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本記事では、カフェとしても立ち寄りたい鎌倉の穴場的なお庭を紹介します。
鎌倉の路地裏に佇む景観重要建築物/旧大佛次郎茶亭
東京近郊の古都といえば鎌倉。有名でステキな神社・寺院も数多くある鎌倉ですが、本記事で取り上げるのは「そんな鎌倉に魅せられ、鎌倉の景観を守る活動をした」文人の旧宅とそのお庭。
時には観光客でごった返す、JR鎌倉駅から鶴岡八幡宮へと至る参道。その参道から一本道を外れた路地裏に佇む、黒塀に囲まれた茅葺屋根の古民家が「旧大佛次郎茶亭」です。
大正~昭和の時代に活躍した小説家・作家、大佛次郎(おさらぎじろう)がかつて別邸として用いていた建物で、関東大震災以前の大正8(1919)年の建築なのだそう(※大佛の所有となったのは昭和の戦後から)。鎌倉市の景観重要建築物にも指定されています。
近代から昭和にかけて鎌倉を拠点として執筆を行っていた作家たちは「鎌倉文士」と呼ばれ、大佛次郎もその一人でした。ペンネームの“大佛”も長谷の大仏(鎌倉大仏)に由来しています。
大佛の鎌倉での活動は執筆に留まらず、戦後の高度成長期に宅地開発が進むと、鎌倉の自然と歴史的な景観を守るための運動を展開。イギリスの「ナショナル・トラスト」を日本に紹介し、その活動は多くの共感を呼び、日本の「古都保存法」の制定にも繋がることとなりました。
そんな古都鎌倉の景観を守った街の恩人のような人物の旧宅。以前も定期的に特別公開が行われていましたが、2019年には売却・解体の可能性が一部メディアにて報じられ、その行く末が心配されました。
しかしその後、古都鎌倉の歴史的文化遺産を現代に残そうと手を上げた新たな所有者のもとで「一般社団法人大佛次郎文学保存会」が設立。建物の修復を経て2023年より保存・活用が試みられています。
そして2024年秋には「カフェ 大佛茶廊」がグランドオープン!
現時点(10月)では土・日曜日のみの営業しているオープンしたての穴場カフェ・・・なのですが、情報のキャッチが早い方々によって早速にぎわっているそう。
コーヒー、お抹茶、甘味といった定番メニューから、鎌倉の地ビールまで!収益はこの歴史的建造物の維持・保存に役立てられます。カフェをきっかけに、鎌倉の景観を守った大佛次郎のことを詳しく知るのもまた良いですね。
そしてカフェ利用時にぜひ注目していただきたいのが、カフェスペースから眺められる美しいお庭。実は旧大佛次郎茶亭の敷地の半分以上を占めるのが、このお庭なんです。
大佛は桜の季節になると客人を招いていたといいます。桜以外にも建物の前の藤棚と梅、広い芝生の奥に位置する池泉の周りにはツツジなど四季折々の花木があり、季節を彩っています。もちろん、これからの季節は紅葉も!
併せて、縁側の庇の「網代編み」など、茶人が好んだ数寄屋風のデザインが各所に見られる点にも注目を。職人の技・デザインが光ります。
かつて大佛次郎が客人たちとそうしたように、お茶を楽しみながら美しいお庭を眺めれば、時間の経過も忘れて豊かな時間を過ごせるはず。鎌倉観光の際にはぜひ訪れてみて!
〒248-0005
神奈川県鎌倉市雪ノ下 1-11-22
鎌倉駅
〒248-0005
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※本記事内の情報は2024年11月15日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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