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シュウマイを長く食べ続けるため「焼休日」を設けるほど、ほぼ毎日シュウマイを食べ続けている、シュウマイ研究家のシュウマイ潤です。


本記事では「長崎ちゃんぽんのお店のシュウマイならココ!」ということで、東京・恵比寿にある「どんく」を紹介します。

恵比寿の古き良き飲食店街のシンボル的存在/どんく

▲どんくの外観。2階が目立ちますが別のお店なので間違って入らないようご注意を

▲どんくの外観。2階が目立ちますが別のお店なので間違って入らないようご注意を

長崎ちゃんぽんにシュウマイ?と、思われる方も多いのではないでしょうか。実際、某長崎ちゃんぽんチェーンのお店ではシュウマイは出していませんし、本場・長崎のちゃんぽん店でも、シュウマイがある店とない店が存在。“定番の組み合わせ”というわけではありません。


ところが東京の長崎ちゃんぽんを出すお店には、なぜかシュウマイがあることが多く、しかもそのほとんどが名シュウマイなのです。本記事では、そんなシュウマイを提供している都内の長崎ちゃんぽん店の中から、昭和57(1982)年創業の恵比寿の名店「どんく」をご紹介したいと思います。

▲外看板には豪快に「ちゃんぽん」の文字が

▲外看板には豪快に「ちゃんぽん」の文字が

どんくがあるのは、恵比寿駅西口から徒歩5分ほどの場所。恵比寿はモダンな今っぽい飲食店も多いエリアですが、西口界隈は古き良き東京を思い起こさせるような飲食店が目立ち、どんくはそのシンボル的な存在の一つです。

 

コンパクトな入り口とは対照的に、店内は30名ほどが入れそうな広さ。木目調の使いこまれたテーブルと椅子が並び、どこか落ち着く雰囲気です。

 

現在お店はランチとディナーそれぞれの営業ですが、同店の常連である知人曰く、かつては通し営業(ランチからディナーまで休みなく営業すること)をしていたそう。恵比寿で働いていたその知人は仕事を早々に切り上げ、どんくで「昼飲み」を楽しむこともあったと教えてくれました。


ちなみに2023年10月現在、ディナー営業は17時から。開店直後にお店に入りましたが、すでに常連さんらしき人でにぎわっていました。

▲「長崎ちゃんぽん」(1,000円)。味もさることながら、ボリュームも大満足

▲「長崎ちゃんぽん」(1,000円)。味もさることながら、ボリュームも大満足

「長崎ちゃんぽん」はどんくの創業時からの看板メニュー


長崎ちゃんぽん素人な私ですが、シュウマイ研究家として長崎ちゃんぽんとの親和性を探るうちに、「美味しい長崎ちゃんぽんか、そうでないか」は分かるようになりました。


ポイントは「スープ」と「麺」。スープはどれだけ多様な具材のうま味を凝縮させられるか。そして「麺」は、本場長崎のもちもち太麺を使用しているか。


もちろんどんくは、そのどちらもクリア。たっぷりと炒めた具材のうま味が凝縮されたスープ、そこに太麺が渾然一体となった美味しさは、つまみにもピッタリ。飲んだ後に食べるにも良い塩梅です。

 

と、素人の化けの皮が剥がれそうなので、そろそろシュウマイの話題に移りましょう。

超ヘビー級なのに、おかわりしたくなる「富士山型シュウマイ」

▲左「海老シュウマイ」(4個880円)、右「肉シュウマイ」(4個720円)

▲左「海老シュウマイ」(4個880円)、右「肉シュウマイ」(4個720円)

シュウマイは「肉シュウマイ」と「海老シュウマイ」の2種類。まず驚くのが、その大きさ!「超ヘビー級」といっていいでしょう。通常のシュウマイは30gで大ぶりサイズといえる中、これは70g超!子どもの握り拳ぐらいあります。

 

