どん底も味わった―――あの芸人の「再ブレイク」支えた“オアシス”のようなお店があった

元気が出ない時、疲れた時にふと食べたくなる食事、皆さんにはありますか?長い下積み、大ブレイクからの落ち込み・・・辛酸をなめながらも芸能界の荒波を生き抜いてきた芸人たちにも、支えになるような思い出の味がありました。


そこでレッツエンジョイ東京では、吉本芸人たちの「食」にスポットを当て、辛い時やスランプに陥っていた時期に訪れていたお店と思い出の味を「オアシス飯」と題し、3組の芸人たちの想いやこれからについて、全3回にわたってお届けします。


最後となる第3回目は、“段ボール芸”でおなじみのピン芸人、もう中学生さん。2007年ごろからネタ番組を中心に一躍ブレイクするも、その後ライブ中心の活動となり、2019年には芸人引退も考えるように。

 

2020年に人気バラエティー番組への出演をきっかけに再ブレイク。ニホンモニターが毎年発表する「2021ブレイクタレント」ランキングでは10位にランクインする復活劇を見せました。独自の世界観を描き続けるもう中学生さんと一緒に、思い出の店を訪れました。

というわけで、今日は「ショートケーキ」!お楽しみに~/パティスリーヨシカワ

※撮影時のみ、マスクを外しております

※撮影時のみ、マスクを外しております

―――全3回のショート連載「俺たちのオアシス飯」ですが、ジョイマンさん、とにかく明るい安村さんに続き、もう中学生さんにラストを飾っていただきます!

 

もう中学生さん(以下、もう中): あら〜!!たかちゃん、いけちゃん、おやっさん!うわあ、もう最高のメンバーじゃないですか。それはぜひみんなで一緒にやりたかったなぁ。安村さんは新宿「達磨」に行ったんですよね。僕も「達磨」はよく行くお店なので一緒に行きたかったです。

 

たかちゃん、いけちゃんは居酒屋で、安村さんは中華。僕は突然ケーキのお店を選んじゃいましたけど、よかったんでしょうか?

 

―――もちろんです!

 

もう中: あ〜、よかった。お店は本当に最高なので行きましょう!

―――「パティスリーヨシカワ」はいつごろから来ているんですか?

 

もう中:5年くらい前ですかね。美味しいケーキが食べたいな〜と思った時に、携帯で「ケーキ」って入力して調べて。ケーキ大好きなんです。それからポツ、ポツ、ポツと通わせていただいていますね。

 

家から若干離れている場所にあるので自転車で来るんですけど、気合い入れて「ヨシ!今日は絶対ケーキを食べるんだ!」という日に来ています。

 

あとは大家さんちへ手土産を持っていく時や、行きつけの定食屋さんにお礼を持っていく時も、いつもヨシカワさんにお邪魔してます。特別な時はヨシカワさんて決めてて。

もう中:今日はちょっとお久しぶりです。最近、実は何度か来た時にお休みされていて。ヨシカワさんはきっちり定休日でお休みされているだけなんですが、僕がちゃんと調べてなくて・・・たまたまタイミングが悪かったのが続いていました。お店が開いている幸せ〜。いや〜、うれしい〜。

 

―――必ずコレは買うというケーキはありますか?

 

もう中:もうまずは「ショートケーキ」ですね。

 

ケーキ屋さんに入ったら、最初にショートケーキに目がいきますよね。こんなに夢の詰まったものってほかにない。手のひらサイズのもので、指輪とか時計とかいろいろなものがありますけど、僕はどんなものよりもショートケーキが一番です。

―――今日はお好きなだけ選んでください。

 

もう中:えぇ〜!何個でもいいんですか!?ありがとうございます!こういう時は遠慮しちゃいけない。職権乱用だ。では、デコレーションケーキを・・・というのはご冗談で(笑)。

もう中:デコレーションケーキを一人で食べるのも夢ではありますが、今日はスタッフさんとみんなで一緒に食べたいので。ちょっといろいろ選んでみました!


手土産に持っていく時も、ショートケーキをメインに何種類か“混ぜ混ぜ”で選ぶことが多いですね。

もう中:あら〜、かわいらしい!ヨシカワさんではケーキに目を奪われすぎていて、焼き菓子はまだいただいたことなかった。今日は、今もお店の外で待ってくれている“第二のもう中学生(マネージャーさんのこと)”におみやげを渡そうかな。これはもちろん自分で買います。

 

―――サプライズギフトですね。先ほども大家さんや行きつけのお店へのお礼をここで買うと話していましたが、ギフトはよくされるんですか?

 

もう中:そうですね、本当にもう・・・いろんな人にお世話になりっぱなしなので。気がついた時に、折々で。仕事を頑張ることでお返しできるのが一番ですが、感謝をね、ちゃんと伝えていかなくてはと思いますよね。

ためになったね~、これが「僕のオアシス飯」だよ!元気になれる処方箋&作業中のパワーチャージ

もう中:わぁ〜。華やかぁ〜。これは最高。贅沢ですね。

左上から時計回りに「プリン」(240円)、「シュークリーム」(220円)、「チョコ生ショートケーキ」(430円)、「スフレチーズケーキ」(410円)、「ショートケーキ」(410円)、「モンブラン」(450円)

左上から時計回りに「プリン」(240円)、「シュークリーム」(220円)、「チョコ生ショートケーキ」(430円)、「スフレチーズケーキ」(410円)、「ショートケーキ」(410円)、「モンブラン」(450円)

―――今日はお店から場所を変えて、おうちの雰囲気が感じられる場所にきました。ケーキ、どれからいただきましょう?

