ロケ地巡りが趣味の映画ソムリエがナビゲート!
こんにちは。映画ソムリエの東紗友美です。
2024年9月6日(金)より劇場公開される映画『ナミビアの砂漠』。今、最も注目されている俳優の一人である河合優実さん主演で、今年のカンヌ国際映画祭にて国際映画批評家連盟賞を受賞した話題作です。
本記事では、そんな注目作の魅力を紹介するとともに、劇中に印象的に登場するロケ地を紹介します。
河合優実演じる主人公の生命力に圧倒される衝撃作『ナミビアの砂漠』
同作は、日々を目的なく過ごしながら2020年を生きる主人公カナの日常を追いかけた青春映画。
21歳のカナにとって将来について考えるのはあまりにも退屈。自分が人生に何を求めているのかさえ分からず、何に対しても情熱を持てず、恋愛ですらただの暇つぶし。同棲している恋人ホンダは家賃を払ったり料理を作ったりして彼女を喜ばせようとするけれど、カナは自信家のクリエイター、ハヤシとの関係を深めていくうちに、ホンダの存在を重荷に感じるようになり―――というあらすじです。
私は一足先に試写会で鑑賞したのですが、これは数年に1度の衝撃作であり、余韻から抜け出せない、まるで劇薬のような映画だと感じました。
悪態をつきながら、喧嘩腰になりながら、文句ばかり言いながら、タバコをふかしながら、飲みすぎて吐きながら、繊細なハートを自分からバキバキに壊しにいく。ずっとずっと生きることに必死で、ぜんぜん人生が上手くいかないのに、まだ何もかも諦めていない。そんなそのカナの生命力に終始圧倒され、映画が終わった頃にはカナという存在にただただ揺さぶられてしまいました。
彼女はただただ世界を睨みつけているんです。でも睨まれていたのは、自分の気持ちに嘘をついて生きてばかりの私なのかもしれない。鑑賞後、そんなことを考えつつ、映画全体から醸し出されるパワーに打ちひしがれながら、試写室を後にしました。
鑑賞者の心を鷲掴みにするカナを熱演したのは、2019年のデビュー以来、数多くの映画賞に輝く注目俳優の河合優実さん。
2024年のドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)での熱演が話題となり、その後も映画『あんのこと』『ルックバック』など話題作への出演が続いています。
そして河合さんと併せて注目していただきたいのが、監督・脚本を務めた山中瑶子さんです。
山中監督は、初監督作『あみこ』(2017年)でPFFアワードの観客賞を受賞。その後、第68回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に史上最年少で招待されるなど、各国の映画祭で評判となり、注目されている人物です。
実は主演の河合さん、山中監督の『あみこ』を観て女優になりたいと思い、山中監督に「いつか出演したいです」と直接伝えていたのだそう。その願いが叶えられたのが、この映画『ナミビアの砂漠』なのです。
運命的に出会っていた二人がタッグを組み、共に力を注いだ本作。スクリーン上では、演じたいと渇望する河合優実、撮りたいと渇望する山中瑶子の情熱と強い意志が交差しているのが伝わってきました。
“物語が始まる場所”となったカフェで、映画の余韻に浸る/SEPIA CAFE
この唯一無二の光を放つ青春映画は、町田駅前のロングショットから始まります。カナは駅前から歩き出し、すぐ近くにあるカフェに到着。そこで友達と再会し、おしゃべりをして過ごすところから物語が動き出します。
カナは“共感性に乏しい”という一面があり、それがこの物語を突き動かしていく要素の一つとなるのですが、このカフェでの3~4分ほどのワンシーンは、その特性が表情から、会話の内容から伝わってくる貴重なシーンとなっています。
先日、鑑賞後の興奮冷めやらぬまま、このロケ地となったカフェ「SEPIA CAFE(セピアカフェ)」へ行ってきました。
自然光が入ってくる店内は、奥行きがあり広々とした落ち着いた空間です。座席の種類も豊富で一人で訪れても、友人たちと来ても、子連れで来ても、どんなシチュエーションでも居心地よく過ごせそうな空間でした。
入り口から右に向かったちょうど中間辺り、カナが友人とのおしゃべりで座ったのは窓際のこちらの席です。柔らかな光が差し込むおしゃれなテーブル席で、カナは友人と再会。窓越しに町を行き交う人々を眺めながら、時を過ごします。
このシーンでカナが食べていたのは、ちょっと分かりにくいのですが、このラブリーな「アニマルパフェ」(各980円)のいちご味だったそうです。
劇中ではパフェと断定できなかったため、オーナーに伺いました。白とピンクが混じりあったこの一品、美味しそうで「ヨーグルト?」「アイス?」と鑑賞中から気になっていたんですが、こんなにかわいいパフェだったとは!こういった発見がロケ地巡りの醍醐味ですよね。
みてください・・・!このボリューム感。このラブリーさ。写真は絶対に撮りたくなりますね。食べるのが惜しい気持ちを堪えながら、完食いたしました。
ドリンクは劇中でオーダーされていたのと同じ、アイスティーとアイスコーヒーをいただきました。
取材時は劇中に登場したメニューを忠実に頼んでみましたが、カフェメニューとしては料理からデザートまで幅広くあり、豊富なメニューの数々にワクワクしました。
また、劇中には登場していませんが、食器やおしぼりにはお店の方による手書きのメッセージが。やさしい店員さんとオーナーの心意気が細部にもあらわれており、そんなところもロケ地巡り先としてオススメしたい理由の一つです。ちなみにオーナーに伺ったところ、吉高由里子さん主演の映画『婚前特急』(2011年公開)にもロケ地として登場しているそうです。
まもなく迎えるシルバーウィーク。連休中はぜひこの注目作を映画館で観ていただきたいです。鑑賞後は物語の始まりとなるこのカフェで、余韻に浸ってみてくださいね。
『ナミビアの砂漠』
公開: 2024年9月6日(金)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
〒194-0013
東京都町田市原町田 4-4-5 平野屋第3ビル1F
町田駅
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東京都町田市原町田 4-4-5 平野屋第3ビル1F
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※本記事内の情報は2024年09月02日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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