4,000軒以上のカレー屋を渡り歩く、カレー愛好家がナビゲート!
最近、「冷やしカレー」の進化が止まりません。
カレーを冷やして食べるなんて、ピンとこない人が多いかもしれませんね。けれどフレンチにも冷製スープがあるし、中華にだって冷やし中華がある。暑いインドにだって冷たいカレーがあるんです。
栄養満点、スパイスの刺激で食欲増進、それでいて涼しげでさわやか。まさに「夏のパーフェクトフード」ともいえる「冷やしカレー」ですが、中でも今年、めちゃくちゃクリエイティブな一皿を楽しめるお店をご紹介しましょう。
昨夏の衝撃再び!とにかくスゴい「冷やしカレー」を味わえるスパイス料理店/Vaji spice
毎年8月、渋谷区では「ジャパニーズカレーフェスティバル」というカレーのお祭りが開催されます。昨年(2023年)、そのスタンプラリー参加店の中で、めちゃくちゃスゴい「冷やしカレー」でエントリーしたお店があったんです。
お店の名は「Vaji spice(ヴァジ スパイス)」。こちらがその時の冷やしカレーです。

▲「Vaji Spice」2023年夏の冷やしカレー
いやぁ、本当にびっくりしました。
まずビジュアルの美しさが圧倒的、そして食べたらビックリ、本当にしっかり考え抜かれていて、めちゃくちゃ美味しかったんです。いったいこの店、何者なんだろう?インド料理店?創作料理店?それとも・・・???
実際、このカレーはめちゃくちゃ話題になり、カレーに対する優れたクリエイティビティが評価され、年末にはなんと日本のカレー文化に貢献したお店を表彰する「JAPANESE CURRY AWARDS 2023」を受賞。
そんなカレー界に旋風を巻き起こしたVaji spiceが2024年も新作冷やしカレーをリリースしたという情報をキャッチ。これは見逃すわけにはいきません。

▲開放的な店内
▲ケーキやクッキー、かき氷といったスイーツも人気
Vaji spiceがあるのは、代々木公園の参宮橋門から道路を一本挟んだすぐ脇。代々木八幡駅、代々木公園駅からだと歩いて6分ほど。おしゃれなカフェのような佇まいです。店内にはペットOKのエリアもあり、公園散歩帰りのワンちゃん連れにも人気なんですよ。
さて、2023年夏に衝撃的な冷やしカレーをリリースしたVaji spiceですが、2024年の夏は果たして??
結論から言えば、さらに驚きを増したすばらしい冷やしカレーが誕生していたのです。
2024年夏、驚きがいっぱいの「新・冷やしカレー」をご覧あれ

▲2024年夏の冷やしカレー「カツオのひんやり夏物語」(2,750円、9月8日まで提供予定)
うわぁ!何ですかこれは!?
面白い。そして美しい。けれど、いったいこれはどんなカレーなのか??脳の処理が追いつきません。

2024年夏の冷やしカレーは、「カツオのひんやり夏物語」(2,750円、9月8日まで提供予定)。涼しげなガラス皿と、左右に色分けされた2種のカレーはどちらも「冷やし仕立て」です。
向かって左側の色の濃いカレーは、Vaji spice夏の定番「夏野菜のカレー」。冷製ラタトゥイユさながら、夏野菜のうま味と食感を堪能することができます。

一方、向かって右側の黄色いカレーは「ダル(豆)カレー」。フレンチの冷製スープ「ヴィシソワーズ」をイメージして作ったそうで、豆は裏漉しされていて滑らか。
そしてスプーンにのった透明の具材(?)は、なんと「出汁のジュレ」。口に含むと出汁のうま味がジュワッと広がり、豆カレーと溶け合って、実にたまりません!!

