喫茶ライターがナビゲート!歴史を重ねた画材店にあるカフェ/文房堂GalleryCafe
喫茶ライターの川口葉子です。本記事では、明治20(1887)年創業の歴史ある画材店「文房堂」の3階にある「文房堂GalleryCafe(ギャラリーカフェ)」をご紹介します。
「文房堂」は、明治20(1887)年に神田・小川町で創業し、大正時代に日本で初めて油絵具を製造・販売した総合画材店。神田すずらん通りに建つ本社ビルは、大正11(1922)年、関東大震災の1年前に建てられました。当時まだ珍しかった鉄筋コンクリート造りの建物は関東大震災の激しい揺れに耐え、その後、幸運にも東京大空襲の炎を免れて昭和の時代を生き抜きます。
平成2(1990)年、その建物が老朽化のため解体されるにあたり、近隣住民から「町の歴史とともに生きてきた貴重な建物をぜひ保存してほしい」という声があがり、千代田区からの要請も受けて、正面の外壁を大切に保存して特殊工法により背面の建物だけを建て替えたのです。4連のアーチ窓が並ぶ重厚な外壁には、そんな100年以上の歴史が刻まれています。
大正モダンとアールデコのデザインを取り入れた外観は、神田すずらん通りの美しいランドマーク。平成5(1993)年には「第2回千代田区景観賞 ちよだ景観界隈賞」(都市景観賞)を受賞しています。
「建替工事期間中は文房堂の背面にまだ大きなビルがなく、重機が出入りできる環境だったというのは、今の環境を考えるとちょっと奇跡のようなことだなと思っています」と広報担当の鍋田さん。
それでは、3階のカフェへご案内しましょう。平成28(2016)年にオープンしたこちらのカフェは、眺めのいいカウンター席と、ギャラリー併設のテーブル席に分かれています。
「カフェのお客さまにも、そんな歴史を自然に感じていただければと思います。窓辺から外壁のスクラッチタイルが間近に見えて、外から眺めるのとはまた違った雰囲気をお楽しみいただけますよ」(鍋田さん)
さらにもう一つの楽しみ方を教えていただきました。「いま、向かいの三省堂書店のビルが解体されていて、本来なら隠れて見えないはずの交差点が見えているんです」
2025~2026年頃竣工予定の新しいビルが建つまでの期間限定の眺望。それを楽しみにカウンター席を選ぶお客さまも少なくないのでしょう。ご年配の男性がコーヒーを飲みながら鉛筆を素早く走らせてスケッチする姿を見かけました。
オススメのメニューは、良質な豚のもも肉を使ったハムに、たっぷりの野菜サラダを添えた「ハムチーズホットサンド」(単品800円、スープ・ドリンク付きセット1,230円)。
また、神保町で大人気のケーキ屋さん「STYLE’S CAKES & CO.(スタイルズケイクス&カンパニー)」のタルトやパイ(650円~、単品注文不可、売り切れ次第終了)も3種類ほど用意されています。私はサンドイッチの後に、ブルーベリーの酸味とクラフティのほのかな甘みのバランスが絶妙の「ブルーベリーのクラフティパイ」(800円)を楽しみました。
テーブル席エリアの壁は、ギャラリーとして作家たちの作品展示の場に活用されています。
地下1階~2階には画材や文具が並び、4階は本格的なギャラリー、5階はアートスクール、6階は額縁やフォトフレームを扱っています。1・2階を回ってインスピレーションを受け、3階のカフェでノートにアイディアをしたためる・・・そんなお客さまの姿も見かけるそう。
レトロな外観のビルの内部を見てみたい。窓から期間限定の眺望を楽しみたい。サンドイッチとケーキでくつろぎたい。画材や文房具を購入したい。アート作品を創ったり見たりしたい。多種多様な目的に応える文房堂ビルですが、あなたなら何を楽しみますか?
〒101-0051
東京都千代田区神田神保町 1-21-1 文房堂神田本店3F
神保町駅
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