4,000軒以上のカレー屋を渡り歩く、カレー愛好家がナビゲート!
今や東京を代表する人気カレー店となった「SPICY CURRY 魯珈(ロカ)」。各種メディアでの紹介だけでなく、最近はお菓子メーカー、スーパー、コンビニなどとのコラボでもその名を目にすることが多くなりましたが、建物の老朽化による建て替えに伴い移転、2023年6月7日に新店舗にて再スタートを切りました。
今回は平成28(2016)年のオープン以来人気が途絶えない秘密を、ちょっとマニアックにレポートしてみましょう。
東京を代表する人気カレー店「SPICY CURRY 魯珈」とは?
▲2016年オープン当時の「魯珈」
「SPICY CURRY 魯珈」(以後「魯珈」)がオープンしたのは、平成28(2016)年12月1日。インドカレーと台湾の屋台メシ、魯肉飯(ルーローハン)を組み合わせたお店ということで、オープン時からカレーマニアの間で大変な話題となりました。
話題になったのはその奇抜なコンセプトだけではありません。オーナーシェフの齋藤絵理さん(通称:えりつぃん)は当時快進撃を続けていた南インド料理店「エリックサウス」出身。おりしも2年前の平成26(2014)年にはエリックサウスから独立した「大岩食堂」がオープンし注目を集めていたこともあり、エリックサウス卒業生への期待が高まっていたのです。
さらに齋藤さんは学生時代、当時東京に店舗があった台湾の魯肉飯専門店「鬍鬚張魯肉飯(ヒゲチョウルウロウハン)」でアルバイト勤務の経験もあるということで、まさに南インド×台湾魯肉飯という経歴の持ち主。
奇抜さへの好奇心から半信半疑で訪れ、その料理を食べたカレーマニアたちは皆思ったことでしょう。「やられた!」と。南インドのカレーと台湾の屋台メシがここまで違和感なくマッチするものかと。
▲2016年オープン当時の「ろかプレート」
もちろんただ両者をあいがけしただけではありません。ライスにはあきたこまちをターメリックで炊いたものを用いるなど、細かいアイデアと工夫が最初からありました。
“普通は” 南インドカレーにあきたこまちは合わせないし、“普通は” 魯肉飯にターメリックライスは用いない。なのに「なんちゃって」にならずしっくりくるのは店主自身が分かっているから。
インド料理と台湾料理両方の調理を分かっていることに加え、彼女自身が物凄い勢いでカレーを食べ歩くカレーマニアだからこそ、客の勘所が分かっていたのですね。
かくして、はじめ興味本位だった客は次々と「魯珈」の味の虜になり、その評判は口コミでぐんぐんと広がっていきます。ワンオペながら、厨房とホールと行列をテキパキと捌き、お客みんなに気を配る店主「えりつぃん」のファンもぐんぐん増えていきました。
また、限定メニューなどでカレーの内容が変わっても、中央の黄色いご飯に魯肉飯と玉子を乗せたビジュアルはひと目で「魯珈」と分かるアイコニックさで、SNSで他とはっきり区別できたのも認知が急速拡大した理由でしょう(これ、人気カレー店の重要要素だと思ってます)。
翌年には、私も選考委員を務めた「JAPANESE CURRY AWARDS 2017」の新人賞を受賞。以後の躍進ぶりは、もう細かく語る必要はないでしょう。
ちなみに店名の「魯珈」は魯肉飯の「魯」と咖哩の「咖」を合わせたもの。口偏だと変換に難があるので「珈」にしたそうです。
すぐ隣のビルへと移転、再スタートした「魯珈」
大久保の路地、シュミネビルの1階で6年半営業を続けた「魯珈」ですが、建物の老朽化による建て替えに伴い2023年5月末で一旦営業を休止。そしてわずか一週間後の6月7日、すぐ左隣の建物である新宿タウンプラザビルにて移転再スタートを切りました。
元々の場所のすぐそばに移転先が決まったのは、両ビルのオーナー同士の連携があったからだそう。地域に愛され、地域と支えあってきたお店だからこその展開ですよね。
新しい店舗はスケルトンの状態から、内装やレイアウトを組み上げていったそうで、旧店舗での営業を続けながら準備ができたのはご近所ならでは。
席数自体は旧店舗とほぼ同じながら、L字カウンターの拡張により店主と客の対面コミュニケーションはよりスムーズに。
メニューは以前と変わらずカレーと魯肉飯。両方を組み合わせた名物「ろかプレート」(1,250円)が基本です。
その時々の限定カレーは店内に掲示されています。迷ったらまず魯肉飯と好きなカレー1種類を組み合わせられる「ろかプレート」と、追加で限定カレーを「ぷち」サイズで注文するのがオススメ!
