年200杯のラーメンを食べるラーメンインタビュアーがナビゲート!

こんにちは、ラーメンインタビュアーの岡崎美玖です。東京都内を中心に年間約200杯以上のラーメンを食べ歩き、作り手の人柄や想いを伝える「ラーメンインタビュアー」として活動しています。今回は都内で絶品手打ち麺を食べるならココ!」というお店をご紹介します。

ここでしか食べられない。蕎麦屋出身店主のこだわりが光る自家製麵/手打ち 蓮

▲住宅街の中に佇む「手打ち 蓮」

▲住宅街の中に佇む「手打ち 蓮」

都営大江戸線・新宿線の森下駅から徒歩6分ほどの場所にある「手打ち 蓮」。店主・林宏樹さんは、鉄板焼き店で働いたのち蕎麦屋で蕎麦打ちを経験、さらに人気ラーメン店での修業を重ね、同店をオープンさせました。


家族経営でホールはお母様が担当され、林さんは味づくりに集中。とても和やかな雰囲気も魅力の一つです。

▲店主の林宏樹さん(右)とお母様(左)

▲店主の林宏樹さん(右)とお母様(左)

同店のウリは林さんが生み出した自家製麺。手打ち“風”に機械で打つ手法がある中で、「自家製で純粋な手打ち麺を提供したい」と「手打ち」に強いこだわりを持つ林さん。一人で麺を打つため、現在は1日約110食の提供が限界とのこと。


2022年の開店以来、瞬く間に「美味しい手打ち麺が味わえる」と話題になった同店ですが、オープン当初は不安もあったのだそう。


「実は予定より2年ほど早くオープンしてしまい、こんなに早い段階から、たくさんのお客様が来てくださるようになると思っていなくて・・・。開店当初は、昼はラーメン屋で、母が焼鳥が得意なので夜は焼き鳥屋か蕎麦屋の二毛作営業を検討していたほどでした。おかげ様で色んな方に来ていただけて、今はラーメン屋一本で行けるところまで行こうと思っています」(林さん)

▲醤油ら~めん(880円)

▲醤油ら~めん(880円)

そんな同店でぜひ食べていただきたいのが、人気メニューの「醤油ら~めん」(880円)


麺の上には、焼豚、ホウレンソウ、なると、味玉、海苔、メンマがトッピングされています。ホウレンソウのトッピングも相まって、新潟県のご当地ラーメンである「新潟生姜醤油ラーメン」の雰囲気も感じ、オリジナリティの中にもさまざまなエッセンスが光ります。

驚くほどモッチモチ!森下「手打ち 蓮」の“絶品手打ち麺”_1244624

スープは、一口飲めば何層にも重なった鶏や醤油のうま味がじんわりと押し寄せてくる絶品。生姜が入っていることで身体がぽかぽかと温まります。さらに生姜は鶏独特のクセを抑える役目も担っているのだとか。


合わせるかえし(=ラーメンのスープの「タレ」のこと)には、合計7種類の醤油を使用。うち3種類は少しクセのある醤油で、それらをみりんと料理酒と合わせて火にかけクセのある香りのみを程よく飛ばすことで、スープを飲んだ時の奥深さやコクにつなげているのだそうです。


「かえしは『半生かえし』(=少量の醤油を加熱して砂糖、みりんなどを加えたものに非加熱の醤油に混ぜ合わせる調理法)という技法で作っています。ラーメン屋では珍しいと思うのですが、実は蕎麦屋ではよくある技なんです。何種類もの醤油を加えているのは、素材を掛け合わせる“ブレンド”が元々好きなんですよね」(林さん)

驚くほどモッチモチ!森下「手打ち 蓮」の“絶品手打ち麺”_1244625

そして、とくに注目していただきたいのが、同店の目玉である打ち立て麺!一口啜れば、お餅のようなもちっとした食感に虜になること間違いなし!


麺は、切ったあとに手でもむことで生み出されるウェーブがかった見た目が特徴。ふわっとした唇触りも心地良く、インパクトのある麺に驚きながらも箸が止まりません。

蕎麦のエッセンスを取り入れながら独自の自家製麺を確立

▲「打ちたての生めんを少し口に入れたときに、『雪見だいふく』の皮のような甘みがほんのりするものがベストな状態です」(林さん)

▲「打ちたての生めんを少し口に入れたときに、『雪見だいふく』の皮のような甘みがほんのりするものがベストな状態です」(林さん)

そんな麺には、林さんが厳選した国産小麦を使用。もちもち食感を生み出す岩手県産「もち姫」と、香り高い北海道産「和華」の2種類の小麦粉をブレンドしたものを使っているのだそう。


「開店当初『もち姫』を使った麺を打ちたいと決めて、それに合わせる小麦粉をいくつか厳選しました。そして数百通りほどある中から、香りと味を決め手に現在の配合を選定しました」(林さん)

▲小麦粉をはじめ、ラーメンづくりに使用している素材はカウンター前の黒板に記載されています

▲小麦粉をはじめ、ラーメンづくりに使用している素材はカウンター前の黒板に記載されています

小麦粉をこねる時は「蕎麦をイメージしながら」と話す林さん小麦粉に水を加えて手で攪拌(かくはん)し、粉にまんべんなく水を行き渡らせる「水回し」の作業を、丁寧に一番時間をかけて行っているのだそう。


また、麺を作るときに小麦粉に加えられる水分の割合「加水率」も、独特のもっちりとみずみずしい麺を作り上げるのに重要な要素。


それについて林さんは「3回打てばその小麦の配合に合った加水率がピンときます」とのこと。蕎麦屋時代から磨き上げてきた職人の感覚に驚きです。ベースの加水率がありながらも「気温や季節によって都度加水率を変えていくのが美味しさの秘訣」と言います。

▲タイミングが良いと待合席から見られる“手切り”。ライブ感も満載です

▲タイミングが良いと待合席から見られる“手切り”。ライブ感も満載です

また、麺は切ってから10時間以内のもののみを使用。麺がフレッシュであればあるほどスープを吸ってくれてより美味しい一杯に仕上がるのだそうです。

▲店主の林さん(左)と筆者(右)

▲店主の林さん(左)と筆者(右)

都内では中々味わうことのできない純手打ち麺のお店「手打ち 蓮」。時間と手間をかけて、人の手で生み出される手打ち麺はまさに職人のなせる技!ぜひこだわりの一杯を味わってみてくださいね。

スポット
手打ち 蓮

〒130-0025
東京都墨田区千歳 3-16-2

森下(東京都)駅

〒130-0025
東京都墨田区千歳 3-16-2

森下(東京都)駅

本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2023年10月28日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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