さて、一番気になってしょうがないのは、ライスの上に鎮座した白い球体。実はこれ「たま麩(たまふ)」といって、愛知県岡崎市の名物なんです。
その上にのっているのは「鰹の漬けアチャール」(アチャール=南アジアの漬物)。見た目は完全に和なのだけど、食べるとピリッとスパイシーなんです。なるほど、お魚の刺身や漬けだったら、冷たい料理も自然に受け入れられますよね。

小さな器で添えられているのは「スパイス出汁」。

一旦「鰹の漬けアチャール」を脇に寄せ、この「スパイス出汁」を「たま麩」の中に注ぎ込みます。

出汁でふやけてやわらかくなった「たま麩」をスプーンで切り崩していくと、中には栄養たっぷり「鰹の血合いアチャール」が。
お麩とダブルの鰹、そして出汁、とっても意外な和素材なのだけど、ちゃんと冷やしスパイス料理になっているのが面白い!・・・っていうか、実は和の料理にスパイスって無理なく合わせられるんだなぁ、という驚きがあります。

ライスはインドの「バスマティ米」と日本酒の仕込みに使う酒米「山田錦」(滋賀県産)のブレンド。滋賀の酒蔵「冨田酒造(有)」さんで仕込みに使っている米を譲っていただいているそうです。
写真下側のライスの上には米糠で漬けた漬物がのっていて、クローブ、スターアニスなどのスパイスがさりげなく用いられています。一方、お皿の脇に添えられた漬物はナス、ズッキーニ、パプリカの「ウールガイ」(南インド式のアチャール)。
2種の冷やしカレー、たま麩、Wの鰹と出汁スープ、和印融合ご飯とお漬物。ここまでたくさんの要素を徐々に混ぜ合わせてゆくことで、どんどん味が変わり、最後まで飽きることなくいただける楽しさ。
徹底的な、和素材とインドのスパイスとの融合、そのさまざまな技巧が結局、シンプルに「美味しいカレー」体験となっていることには、本当にビックリさせられました。
この冷やしカレー、スゴすぎます!
Vaji spiceって一体何者なの?
▲珍しいジョージアの水餃子「ヒンカリ」(1個あたり280円)。モンゴル帝国の支配下にあった時代の影響を受けている
▲「発酵ラッシー」(700円)。米麹を用いた甘酒のようなラッシー。砂糖不使用なのに甘酸っぱさがある
あまりに衝撃的な冷やしカレー、それを生み出したVaji spiceって一体何者なのでしょう?
メニューには本格インド料理の「ターリー」や「ビリヤニ」があり、一見すると「インド料理店?」と思うのだけど、そこかしこに「和」の要素が入っている。しかもサイドメニューやドリンクなど、どこを見ても自由かつクリエイティブ。
一体このお店は・・・??ディレクターの竹中朋子さんにお話を伺いました。

▲写真右がVaji spiceディレクターの竹中さん。柔らかな接客が魅力の奈良谷店長とともに「JAPANESE CURRY AWARDS」のメダルを手に
「“インドと和の融合”、“日本の食卓にインドのスパイスを”っていうのが基本テーマです。実は『Vaji spice』って店名もそこからきています。 甘味、塩味、酸味、苦味、うま味という日本の5味に、インド料理の刺激である辛味、渋味を加えると『7つの味』になる。7という数をインド数字で書くと『٧』、英語のブイの字に似ているんです。だから『7つ=V』の『味=aji』で『Vaji』なんですよ」(竹中さん)
へぇぇ、店名にそんな意味が!だからスパイスと和の素材、とりわけ発酵食材をふんだんに用いているわけだ。
「スパイス料理って本来自由なものだと思うんです。だからそれをどんどん楽しんで、お客様にも楽しんでいただきたくて。新しい料理は、スパイスとハーブに精通した料理研究家のカラミちゃんと一緒に作り出しています」(竹中さん)
なるほど、新しいスパイス料理を自由に生み出すチームワークも背景にあるのですね。
代々木公園の脇にひっそりと佇む、スパイス料理のお店。実はとんでもない可能性を秘めたお店なのでした。

〒151-0053
東京都渋谷区代々木 5-63-10
代々木八幡駅
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東京都渋谷区代々木 5-63-10
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※本記事内の情報は2024年08月01日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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