喫茶ライターがナビゲート。日常のアクセントとなる街角のサードプレイス/DILL Coffee Parlor
2024年3月、東京・神田のビジネス街にオープンして以来、確固たる存在感を放ってきた「DILL Coffee Parlor(ディルコーヒーパーラー)」。洗練された空間は、仕事や読書に没頭したい時、友人とゆっくりコーヒータイムを楽しみたい時、真っ先に思い出したいサードプレイスです。オーナーの奥出拓馬さんにお話をうかがいました。

お店のファサードは、ロンドンの古書店か、ニューヨークのギャラリーを思わせる趣です。通りに面した風格ある扉は、200年前のインドの木材を用いて作られたもの。ガラス越しに見える店内の照明の美しい気配に、思わず足を止めてしまうのです。

扉を開けて店内に足を踏み入れると、重厚感の漂う木製カウンターや、2階へと続く階段の佇まいに胸が高鳴ります。
「この物件は、元は投資会社が開いたサロン的スペース。“貴族の館”とでも言いたくなる雰囲気があった」と奥出さん。その空間にひと目惚れし、自らインテリアを手掛けたそう。床、扉、天井でゆるやかに回転するファンなど、既存の上質でクラシカルな内装を生かしつつ、パントンチェアなどミッドセンチュリーの家具と現代アートを配し、日常使いしやすい環境を作り上げました。

私のお気に入りは、自然光がたっぷり射しこむ2階の窓辺のベンチシート。足元のインド製アンティークタイルの床が光の加減で刻々と表情を変えるさまを眺めながら、コーヒーの香るひとときを過ごすのです。

アメリカンスタイルの焼き菓子も好評です。オープン当初から人気のキャロットケーキやNYチーズケーキに加え、2025年春には新たにスコーンが仲間入りしました。外はガリガリのサクサク、手でふたつに割れば、やわらかな内部からバターや小麦の香りがふわりと広がります。
「テイストといいテクスチャーといい、僕の人生で一番うまいスコーン。NASU SHOZO CAFE出身のパティシェが独自にレシピを考案してくれました」と奥出さん。

カウンターにはKees Van Del Westen社製エスプレッソマシン「Slim Jim」やGoat Story社製ドリッパー「GINA」が並びます。数カ月ごとに海外の注目ロースターの豆をフィーチャーする企画もスタート。第1弾はオーストラリア・メルボルンの「Market Lane Coffee」が登場します。

「すべてお客さまのために」――そう経営理念を語る奥出さんは、美容室経営者でもあります。美容室のすぐ近くにあるブルーボトルコーヒーに「年間400回通っています(笑)」という驚異的な習慣が、カフェ開業の種となりました。お酒を嗜まない奥出さんにとって、カフェは街角の貴重なリラックス空間なのです。 「だからこそ自分の店も、お客さまの人生の大切な一部分になることを目指したい」。
店名のDILLは、料理に添えるハーブのように、日常に小さな彩りを添える存在を意味して付けられました。単調な一日にアクセントが必要だと感じたら、DILLの大きな美しい扉を開けてみませんか。

〒101-0054
東京都千代田区神田錦町 2-4-6 ワダビル1、2F
小川町(東京都)駅
〒101-0054
東京都千代田区神田錦町 2-4-6 ワダビル1、2F
小川町(東京都)駅

- 本記事内の情報に関して
-
※本記事内の情報は2025年06月20日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
※本記事中の金額表示は、税抜表記のないものはすべて税込です。