トリノ最古のカフェで誕生したチョコレートドリンクを味わいに/Bicerin GINZA SIX
僕の故郷イタリアではカフェ文化の歴史が長く、イタリア人にとってカフェは、幸福なひとときを過ごせる場所になっている。
日本でも人気のエスプレッソやカプチーノは、言うまでもなくイタリアのカフェを代表する飲み物だが、本記事の主役は、ある伝統的なチョコレートドリンクだ。さっそく読者と一緒にタイムマシンに乗って、1763年のトリノへ遡る旅をしよう。

▲トリノ最古のカフェとして知られる「Caffè al Bicerin」
1763年、ピエモンテ州トリノで小さなカフェが開店した。お店の名前は「Caffè al Bicerin(カフェ・アル・ビチェリン)」。テーブルとベンチだけが並ぶ素朴なこの店は、トリノの人々だけでなく、多くの歴史的偉人たちにも愛されてきた。
ここで生まれたのが、店名を冠したチョコレートドリンク「ビチェリン」だ。このドリンクは現在も多くのイタリア人に親しまれていて、2001年には「ピエモンテ州の伝統的な飲み物」として州にも公式認定された。

Bicerinは世界初の進出先として、2018年に日本に初上陸し、2024年現在では都内を中心に7店舗を展開している。僕は先日、ビチェリンを飲みに、その中の一つである銀座の「Bicerin GINZA SIX(ビチェリン銀座シックス)」 を訪れた。
厳密には「訪れた」のではなく「里帰りしてきた」の方が正しい。なぜかというと、Bicerin発祥の地であるトリノ・ピエモンテの近くに僕の故郷があるから。ピエモンテ人にとってBicerinは特別なカフェであり、ビチェリンはただのチョコレートドリンクではなく、アツい歴史を持つソウルフード(ドリンク)と呼ぶにふさわしいものなのだ。

▲画像提供:Bicerin GINZA SIX
お店の魅力はもちろん「ビチェリン」を代表するカフェメニューにあるが、お店の内装にも魅力が隠れている。「Bicerin」の内装は、1763年の創業当時のトリノを再現しているのだ。
赤いソファや緑の椅子、美しい大理石のテーブル、緑のテーブルクロスなどアンティーク調の家具が設えてあり、壁にはトリノの歴史を感じる絵画も飾られている。このトリノの伝統的な雰囲気が漂う空間では、訪れた瞬間からタイムスリップしたかのような感覚になるだろう。

▲「ビチェリン」(手前)、「本日のドルチェ」(奥)
この日は目当ての「ビチェリン」(1,210円)と、「本日のドルチェ(フォンダンショコラ&アイス)」(990円)を注文した。同じチョコレートベースでも、異なる魅力を感じられるドリンクとデザートだ。

「ビチェリン」はトリノの方言で「小さなグラス」を意味している。カカオパウダーを使ったホットチョコレート、香り立つコーヒー、麗しい生クリームという3層を小さなグラスに注いだもの。これが本物のビチェリンだ。
トリノの本店で飲めるビチェリンを、日本でも全く同じ状態で味わえると考えると涙が止まらない。
本店に行ったことがある人は、一口飲めば、懐かしさに感動するだろう。初めてビチェリンを味わう人にとっては、長い歴史に裏打ちされたその濃厚な美味しさに驚くに違いない。

▲「バーチ・ディ・ダーマ」
ビチェリンとあわせて注目してほしいのが、店頭で販売されている伝統的な焼き菓子だ。
イタリア語で「貴婦人のキス」を意味するピエモンテの伝統菓子「バーチ・ディ・ダーマ」は、アーモンド生地でチョコレートをサンドした焼き菓子。アーモンドパウダーを配合した丸いクッキーでチョコレートを挟んでいて、サクサクとした食感が特徴だ。コーヒーと一緒に楽しむことで、ピエモンテらしいカフェタイムを体験できる。
郷土菓子のバーチ・ディ・ダーマが世界的に知られる焼き菓子になった理由は、その食べやすさにある。食べ出すと、手が止まらなくなるから気をつけて。

Bicerinと日本には、実は関深い関係がある。世界初進出先として日本にカフェが誕生したこともそうだが、「G20大阪」「G7伊勢志摩サミット」で日本国政府が「おもてなし」としてBicerinの焼き菓子を提供したり、2020年には沖縄のコーヒー豆生産者と提携した取り組み「Bicerin OKINAWA COFFEE FARM Project」がスタートしたりと、何かと縁があるのだ。個人的にはそんなところからもBicerinへの思い入れが一層深くなるばかりだ。
銀座に訪れた際には、ぜひ「Bicerin」を訪れてほしい。ビチェリンの長い歴史と濃厚な味が、感動をもたらしてくれることだろう。

〒104-0061
東京都中央区銀座 6-10-1 GINZA SIXB2F
銀座駅
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