3,000基以上の古墳を巡ってきた、古墳シンガーがナビゲート!
「古墳は空から見ないと意味がない」「歴史苦手だから無理」・・・いえいえ、そんなことはないのです。1500年前には16万基も造られたという古墳は、現在でもコンビニの約3倍の数あり、実はいまでも身近に残る“誰でも楽しめる”存在なのです。
本記事では、古墳シンガーで古墳にコーフン協会会長の私まりこふんが、知られざる古墳の魅力、そして古墳の歩き方をご紹介!今回は千葉県にある「個性爆発のロフト付き横穴墓群」です。
舟や鳥、家・・・さまざまな線刻画が描かれる古墳へ!/長柄横穴群
横穴墓は、古墳時代後期に流行した崖に穴を掘りお墓にしている“古墳のマンション”のような場所です。以前、こちらの記事でも紹介しました。
ただ崖に穴を掘っているだけなので、どの穴も同じように見え、なんだか横穴墓って地味だなぁ~と思われがち。しかし今回ご紹介する「長柄横穴群」に行ったらきっと横穴墓の印象が変わると思います。それだけ長柄横穴群は魅力的な横穴墓群なのです。
長柄横穴群は古墳時代の終末期、7世紀頃に造られた横穴墓群です。第1支群と第2支群に分かれていて、そこにある36基の横穴墓がすべて国史跡に指定されています。
この長柄横穴群の最大の特徴は、何といっても、全国でこの地域にしかない「高壇式」という形態の埋葬施設であるということ。「高壇式」というのは、羨道(入口部分)とほぼ同じ高さに造られることが多い玄室(遺体が眠る場所)を、羨道の床面から約1.5~2mほどの場所に配置しているタイプで、ロフト付ワンルームのような形状をしているのです。
初めてこの横穴墓を見た時は衝撃的でした。遺体を置く場所をわざわざ高く造るのにはどんな理由があるのでしょうか。造るのも大変だし、埋葬するのも、掃除だって大変だと思うんです。それでもこの形態の埋葬施設を造ったのは地域独自のアイデンティティみたいなものを表現したかったのかもしれませんね。
階段を上りロフト部分を覗くと、どこの穴にも遺体を安置するための棺座が2~4つほど造られていました。
「『ここに誰誰を置いて、こっちには~・・・』みたいな話し合いがあったかもしれない」なんて妄想すると、古代人をより身近に感じます。
そして、この精巧な棺座、前もって造ったものを取り付けたのではなく、すべてくり抜いて造られているという点に驚愕です!当時の職人さんの技術の高さが伺えます。
また玄室の内部の天井を見ると、家の屋根のような形やアーチ形になっていたり、肋骨のような加工がされていたりと、それぞれの穴ごとに形状がさまざまでオシャレです。
現代の家紋のように玄室の形状が家ごとに違ったのかもしれませんし、単に流行りがあったのかもしれませんね。
さらには鳥や人物などの線刻画が描かれている横穴墓もあります。中でもたくさんの線刻画が見られるのは13号墓の内部。舟や鳥、家や人物、五重塔や4階建ての建物のような絵が描かれているんです。
とくに右側壁にある五重塔のような線刻画は、仏教が伝わり古墳時代が終ろうとしている転換期ならではの貴重な線刻画ですね。あの世へ旅立っていく埋葬者への想いを込めて描かれた線刻画なのかなぁと思うと、一つ一つの絵をじっくり見たくなり、時間がいくらあっても足りないです。
今回ご紹介した中だと13号墓は一般見学はできないのですが、近くにある「史跡長柄横穴群資料館」で、13号墓の内部を再現したレプリカを見ることができます。細かな線刻画も含め精巧に再現されているので、レプリカでも十分に迫力を感じられますよ。
個性爆発な長柄横穴群。造った人たちや葬られた人たちのこだわりを感じに、ぜひ訪れていただきたいです。
〒297-0213
千葉県長生郡長柄町徳増
茂原駅
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〒297-0213
千葉県長生郡長柄町徳増 850−1
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※本記事内の情報は2023年11月11日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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