マンホール巡り歴15年の鉄蓋観賞愛好家がナビゲート!
暇さえあればマンホール蓋を巡るようになって15年余り、少なくとも10万基のマンホールを巡った鉄蓋観賞愛好家の白浜公平です。
八冠独占した藤井聡太竜王・名人の活躍に沸く将棋界ですが、千駄ヶ谷が将棋の聖地であることはご存じでしょうか。
千駄ヶ谷には日本将棋連盟の本部も入っている「東京・将棋会館」があり、プロの棋戦もこの地でよく開催されています。そんな将棋会館の周辺には将棋にまつわるデザインの蓋や、この地とともに歴史を歩んできた蓋などがあり、マンホール好きにとっても見どころが多いんです。
今回は、北参道駅を起点に蓋巡りをしながら将棋会館へ向かってみましょう(ちなみに私は囲碁はアマチュア初段ですが、将棋は「観る将」です)。
将棋漫画のデザイン蓋から歴史ある蓋まで!/千駄ヶ谷マンホール巡り
北参道駅を出て国立能楽堂に向かい北に進むと、千駄ヶ谷のメインストリート、千駄ヶ谷大通り商店街に辿り着きます。その中にある「エフワン北参道」というビルの前に設置されているのが、写真のマンホールです。
こちらは『3月のライオン』という将棋を題材とした漫画に登場するキャラクターを描いた蓋。千駄ヶ谷エリアには同作のキャラクター蓋が6種類9枚設置されています。
写真は「王さまニャー」を描いたもの。作中では、将棋をあまり知らない読者に駒の役割やルールを解説してくれます。色鮮やかな配色も目を引きますが、この蓋の見どころは何といっても造形の細かさです。この細かいデザインを、よくぞ鋳物で造ってくれました。
主人公の「桐山零」をデザインした蓋も。史上5人目の中学生棋士という設定(物語開始時点では17歳)ですが、連載中に現実世界に5人目の中学生棋士(もちろん藤井聡太さんのことです)が誕生し、17歳のうちに史上最年少でタイトル「棋聖」まで獲得してしまいました。作者の羽海野チカさんも「現実が漫画を上回っている」とボヤいたそうです。
このデザインの蓋は「東京海上日動能力開発センター」の前と「鳩森八幡神社前交差点」付近の2カ所に設置されています。
登場人物の1人「川本モモ」がデザインされている蓋です。主人公と深く関わることになる川本家の三姉妹の末っ子です。鋳物とは思えない造形の細かさが際立ちます。
このデザインの蓋も主人公の「桐山零」の蓋と同じく、東京海上日動能力開発センターの前と鳩森八幡神社前交差点付近の2カ所に設置されています。
渋谷千駄ケ谷郵便局の前まで来たら、細い道を右へ曲がって少しだけ寄り道をしてみましょう。ゆるやかな坂を70mほど下ったところにあるクランク状に曲がった場所にとても珍しい蓋が残っています。
「センホール」として地元の方に親しまれており、商店街の公式サイトなどでも紹介されているこの蓋。千駄ヶ谷は昭和7(1932)年に東京市に編入されて渋谷区の一部となりましたが、それ以前は東京府豊多摩郡千駄ヶ谷町といって、東京市郊外の町の一つでした。この蓋はその時代に設置されたもので、千駄ヶ谷町の下水道の蓋です。
「センホール焼き」というどら焼きまで作られたこともあるようで、今後も街のシンボルとして残り続けることでしょう。
郵便局まで戻り再び東へ進むと、登場人物の1人「川本ひなた」がデザインされた蓋があります。川本家の三姉妹の次女で、主人公と同じ高校に通うことになります。
このデザインの蓋は、「アライビル」の前と「MTビル(MT BLDG)」の前の2カ所に設置されています。
少し進むと、水色の壁がおしゃれな「LAITIER」という喫茶店が見えます。この喫茶店の脇にある「止まれ」の標識の根元に、古くて小さな蓋があります。「水止栓」と右書きで書かれた、千駄ヶ谷町水道の蓋です。
「センホール」と同じく、東京市に編入される前の千駄ヶ谷町時代の蓋ですが、こちらはあまり知られていないようです。千駄ヶ谷町水道の蓋は片手で数えるほどしか確認されていない貴重なものですので、ここまで来たらぜひ見ておきましょう。
ヒンジ付きの別種の蓋が鳩森八幡神社近くの「INビル(IN BLDG)」の前にもありますので、そちらも将棋会館へ向かう際に確認してみてください。
登場人物の1人「二階堂晴信」がデザインされています。主人公のライバルでかつ親友ですが、病弱という設定です。この蓋は「千駄ヶ谷アパート」の前に設置されています。
登場人物の1人「川本あかり」がデザインされています。川本家の三姉妹の長女で、一家の大黒柱。祖父の経営する和菓子屋「三日月堂」の看板娘との設定です。この蓋も千駄ヶ谷アパートの前にあります。
鳩森八幡神社の裏手まで来ると、将棋の聖地、東京・将棋会館に到着です。
1階と2階は誰でも利用できるスペースになっていて、1階には売店、2階には道場があります。売店には将棋に関するグッズが並び、売れ筋は扇子とのことです。道場ではさまざまな年代の方が将棋を楽しまれていますが、ピリピリとした緊張感のある独特な空気が流れています。
主人公「桐山零」をデザインした蓋のマンホールカードも配布されている、この東京・将棋会館。来年2024年には千駄ヶ谷駅近くの新しいビルに移転することになっています。この機会に、マンホール巡りとあわせて数々の名勝負の舞台となった将棋の聖地を訪れてみてはいかがでしょうか。
〒151-0051
東京都渋谷区千駄ケ谷 2-39-9
北参道駅
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※本記事内の情報は2023年10月26日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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