マンホール巡り歴15年の鉄蓋観賞愛好家がナビゲート!
暇さえあればマンホール蓋を巡るようになって15年余り、少なくとも10万基のマンホールを巡った鉄蓋観賞愛好家の白浜公平です。華やかなデザイン蓋も、歴史を語る骨董蓋も、これといった特徴の無いように見える地味蓋も、みんな大好きです。
今回は「たくさんの種類の素晴らしい蓋を見るならココ!」として川口駅周辺のスポットをいくつかご紹介します。
鋳物の街・川口ならではのマンホール巡り

▲「鋳物のまち」であることを主張する蓋。川口駅東口の1階出口周辺に多数あります
金属を加熱して溶かし、型に流し込んで造ったものを「鋳物」と言いますが、マンホールの蓋もその鋳物製品の一つです。
川口は古くから鋳物産業が盛んで、現在もマンホール蓋を造っている工場が多数ありますし、都市化のため今は工場を郊外に移したけれど「元々は川口に工場があった」という会社も多くみられます。このことから、川口はマンホール蓋に縁の深い街と言えるわけです。
マンホール蓋は基本的に同じデザインのものが量産され設置されますので、普通は一つの地域でたくさんの種類の蓋を見ることは難しいです。しかしここ川口では、豊富な種類かつ一つ一つにこだわりのある素晴らしいデザインの蓋を一度にたくさん見ることができます。
珍しい蓋と職人の技術力が発揮された蓋/川口駅東口

まず川口駅東口の1階出口前にある蓋からご紹介します。こちらは全国でも珍しいJRのデザイン蓋。マンホール蓋の王手製造元・長谷川鋳工所の製品で、その創業者の夢に出てきたデザインが施されているのだそうです。
同じく駅東口にある川口市のデザイン蓋には、鋳物職人の高い技術力がいかんなく発揮されています(マンホールカードにもそう書かれています)。
写真は、中央に市の花である「テッポウユリ」を配置し、周囲に川口市の特産品「竹ざる」を表現したデザインの蓋。この蓋にはその技術力の高さがよく表れています。
通常、マンホール蓋の凹凸の高さは一定なのですが、この蓋では緩やかな曲線を使っています。竹ざるを編んだ雰囲気がよく表現されており、鋳物なのに柔らかみのある秀逸なデザインとなっているんです。
さまざまな色づかいのモザイクアートの蓋/川口銀座商店街

▲「トンボ」がデザインされた蓋
川口駅から東へ数分歩くと、樹モール(川口銀座商店街)に出ます。ここにはモザイクアートを使った蓋がいくつも並んでいるんです。もちろん蓋そのものは鋳物でできていて、デザインの骨格も鋳物で造られています。
蓋の周りのモザイクアートも素敵ですので、ぜひあわせてご注目ください。
「トンボ」の他にも「気球」「魚」「鳩」「テッポウユリ」「太陽」といったデザインの蓋があり、色づかいもさまざまです。これらを見ながら散策すると、とても楽しく歩けます。全ての種類を撮影しようとすると、とても忙しくなります。
15種類の星座をデザインした蓋/ふじの市商店街

▲「はくちょう座」をデザインした蓋
樹モールを北へ進んで市役所前通りを越えると、ふじの市商店街に入ります。ここには、星座をデザインした蓋がいくつも並んでいます。
十二星座に加えて、「おおぐま座」「はくちょう座」「カシオペヤ座」をデザインした蓋もあり、なんと15種類ものデザイン蓋があります。色違いの蓋もあるため、こちらでも全てを撮影しようと思うとさらに忙しくなります。頑張ってください。
ビール工場の記憶を留める蓋/サッポロビール工場跡地
かつて川口駅の北側には、サッポロビールの埼玉工場がありました。2003年に工場が閉鎖された後に再開発され、現在は大規模マンションや大型ショッピングセンター「アリオ川口」が建ち並ぶ区域になっています。
マンションに住む方々や地域の方々の交流の場「クラブハウス」の前には、サッポロビール埼玉工場で実際に使われていたと思われるマンホール蓋が、モニュメントとして埋め込まれています。
ビール工場が立地していたことを記念するモニュメントとして鋳物であるマンホール蓋を選ぶとは、さすが鋳物の街・川口ですね。
おまけ:マンホール蓋にゆかりのある青いポスト
川口駅周辺マンホール蓋巡りはこれで終わりですが、最後にマンホール蓋にゆかりのある「青いポスト」について語らせてください。
ポストはマンホール蓋と同じ鋳物で造られています。こちらの「青いポスト(正式名称は未来型郵便ポスト)」は、そんな地場産業の鋳物を市民に知ってもらうためにと設置されたのだそう。川口市内に工場を持つ会社・吉村工業が製造したのですが、実はこの会社、郵便ポストを造っていた縁で、現在ではNTTのマンホール蓋を多く造っています。
ここで「郵便ポストとNTTに何の関係が?」と疑問が沸きますよね。
色々調べていくと、現在では日本郵政株式会社とNTTという全く別の組織によって運営されている郵便事業と電話事業は、元々は明治時代から存在した逓信省が管轄していたという史実に辿り着きます。つまり古くから逓信省の製品を扱っていた縁で、吉村工業は現在も多くのNTTの蓋を造っているということです。
こんな風にマンホールをきっかけに周辺の歴史をたどるのも、マンホーラー的楽しみ方の一つです。
川口銀座商店街
所在地:埼玉県川口市栄町3-9-11
最寄駅:川口
ふじの市商店街
所在地:埼玉県川口市幸町2-17-1-101
最寄駅:川口
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※本記事は2023年03月29日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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