ロケ地巡りが趣味の映画ソムリエがナビゲート!

映画ソムリエという肩書で映画を独自の切り口で紹介している、東紗友美です。今回は「秘密の作戦会議をするならココ!」という映画『Winny』のロケ地をご紹介します。

雰囲気に身を委ね、秘密を打ち明けたくなる/純喫茶 丘

▲(C)2023映画「Winny」製作委員会

▲(C)2023映画「Winny」製作委員会

インターネットを定常的に利用する人が増え始めた2000年代初頭、注目された事件がありました。それが今回ご紹介する2023年3月10日(金)公開の映画『Winny』の元となる「Winny事件」です。


Winny事件とは、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト・Winnyを開発したことで、開発者の金子勇氏が著作権法違反幇助(ほうじょ)の罪に問われ逮捕された事件。Winny上で違法なアップロードやダウンロードが横行、次々と違法コピーしたものたちが逮捕されていったのですが、なぜか逮捕がソフト開発者の金子氏にまで及び、当時物議を呼んだのです。


実話を元に金子氏の逮捕から裁判までの経緯を描いた同作。一人の天才開発者がなぜ日本の国家組織に潰されてしまったのかーー開発者の未来と権利を守るために権力やメディアと戦った男たちの姿を追う、骨太な作品です。


当時、時代の先駆者だった金子勇氏を東出昌大、サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光を三浦貴大が演じ、W主演を果たしています。

▲(C)2023映画「Winny」製作委員会

▲(C)2023映画「Winny」製作委員会

同作でとくに印象的なのは法廷のシーン。金子氏の裁判に実際に参加していた前出の壇氏による助言で作られており、これが、とにかく圧巻なのです!


まだまだ一般的に知識が広まっていないインターネットについて、裁判官に説明することが難しかった2000年代の初め、どのようにして裁判を進めていったのか?スリリングかつドラマチックなシーンになっています。


しかし、そんな法廷シーンを盛り上げるため、主役となった場所がもう一カ所あることを今どうしても伝えたい!

『Winny』ロケ地の純喫茶へ!映画ソムリエ・東紗友美のイチ推し。_793487

それは、法廷に出廷する前に“作戦会議”が行われていた喫茶店です。JR御徒町駅北口より徒歩3分、その名も「純喫茶 丘」。


ここは金子氏と壇氏、そして弁護士の秋田氏(吹越満)が、3人そろって今後の裁判の方向性を考えた場所です。ネタバレになるため詳細は本記事では触れられないのですが、ここで話す内容が裁判の行方に大きく影響していくのです!映画を観ていただければ「おぉこのシーンか!」とビビッと来るはず。それほど大切な作戦会議の場所として、丘は登場します。


丘は作中で2回ほど登場しますが、前述した出廷前の作戦会議シーンは中盤過ぎから始まるので、注目してみてくださいね。

『Winny』ロケ地の純喫茶へ!映画ソムリエ・東紗友美のイチ推し。_793488

それでは中に入っていきましょう。


昭和39年(1964年)創業の丘は入口から地下へ降りる階段の意匠が凝っていて、入る前からすでに昭和レトロなムードが漂います。上野の雑踏を抜けてこのお店に辿り着いたことで、外とのギャップもあって非日常気分がより高まりました。

  • ▲現在営業しているのは地下1階のみとのこと

    ▲現在営業しているのは地下1階のみとのこと

  • ▲地下1階と地下2階を繋ぐ階段の上にも大きなシャンデリアが!

    ▲地下1階と地下2階を繋ぐ階段の上にも大きなシャンデリアが!

入り口の扉をくぐると、店内には煌びやかな大きなシャンデリア、そしてステンドグラス!中世ヨーロッパの雰囲気を取り入れた、なんともゴージャスで上品な空間に思わず感嘆します。


ちなみにマスターが教えてくださったのですが、他の映画やドラマでもロケ地として何度も登場しているようです。物語の生まれる聖地だったのですね!

▲3人が作戦会議をしていた席

▲3人が作戦会議をしていた席

『Winny』ロケ地の純喫茶へ!映画ソムリエ・東紗友美のイチ推し。_793492

ふと周りを見渡してみると、誰も周りを気にすることなく本を読んでいたり、仕事をしていたり、はたまた会話に集中しているお客様が多く、自分たちのためだけに時間を過ごせる場所であると実感しました。


また、照明が仄暗く、シャンデリアやステンドグラスが輝く魅惑的な雰囲気も相まって、大切な話や秘密の話を誰かについ打ち明けたくなる・・・そんな気分にさせてくれるパワーを持った場所だとも思いました。ちなみに私は一人で訪れたものの、このお店でくつろいでいるうちに、なかなか打ち明けられなかった話をついに友人にLINEで送りました(笑)。

▲「クリームソーダ」(650円)。仄暗いに店内にクリームソーダのはっきりとした緑の彩りが美しい

▲「クリームソーダ」(650円)。仄暗いに店内にクリームソーダのはっきりとした緑の彩りが美しい

作中では、弁護士さん達と重要な作戦会議をしているシーンなのに、東出さん演じる金子氏がこのクリームソーダを美味しそうに飲んでいるのが印象的でした。


「生前の彼を知る方で、彼の人間性を悪く言う人は誰一人いませんでした」と東出さんが映画公式サイトでコメントされている通り、金子氏の無邪気な人柄が伺えるシーンで、本当にただただ美味しそうにクリームソーダを頬張っているんです。


ここできらきら美しいクリームソーダを飲みながら話せば、撹拌され溶け合ったアイスとメロンソーダみたいに相手と打ち解け、作中での東出さんのようにすんなり“打ち明け話”もできてしまいそうです。

純喫茶 丘
  • 所在地

    東京都台東区上野 6-5-3

  • 最寄駅

    御徒町

  • 電話番号

    03-3835-4401

本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2023年03月14日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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