そしてそのフォルムも特徴的。通常シュウマイというと円柱型をイメージすると思いますが、こちらは土台から頂上にかけてなだらかにすぼまっていく「山型」。私はこのフォルムのシュウマイを勝手に「富士山シュウマイ」と名付けています。

▲繊細で美しい断面

▲繊細で美しい断面

「肉シュウマイ」は、長崎のブランド豚「雲仙クリーンポーク」のひき肉を使用。そこにタマネギ、シイタケ、ショウガ、海老のすり身などをよく練って仕上げた味わいは、繊細ながら複雑なうま味が濃縮されています。またその豪快な出立ちとは裏腹に、噛み締めると、なんともやさしい食感が口の中に広がるのもポイントです

“名シュウマイ”のある長崎ちゃんぽん店!恵比寿「どんく」_1564364

そのまま食べても良し、テーブルにセットされた醤油やソース、さらには別オーダーで頼める柚子胡椒や唐辛子をそれぞれ合わせるのも良し。


また「海老シュウマイ」は、肉シュウマイの上に海老1尾がのっているだけですが、侮るなかれ。それだけでシュウマイの個性がガラリと変わります。


豚中心のシュウマイ本体と一緒に、海老を1尾丸ごと口の中へ。海老のプリッとした食感と特有のうま味と香りが、シュウマイ本体の味わいと融合し、肉シュウマイとは異なるジャンルに変身させてくれます。

▲どんく名物「チキンカツ2枚ポテトサラダ付」(640円)。シュウマイとあわせてどうぞ

▲どんく名物「チキンカツ2枚ポテトサラダ付」(640円)。シュウマイとあわせてどうぞ

先でも触れた通り、ちゃんぽんの本場長崎では必ずしも長崎ちゃんぽんとシュウマイをセットで食べるわけではありません。どんくの店主の田川さんも、「シュウマイといえば、崎陽軒でしょ?」と言い、出身地である地元長崎でシュウマイを食べた記憶はあまりないそうです。


そんな中どんくは、ちゃんぽんの店の多くのシュウマイが中華料理店にあるオーソドックスなスタイルを踏襲しているのに対し、それとは全く異なる独自のシュウマイを貫いています。レシピは、田川さんが以前勤めていた都内の高級中華料理店で提供されていたものをアレンジ。田川さんが独自に完成させた、“ちゃんぽんシュウマイ”なんです。

長崎出身者のために創業するも、今やみんなにとっての「ふるさとの味」に

▲この日は奥様がシュウマイを握っている姿が。早い時間にお店に行くとその様子を拝めるかも?

▲この日は奥様がシュウマイを握っている姿が。早い時間にお店に行くとその様子を拝めるかも?

麺や皮など専門的な食材を除き、ほとんどの料理は田川さんの手作り。シュウマイも毎日手包みで仕上げています。


お店は創業から田川さんご夫婦が中心となって切り盛り。長年通い続けるファンも多く、とくに接客を担当する奥様と常連さんが会話する様子は、まるで親戚同士のようです。

 

店主であるご主人の田川さんは、長崎出身の人たちのために、長崎ちゃんぽんをはじめとする「ふるさとの味」を出す店として、どんくを創業したそう。どの料理を食べても、どんくならではの“温かさ”を感じるのは、そのためでしょう。そしてこの地で40年営業する中で、長崎出身の人だけでなくこのお店に通う“東京の人たち”にとっても、「ふるさとの味」となっていったようです。

 

取材を忘れて知人と一通りお酒と料理を味わっていると、不思議とシュウマイをおかわりしたくなってきました。超ヘビー級の大きさなのにまた食べたくなり、実際ペロリと食べてしまえる、おかわりしたくなるシュウマイ。これは美味しいシュウマイの条件の一つでもあります。

スポット
どんく

〒150-0021
東京都渋谷区恵比寿西 1-14-2 サンライズビル1F

恵比寿駅

〒150-0021
東京都渋谷区恵比寿西 1-14-2 サンライズビル1F

恵比寿駅

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※本記事内の情報は2023年11月26日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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