今回オーダーしたのは「ろかプレート(ラムカレー) 」(1,350円)+「痺MAX★茄子牛肉咖哩 (ぷち)※限定カレー」(200円)。
オープン以来変わらない、キャッチーなビジュアル。しかし実際に食べてみると、この6年半でとてつもなく進化していることがわかります。
まず進化しているのが、ライスの上に盛られた魯肉の部分。以前の魯肉は八角など台湾テイストを感じる味わいを“表面”にまとった豚肉で、ご飯にその汁が染み込むウェットさでした。
ですが、現在の魯肉は“豚肉自体”にその香りやうま味が染み渡っており、ドライテイストに。そのためカレーと魯肉が混ざっても味が均一化せず、肉を噛むたび台湾のアイデンティティが顔を見せるのです。
そしてカレー。オープン当時は「エリックサウス」の血を受け継いだ南インドカレーという色合いが濃かったのが、今や完全に独自の「魯珈」カレーとなっているんです。
基本的に「魯珈」のカレーはスパイスがバチバチに効いていて、グイグイと攻めてくるタイプなのですが、実はもたれるような重たさがないことに気がつきます。そしてもう一つ、塩加減が意外なほど抑えめであるということにも。だから一口めのインパクトから最後まで、食べ疲れることなくいただけるんですね。
それでいて物足りなさを全く感じさせないのは、スパイス使いの巧みさと食材のポテンシャルの高さゆえ。それはラムカレーの具材である羊肉自体が美味しいことによく表れています。
羊肉好きの私は他店でもラムやマトンのカレーをよく頼むのですが、具材の羊肉はうま味がカレーに染み出した後のスカスカ状態なことが案外多いんです。けれど「魯珈」は違う。肉が軟らかい上にうま味がギュッとしているんです。
聞けばそもそも良い羊肉を使っていることに加えスパイスマリネして一晩漬け込んだ肉をカレー調理の後半になって加えているのだそう。だから肉自体のうま味も閉じ込めつつ、中まで味が行き渡っているんですね。
▲画像提供:SPICY CURRY 魯珈
ライスはターメリックで硬めに炊いた、大潟村産のあきたこまち。日本米の中でもツブ立ちがよく、弾力ある食感も相まって、魯珈飯にも、シャバシャバカレーにも合う絶妙さ。「カレーの半分は米なので、米をおいしく食べていただくことは大事」と齋藤さん。
さりげない副菜にも工夫が。高菜にはマスタードオイルを用い、インドと和の中間に。モヤシは南インドのポリヤル(=角切りの野菜を揚げたものにスパイスを加えた料理)と韓国のナムルの間をとり、これまた魯肉とカレーのどちらにも合うバランスが考えられているんです。
そして「ぷち」で足した限定メニューの「痺MAX★茄子牛肉咖哩」には、花椒や八角など中華スパイスに加え豆苗も用いられており、バチバチの四川テイストを感じられました。
台湾とインドのコラボレーションから始まった「魯珈」ですが、今やアジア各国のアイデンティティがぶつかることなく共存し、互いの良さを高め合うダイバーシティの境地に。これこそが、カレーという料理が持つ可能性そのものなのでしょう。
今でも休みの日には、気になるカレー店を求め食べ歩いているえりつぃんこと齋藤絵理さん。そのカレーの世界はこれからもどんどん進化していくことでしょう。
・・・おっと、最後に一つ、大切なことを忘れていました。この「魯珈」に来たらラッシーを頼まねばなりません。
▲「ラッシー 」(400円)
今やどこでも頼めるラッシーですが、ここのラッシーを飲むとその概念が変わります。自家製で「逆さにしてもこぼれないほど」の濃度なんです(あ、実際に逆さにしないでくださいね)。
しかもカルダモンのブワッとした香りが魅惑的!何せこのラッシーのためにカルダモンを殻ごと挽いているんですから、別格の味わいなのは当然なんです。ぜひ飲んでみてくださいね。
ランチ営業は9時30分から、夜営業は16時から店頭にて記帳受付が始まります。混雑時には開始時刻前から記帳待ちの列ができることもあるので、少し早めの時間の訪問がオススメですよ。
〒169-0073
東京都新宿区百人町 1-24-8 新宿タウンプラザビル BF-J
大久保(東京都)駅
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※本記事内の情報は2025年01月12日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
※本記事は2023年07月16日に公開した内容を一部加筆・修正した上で、2025年01月12日に再公開しております。
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