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喫茶ライターの川口葉子です。今回ご紹介するのは日本橋の喫茶店ぺしゃわーる」です。

日本橋のオフィス街で働く人々のオアシスのような場所/ぺしゃわーる

有名作家が名づけ親。日本橋の喫茶店「ぺしゃわーる」_1161557

それは日本橋のデパートで買い物をした帰りのこと。突然、大粒の雨に降られて逃げ込んだ喫茶店が「ぺしゃわーる」でした。


心地良い静けさの漂う店内を見まわして、壁に詩が飾られていることに気づきました。『旅』と題した作家・井上靖の直筆の一篇です。ここは井上靖ゆかりの喫茶店。ぺしゃわーるという店名は、井上靖が名づけたのでした。

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シルクロードの重要な交易都市のひとつだったパキスタンの州都、ペシャワール。シルクロードの歴史と文化に魅了されて旅を重ねた井上靖は、旅人の疲れを癒やすオアシス都市の名前をこの喫茶店に贈ったのです。日本橋のオフィス街で働く人々のオアシスのような場所に、との願いを込めて。


現オーナーは、創業者の本田千佐子さんが高齢と怪我を理由に引退する際に、ぺしゃわーるを託された土屋陽一さん。創業者と作家とのつながりについて教えていただきました。


「昔の銀座には、作家や画家が集まる高級クラブがありました。本田さんは井上靖や画家の平山郁夫が常連となったクラブの人気ホステスだったんです」


ぺしゃわーるの壁には平山郁夫の絵画も飾られています。1989年、本田さんが日本橋に喫茶店を開くにあたり、作家が店名と直筆の詩を贈り、画家が砂漠を行く隊商の絵を贈ったのでしょう。

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この喫茶店を訪れたらぜひいただきたいメニューのひとつは、栗菓子のおいしさで知られる長野の有名店、小布施堂の「モンブラン」(950円/ドリンクセット1,550円)。まろやかな栗の風味が口中にひろがります。テイクアウトも可能。


ドリンクは国立市のコーヒー豆販売店「カイルアコーヒー」の豆を使ったデミタスをオススメします。ちなみにマネージャーとしてカウンターでネルドリップを担当する水野雅之さんは、ぶれない抽出をするために、精神状態を穏やかに保つことを心がけているのだそうです。

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お食事なら、軽めのランチにピッタリの「海老グラタンセット」(1,350円)をどうぞ。


銀座の和食店のシェフが質の良い素材を選んで作る細やかな味わいのグラタンに、ポテトサラダと野菜サラダ。そして「フォション」から毎朝仕入れる食パンを焼きあげたトーストを盛り合せた、満足度の高いプレートです。

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作家から贈られた店名も、創業当時から店内を彩ってきたアンティーク家具の数々も、オアシスのような空気も大切に受け継いでいきたい、と土屋さん。19時からはバーとしてお客さまを迎えています。

ぺしゃわーる
  • 所在地

    東京都中央区日本橋 3-1-4 日本橋さくらビルB1F

  • 最寄駅

    日本橋

  • 電話番号

    03-3242-1212

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※本記事内の情報は2023年07月18日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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