オム歴50年のオムライス研究所 所長がナビゲート!

こんにちは、「きっしい」です。27年間に渡り、日本一おいしいオムライスを探して、HP「きっしいのオムライス大好き!?」に食べたオムライスを記録し続けています。その数950店、1,800コ。


今回は「喫茶店オムライスならココ!」というお店をご紹介します。この記事を通して一人でも多くの方が、東京でおいしいオムライスに出合ってくれれば嬉しいです。

コーヒーと一緒に!変わらない素朴さがうれしい、昭和の喫茶店オム/喫茶げるぼあ

オムライスが美味しい喫茶店!日本橋「げるぼあ」オムライス巡り歴50年きっしいのイチ推し。_750165

オムライス研究所で2022年末に開催した「オムスタグラマーが選ぶオムライスグランプリ2022」の上位店を見ると、1位から順にカフェ、カフェ、喫茶店、カフェ・・・と、若い世代にはカフェのオムライスが人気なようです。が、今回私が皆さまにご紹介したいのは古き良き喫茶店のオムライス。


喫茶店の歴史を振り返ります。日本でコーヒーを提供する喫茶店が誕生したのは明治初頭。そして昭和の初めには、流行の最先端を行くモボ・モガたちが喫茶店に集うなど、人気の社交場となっていきました。そこから数十年経った戦後の時代、1952年に今回ご紹介する「げるぼあ」が誕生。創業時からオムライスも提供されていて、その形は当時から現在に至るまでずっと、昔ながらの“巻きタイプ”のものです。

▲1933(昭和8)年開店。重要文化財にも指定されている「日本橋高島屋」

▲1933(昭和8)年開店。重要文化財にも指定されている「日本橋高島屋」

お店は東京メトロ日本橋駅からすぐ、日本橋高島屋の南側の通りを進んでいくと、右手にあります。やや年季の入った赤い日よけに書かれた「げるぼあ」の文字が目印です。

オムライスが美味しい喫茶店!日本橋「げるぼあ」オムライス巡り歴50年きっしいのイチ推し。_750167

70年以上の歴史を重ねる喫茶店の店内は、昔ながらの雰囲気。大人数用のテーブル席と少人数用のソファ席があります。ちなみに全面喫煙可能なので、煙が苦手な人はサラリーマンの少ない土日に行くのをオススメします。


十数年前、このお店を教えてくださったのは「ドラゴンクエスト」の作曲家として知られる故・すぎやまこういち先生。仕事で交流があって、ご飯もご一緒したことがあります。食通の先生からある日メールで、「正しいオムライス!を紹介しましょう」と、このお店をご紹介頂きました。奥様と買い物に行った際は、こちらに立ち寄っていたそうです。

▲「オムライスドリンクセット」(1,150円/ドリンクはコーヒーor紅茶)。私はいつもコーヒーをオムライスと一緒に出してもらうよう頼みます

▲「オムライスドリンクセット」(1,150円/ドリンクはコーヒーor紅茶)。私はいつもコーヒーをオムライスと一緒に出してもらうよう頼みます

壁際のソファ席で待ち構えていると、ほわ~っとバターの香りがする湯気が立つオムライスが運ばれてきました。ケチャップがかかった薄焼きタマゴに包まれた、細長い、昔ながらの形。スプーンを入れると、中から立ちのぼるケチャップの香りが鼻をくすぐります。ベーコンの塩味が少し効いた炒め立てのケチャップライスに、タマネギ、マッシュルームと、具材もオーソドックスです。


昔からある喫茶店では、オムライスをフワトロや半熟など今っぽいものに変更しているお店もあります。これらもおいしいのですが、すぎやま先生もおっしゃっていたように「正しい」喫茶店のオムライスは、フワトロや半熟ではなく、家庭的な素朴さが残る見た目と味の“コレ”なのです


このお店もある時期、流行りにあわせて、フワトロオムライスに変えたそうです。が、常連さんたちに「食べたいのは以前のオムライス」と言われて、元に戻したそうです。当たり前のような昔風オムライスにも歴史があり、それが残っているのは奇跡なのです。


あと私の評価ポイントは、一緒にお皿にのったスパゲティサラダ。これも今どき他の喫茶店ではあまり見かけませんが、マヨネーズ味が味変になって良いのです。


私流のげるぼあオムの食べ方は、まずはバター香るタマゴを一口、苦めのコーヒーを一口。続いて、酸っぱめのケチャップライスを一口、再び苦めのコーヒーを一口。このように甘い、苦い、酸っぱいのコンビネーションイートを楽しみます。

▲4代目店主の前田浩孝さん(右)と店を手伝う母の、と志子さん(左)

▲4代目店主の前田浩孝さん(右)と店を手伝う母の、と志子さん(左)

げるぼあは家族経営。「週3~4日は手伝っています。長く通って頂いている常連さんとの会話から元気をもらってます」と、お母さん。店主・前田さんのお姉さんも週3日で手伝っていて、従業員も平均15年ぐらい勤めている方が4名ほど。ベテランたちで成る“チームげるぼあ”が、おいしい味と気さくだけれど感じの良い接客を作っているのでしょう。


創業70年あまりの喫茶店で、ずーっと変わらない味のオムライス。これからもこのままの味と接客でいて欲しいなあと思います。

げるぼあ
  • 所在地

    東京都中央区日本橋 3-8-6

  • 最寄駅

    日本橋

  • 電話番号

    03-3275-3062

本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2023年02月16日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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