15~30分ずつ喋るのですが、落語家さんによって客層が変わるので面白いです。同じ演目でも、落語家さんによって喋り方が違うなどの面白さもあります。寄席なら漫才や講談、紙切りや手品など落語以外の演芸も行われるので、日本語が理解できれば誰でも楽しめると思います。例えば僕がよく出演する『浅草演芸ホール』なら、3,000円程度で5時間近く楽しめます。もちろん、いつ出ても自由なので、お目当ての人が出番を終えたら帰ってもよし、だらだらと見続けてもよし。とにかく寄席の雰囲気を味わっていただきたいです」

 

――修行時からのクセで、普段の生活でも常に落語のことを考えているという。

 

「家では録画してある落語の映像を見たり、読書をしたりしています。中でも山本一力さんの小説が好きで、よく読んでいます。日本語の美しさもそうなのですが、読んでいるだけで江戸時代にタイムスリップしたかのような気分に浸れるのが心地よくて」

 

――この根っからの”落語脳”は、師匠の影響も大きいそうで。

 

「昔、師匠の家にお邪魔した際にトイレをお借りしたのですが、そのときにトイレの壁にも落語のセリフが貼ってあったのを見て『あの師匠でも、まだこれほど練習しているんだな』と感じました。自分もがんばらなければと思っています」

 

――自身が掲げる理想の落語家は、もちろん師匠である瀧川鯉昇。

 

「いつか師匠のような偉大な落語家になりたいと思っています。自分は落語以外にも色々なお仕事をさせていただいているので、まだ落語を知らない人たちに、少しでも落語の魅力を伝えていけたら良いなとも思います。皆さんにはとりあえず気軽な気持ちで、寄席や落語会に足を運んでいただきたいです。今年のクリスマスには独演会も開催するので、ぜひお越しください!」

photo:Yasuyuki Emori text:Kei Osawa

Profile & Information

瀧川鯉斗(たきがわ・こいと)

1984年1月25日生まれ。愛知県出身。

2002年上京。新宿のレストラン「赤レンガ」 で住み込みのアルバイト生活をしている中、その店で後の師匠となる瀧川鯉昇の独演会を聴いたことから落語に魅せられ、2005年に入門。2009年二ツ目に、2019年5月に令和では初となる真打に昇進。現在は落語家として各種興行や寄席に出演するほか、ファッション誌でのモデル出演、TVドラマやバラエティ番組への出演など、その活躍は多岐にわたる。

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第六回 瀧川鯉斗 東京独演会

第六回 瀧川鯉斗 東京独演会

日時:12月25日(月)19時(開場:18時半)
会場:渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
昨年より年3度のペースで開催している独演会の第6回目。スペシャルゲストを迎え、独演会ならではのディープな鯉斗ワールドが繰り広げられる。チケットぴあにてチケット好評発売中。

本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2023年10月25日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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