ロケ地巡りが趣味の映画ソムリエがナビゲート!
こんにちは。映画ソムリエの東紗友美です。
心地よい気候の日も増え、街を歩くのがますます楽しくなる初夏。本記事では、そんなさわやかな季節にピッタリなロケ地、恋愛映画『アナログ』(2023年公開)に登場するスポットをご紹介します。
待つことの尊さを改めて教えてくれる恋愛映画『アナログ』
電話もインターネットも使わない”アナログな世界”での男女の恋の行方を描いた映画『アナログ』。ビートたけしさんが70歳のときはじめて書き上げた”おとなの恋愛小説”が原作で、現代を舞台に、携帯を持たない女性との恋を描いた恋愛映画です。
手書きや手作りにこだわるアナログを慈しむデザイナーの水島悟を二宮和也さんが、水島が出会う携帯を持たない謎めいた女性みゆきを波瑠さんが演じた同作は、昨年公開され、大ヒットを記録しました。
既読、未読、入力中・・・。相手が何をしているのかが見えすぎて、返信をすぐ焦ってしまうこの時代ですが、この映画は待つことの尊さを改めて教えてくれる、涙なしでは見られない本当に素敵な映画でした。常に繋がっていようとする安心感よりも、すぐに会えない・連絡を取れない相手との絆を信じる気持ちが清々しく、個人的には、さわやかな恋愛映画を求める人が多い初夏の季節にピッタリな映画だと感じています(現在はAmazon Primeなど各種配信サイトでも観ることができます)。
携帯を持っていないので、毎週決まった曜日に決まったカフェで待ち合わせる二人。その後に向かう焼き鳥屋やコンサートホール、海の桟橋なども素敵で、大人のムード漂うさまざまなデートスポットを知ることができるのも、この映画の魅力の一つです。
そうした作中に登場する数あるスポットの中から、本記事では、二人がお蕎麦デートを楽しんでいたお店をロケ地としてご紹介したいと思います。
二人が蕎麦屋デートを楽しんだ、大人の雰囲気が漂う一軒へ/志づや

ある日のデートにて。待ち合わせ後、目的地に向かう途中で、悟のスマホのバッテリーが切れてしまいます。
「どうしよう・・・お店もうちょっとのはずなんだけどな・・・」と焦る悟に対して、普段からスマホを持たないみゆきは冷静に「あっちじゃないですか?行ってみましょう」と路地を進んでいくんです。不安げな悟に「でも、楽しいですよ(ニコリ)」と笑いかけ安心させてくれます。
地図アプリはたしかにとても便利ですが、いつもスマホの画面を見すぎるあまり、街に対する生の感覚が乏しくなっていたこと、知らない道を歩く楽しさを忘れてしまっていたことに気付かされる素敵なシーンです。到着までにもドラマがあります。
そんなデートで二人が向かっていたのがこちら。美味しいお蕎麦をいただける、上野の「志づや」です。

東上野エリアに位置し、下町の路地裏に静かな佇む同店。まるで京都の老舗料理店のような、大人っぽい雰囲気の外観です。この入り口は、映画でも映っていましたね。
劇中では、二人はここで蕎麦打ち体験をしてから、挽きたてのお蕎麦をいただくんです。そば打ちのシーンは短いのですが、それでも1時間ほどカメラを回していたことを、映画公開後にキャストさんが話していました。

店内に一歩足を踏み入れると、洗練された空間が広がります。BGMは京都をイメージしたものを流しているんだとか!和モダンのインテリアが映える大人っぽいテイストで、都会の喧騒から解き放ってくれるようです。『アナログ』の世界観にも繋がっているような場所だと感じました。

劇中で使っていた座席は、店内の右奥。オーナーさんによると、『アナログ』の公開以降、ロケ地巡りとして足を運んだというお客さんが20組ほどいるそうで、やはりみなさん、二人がお蕎麦を食べたこちらの席を選ばれるみたいですよ。
映画の撮影時(2022年秋ごろ)から現在までにテーブルが変わっているのですが、同じ席で食事をしたい方は、ぜひ右奥の席を選んでください。

二人が食事デートを楽しんだ席に着いて、私が頼んだのは「せいろ」(1,000円)。
劇中では、毎日仕事に追われてばかりいた悟の時間が、スマホを持たないみゆきとの恋がはじまってからゆったりと流れていくのがとても印象的なのですが、そんな『アナログ』のシーンを思い出しながらいただくせいろは味わい深かったです。
細切れのそばはスルスルとのど越しが良く、その香り高さも相まって、あっという間に完食してしまいました。やっぱり夏に向かうこの季節、冷たいお蕎麦は一段と美味しく感じられますね。
ちなみに劇中でも登場するこのせいろのつゆは、「かつおだし」と「羅臼昆布だし」2種類から選べ、劇中では「かつおだし」を食べていたそうです。より作品への没入感を味わいたいならかつおだしのチョイスが良いかもしれません。

そしてこちらは店員さんのオススメであり、志づやの大人気メニューでもある「かき揚げ」(700円)です。
伝わりますか?この高さのあるかき揚げ!湯呑みと並べてみても分かるとおり、ボリューミーで立体的なかき揚げ、新鮮です。衣の質感から具材のサイズまで、理想的です。

お塩をつけながらいただく、 サクサクのかき揚げは絶品でした。小エビとホタテと九条ネギとわさび菜が入っているそうです。海も山も一つに!こちらもぜひ、このお店に来たら食べていただきたい一品です。

▲一般的に、ダイエットや便秘などにも良いとされる蕎麦湯。食後に全身に沁み渡ります
食後には蕎麦湯をいただきました。志づやの蕎麦湯は、各テーブルに用意されている「そば粉」を器に入れ、自分でお湯を注ぐという珍しいタイプ。お茶を点てるときのようなこの一手間もまた、アナログな時間と繋がっているようで、自分を労っているようなひとときを過ごせました。

▲店内に蕎麦打ちスペースがあります
残念ながら、現在は劇中で二人が体験した蕎麦打ち体験は行っていないのですが、悟とみゆきの食べたお蕎麦を味わうだけでも十分作品の世界に浸れます。運がよければオーナーの蕎麦打ちを見ることもできるのだそう。
ちなみに蕎麦打ちを二人に教えたのも、こちらのオーナー。二宮さんも波瑠さんもとても気さくで良い方だったそうで、二宮さんの手先の器用さが印象に残っているそう。二宮さん、なんでもできるんですね・・・!

私は今回お昼どきに訪問。この記事に必要な写真を撮り終えた後はしばらく、静謐で粋な隠れ家的空間に浸ってしまいました。束の間、スマホを持たないみゆきの気分を味わうことができたような気がします。
映画や主演二人のファンはもちろんですが、上野恩賜公園やアメ横も近い好立地にあるので、ぜひ気軽に訪れてほしいロケ地でもあります。街歩きや散歩デートが楽しいこの時期に、大人の雰囲気の漂うお蕎麦屋さんで一休みしてみるのはいかがでしょうか?

〒110-0015
東京都台東区東上野 2-4-3
上野駅
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※本記事内の情報は2024年05月29日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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