東京国立博物館でタイの仏像の霊験がうずまく!?
タイといえば海外旅行先でも人気だったり、代々木公園でのタイフェスも毎回すごい集客力。今回の展覧会で、タイから来た仏像たちも、きっと日本人の心を掴むに違いありません。
展覧会のポスターにもなっていて、最初の「第1章 タイ前夜 古代の仏教世界」展示室の目立つポジションに展示されていたのは「ナーガ上の仏陀坐像」。仏陀が背中に蛇七匹背負っているという一発目からインパクト大の仏像です。
七匹と書いたら罰が当たるかもしれません。ナーガは蛇の神様で、雨風から仏陀を守るために鎌首をもたげているのです。どこかエロティックな蛇の形に生命力を感じます。好きなだけ妄想にふけることができるのも、一人の醍醐味です。
当時、タイの前身のドヴァーラヴァティー国はインド文明や仏教を取り入れていたのですが、カンボジア伝来のクメール文明とともにヒンドゥー教も入ってきていました。
「ヒンドゥー神話の両性具有神」の像は右半分はシヴァ神、左半分は妻のパールヴァティーが合体している無敵感漂う形態。
なんとなく良縁成就とか恋愛運に効きそうなので、同伴者もいないこの機会に、気がすむまで拝んでおくと良いかもしれません。
タイの仏像は唇が厚めで顔が細長く、日本の仏像と顔立ちが違います。「菩薩立像」の観音様も、髪が巻かれて顔立ちもエキゾチックな美人。何よりウエストがかなり細いです。日本の仏像はふくよかなことを思うと、美意識の差が現れているようです。暑い気候と辛い食事で当時から国民は痩せていたのかもしれません。
「第2章 スコータイ 幸福の生まれ出づる国」コーナーでは、そんな痩せ型の仏陀が優雅に歩かれる「仏陀遊行像」が目を引きます。さすが王族出身の気品にあふれていて、360度周りを回って鑑賞したい美しい像です。
ところで古代の仏教では、仏陀は法輪や仏足跡の姿で表現されていました。その影響を受け、タイでも法輪や仏足跡が作られていたようです。巨大な石の仏足跡を見たら、足の指紋には渦巻きの炎がともっていて、人間ではありえない形でした。
まばゆい金の像に、妻が3人もいる神も!
と、第2章までは神様仏様への畏敬の念が感じられたのですが、「第3章 アユタヤー 輝ける交易の都」の部屋に入ると、仏教の力を得た王様の権力を誇示するような金ピカの像が増えてきました。
「金象」「金舎利塔」「金冠」などまばゆい輝きを放っていますが、人間が調子に乗りはじめている危うさも……。常に神仏を敬う 気持ちを忘れたくないと、一人肝に銘じました。
「第4章 シャム 日本人の見た南方の夢」は日本とシャムの関わりについての展示です。アユタヤー朝では勇敢な日本人の傭兵を重宝していたそうです。日本の武士とタイ人が一緒に行軍する絵も展示されていました。
多くのタイ人が日本人に好感を抱いてくれているのは、こんな過去があるからなのでしょう。タイで活躍したという山田長政の名前をタイフェスなどで出してみたら、何かサービスしてくれるかもしれません。
「第5章 ラタナコーシン インドラ神の宝蔵」のコーナーでは「ラーマ2世王作の大扉」が圧巻でした。ラーマ2世自らも彫刻刀を振るったという高さ5.6mの大扉には、猿や豚、鹿、謎の人面鳥など天上界の動物たちが彫られています。
ラーマ2世はかなり徳が高い王だったのだと拝察します。展示物はこの日を除いて撮影NGですが、この扉のみ展覧会開催中は誰でも撮影OKという懐の広さに感無量です。
この展示は、他にも生まれた曜日ごとの守護仏陀がわかる「各曜日仏」コーナーなど、一人で来ても楽しめる仕掛けが。(「各曜日仏」というのは。日曜日生まれは「菩提樹の下で悟った直後の仏陀」、火曜日生まれは「涅槃に入る仏陀」など、曜日ごとに仏陀の状態が当てはまる波動の高い占い)
ソロ活的にも仏像女子的にも、一人で仏像たちと対峙することでご利益を得られ、人生的にも抜け駆けできそうです。そして真の無敵女子に……。
「日タイ修好130周年記念特別展『タイ〜仏の国の輝き〜』」
開催期間:2017/7/4(火)~2017/8/27(日)
場所:東京国立博物館 平成館
住所: 東京都台東区上野公園13-9
電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
営業時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
定休日:月曜日(ただし祝日または振替休日の場合は翌日に休館)
最寄り駅:京成上野/上野/鶯谷
◆今回のソロ女子/辛酸なめ子さん
東京生まれ、埼玉育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。漫画やイラスト制作のほか、コラム執筆、TV、ラジオ出演など多方面で活躍。
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※2017年7月14日現在の情報です。内容や情報は変更になる場合があります。
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