マンホール巡り歴15年の鉄蓋観賞愛好家がナビゲート!

暇さえあればマンホール蓋を巡るようになって15年余り、少なくとも10万基のマンホールを巡った鉄蓋観賞愛好家の白浜公平です。華やかなデザイン蓋も、歴史を語る骨董蓋も、これといった特徴の無いように見える地味蓋も、みんな大好きです。


今回は「犬好きがマンホールをみるならココ!」という渋谷のスポットをご紹介します。

銅像だけでなく蓋にもなったハチ公

▲渋谷駅前にある「忠犬ハチ公像」

▲渋谷駅前にある「忠犬ハチ公像」

忠犬と称されるハチ公は、飼い主の上野英三郎博士が亡くなった後も博士の帰りを待ち続け、毎日のように駅まで迎えに行ったといわれています。その健気な姿が話題を呼び、銅像にもなりました。


この像の前で待ち合わせをしたことがあるという方は多いでしょう。しかし、足元にもハチ公がいることをご存じでしたか?

渋谷でハチ公に所縁のある“犬マンホール”巡り!鉄蓋愛好家・白浜公平のイチ推し。_750212

こちらがその“足元のハチ公”です。ハチ公がデザインされているこの四角いマンホール蓋は、像の周辺に数枚設置されています。ハチ公は渋谷のシンボルであり、歴史でもありますので、これは渋谷ならではのデザインといえるでしょう。


マンホール蓋の魅力はいくつもありますが、そのひとつがこの「ご当地性」です。全国にあるデザインマンホールは、その土地の歴史や魅力が詰まったデザインになっていることが多く、マンホール蓋を通してその土地をより深く“体験”することができるのです。

道玄坂、それは犬に縁のある坂

▲副都心線開通時、2008年の道玄坂(最近は地面の写真ばかり撮っていて、坂全体を写した写真はこれしかありませんでした)

▲副都心線開通時、2008年の道玄坂(最近は地面の写真ばかり撮っていて、坂全体を写した写真はこれしかありませんでした)

渋谷駅ハチ公口前から目黒方面へと続く道玄坂は、渋谷の中でもとりわけ賑やかな繁華街になっています。この道玄坂の名前の由来には諸説ありますが、鎌倉時代に道玄という山賊が出没したことによる・・・という説が有力だそう。


そんななか、この道玄坂の名前を新しい解釈で表現した、とてもユニークなデザインの蓋が存在するんです。

  • ▲道玄坂に設置されている蓋

    ▲道玄坂に設置されている蓋

  • ▲「人」の部分を青く塗りました

    ▲「人」の部分を青く塗りました

こちらがその蓋です。道玄坂に多数設置されています。オシャレな雰囲気の蓋で、よく見るといくつもの工夫が凝らされています。


まず目につく中央の金色の部分には「DOG・EN・SAKA」と書かれています。道玄坂(DOGENSAKA)を、変なところで区切っていますが、これは「犬(DOG)・縁(EN)・坂(SAKA)」と、道玄坂が犬に縁のある坂であることを主張しています。そして渋谷に縁のある犬というのはもちろんハチ公のことですね。


さらにデザインを細かく見てみましょう。何が見えましたか?凹凸のくぼみの部分に、行き交うたくさんの人々が見えたのではないでしょうか。多くの人でにぎわう渋谷のイメージにピッタリですね。(上の写真をスライドさせると「人」の部分に色を塗った写真が出てきます)

  • ▲回転させると別の柄が見えてきます

    ▲回転させると別の柄が見えてきます

  • ▲「犬」の部分を赤く塗りました

    ▲「犬」の部分を赤く塗りました

でもそれだけではありません。今度は90度画像を回転させて眺めてみてください。凹凸のでっぱりの部分がたくさんの犬に見えませんか?凹凸をうまく使って人と犬とを表現した、素晴らしいデザインですね。(上の写真をスライドさせると「犬」の部分に色を塗った写真が出てきます)


まだそれだけではありません。実は、尻尾を巻いた犬と首輪をした犬とが1匹ずついます。探してみてください。本当に素晴らしいデザインです。

こんなところにも犬が

  • ▲汚水桝の蓋。渋谷にもたくさんあります

    ▲汚水桝の蓋。渋谷にもたくさんあります

  • ▲5匹の犬と犬小屋に色を塗りました。

    ▲5匹の犬と犬小屋に色を塗りました。

こちらは、東京23区内であれば渋谷以外でもよく見かけるデザインの蓋です。小型の蓋で、正確にはマンホールではなく汚水桝の蓋といいます。建物と下水道管の間に設置されるものですので、マンホール蓋の並びから地下にある下水道管の位置を想像しつつ、探してみましょう。道玄坂の周辺で分かりやすい場所だと、地下鉄A6a出口近くにある1番エレベーター前に一つあります。


この蓋には東京都のシンボルであるソメイヨシノ・イチョウ・ユリカモメがデザインされています。ユリカモメは分かりにくいのですが、デザインの外周部に波線で表現されています。


しかしこのデザインは、マンホーラーの間で犬の集会蓋と呼ばれることがあります。桜の花びらを犬の顔に見立てると、5匹の犬が仲良くエサの載ったお皿を囲んでいる様子に見えるからそのように呼ばれています。(上の写真をスライドさせると「犬」の部分に色を塗った写真が出てきます)


犬ではなくカピバラの顔に見えるという人も多く、犬派とカピバラ派の間で一大論争(犬カピ論争)にもなったのですが、ある日、下の部分に犬小屋があることに気がついた人が現れました。これを受けて、この議論は犬派の勝利ということで一応の決着をみています。


このように、自由に見立てて想像を広げることができるのも、この趣味の楽しみのひとつです。

渋谷道玄坂 (渋谷道玄坂商店街)
  • 所在地

    東京都渋谷区 道玄坂1-19-1 (渋谷道玄坂商店街振興組合事務所)

  • 最寄駅

    神泉

  • 電話番号

    03-3461-0933

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※本記事内の情報は2023年02月19日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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