 

もう中:うーん、さっきまでチーズケーキの気分でしたが・・・やっぱり「ショートケーキ」ですかね。ヨシカワさんに行ったら、もう絶対ショートケーキは買うので。うれしい〜!いただきます!!

 

(一口食べて)あ、うまい!!これ、やっぱり美味しい。うわ〜、こんなに美味しかったっけ?

 

実は今日初めてオーナーパティシエの吉川さんとお話ししたんですけど、めちゃくちゃいい方でした。やっぱり職人さんだからきっとケーキを作る時はぐっと違う顔つきになると思いますけど、謙虚で朗らかで。ずっと笑顔で接していただいた。あぁ、そりゃうまいよねぇって。これからもっと頻繁に行こうと思いましたね。

―――普段はどんな風に召し上がってるんですか


もう中:部屋に椅子とかないので、いつも地べたに座って食べてます。こんな感じで(笑)。

もう中:ヨシカワさんのケーキって、どれを選んでもどこか「ほっ」とするんですよ。お店の雰囲気もスタッフさんの空気感も温かくて、それは吉川さんのお人柄がケーキにもお店にも表れているからなんだと今日わかりました。

 

僕、食べるのがすごい早いんです。いつもパパパッて食べるから、なくなっちゃったーってすぐなる。今日初めてこんなにゆっくり食べたけど、いつも以上に美味しい。今度からもっとゆっくり食べよう。最高です。

―――ケーキはいつもどんな時に食べてますか?

 

もう中:ケーキとかシュークリームとか甘いものが大好きなので、本当は毎日でも食べたいくらい。実際は三日にいっぺんくらいの間隔で食べてますね。

 

お店で食べるとかはあまりしなくて、普段は近所のスーパーとかコンビニとかで買って自分の家で食べます。食後なににする?となった時に、コーヒーとか、牛乳とか、みんなそれぞれだと思うけど、僕は食後に必ずケーキをいただきたい。

「キミはあの方(※)に運ばれてここまで来たんだねぇ」と、イチゴを愛でるもう中学生さん。※お店での撮影時にイチゴ業者さんの納品があった。

「キミはあの方(※)に運ばれてここまで来たんだねぇ」と、イチゴを愛でるもう中学生さん。※お店での撮影時にイチゴ業者さんの納品があった。

もう中:「絶対にケーキが食べたい!」という日は、今日は頑張れたなという日とか、逆に何かで傷ついた日とか、自分でぐぐーっと落ち込んだ日とか。処方箋的な感じで食べることが多いですね。あとは風邪をひいた日にもよく食べます。

 

心が傷ついている時とか、体調崩した時にこそ、好きなものを摂取しようって。

 

それが一番の治療で薬だと思うので。そういう時には、僕は必ず「豚汁」と「ケーキ」を食べます。豚汁もお弁当屋さんまでがんばって買いに行って。あったかいもの食べてから、甘いもので癒されています。

もう中:ケーキと一緒に飲むのは必ずサイダー。あ゛〜、これも最高〜!


あとは作業中に食べることが多いかもしれない。段ボールに色塗る前や色を塗っている途中とか、段ボールを切っている途中や切った後とか。ちょっとした充電に。

 

昨日も近所のスーパーで買った64円のシュークリームを食べました。おととい大根をいただいたので、大根を茹でてやわらかくしてご飯と食べて、その後、段ボールに色を塗っている途中に「あ、そうだ!シュークリーム買ったんだった!」と思い出して食べました。それから、また段ボールに色塗って。

―――ネタを考えている時には、甘いものは食べないんですか?

 

もう中: 食べないですね。ネタはグッと考えようと決めて集中することが多いので、ノートだけと向き合う。

 

ネタは家でも考えますが場所はさまざまで、喫茶店だったり、吉本の本社だったり。あとは、長時間の電車移動があるからその時間をあてたり。収録の合間が3時間とか空くので、じゃあ今日はそこで4つ考えようと予定しておく。

 

何も思い浮かばないで時間だけ過ぎちゃうこともあるけど、何か思いつけばいいなと、考える時間や考えるのにいい場所をちゃんと準備しておく。ネタを作らないと焦りもありますし、そういう時間を持つことを今はとても大切にしています。

“あの人にまた会いたい”を原動力に・・・真摯にネタへ取り組む日々

―――最近では、パネル以外のネタもよく披露されていますよね。

 

もう中:そうですね。10年前にテレビに出させていただいていたころはパネルネタばかりでしたが、最近またテレビに呼んでいただけるようになってからは、この10年で身につけてきたものを少しずつやらせてもらえるようになってきました。

 

身につけたというほどでもないんですけど、パネル以外のネタは単独ライブとかではずっとやり続けてきたものなので、いろいろなネタを少しずつ小出しではあるけれど、前よりはうまく出せるようになってきたかな、と。いろんなジャンルのことを、笑いにしていけたらいいなとは思っていますね。

―――この10年間はどんなことを考えてこられたんですか?

 

もう中:いやぁ〜、そうですねえ。浮き沈みある世界とはよく言うけど、もう浮き沈みがありすぎて。「いえ〜い!」となったかと思ったら、次の瞬間には「うっそー!」ということも珍しくない。それでまた「いえ〜い!」となって、また「うっそー!」となる。その繰り返しで。

 

地元の長野に帰ろうと思った時もありましたが、常に挽回したい気持ちはあったんですよ、これくらいは(人差し指と親指でちょっとのポーズ)。何よりも、お世話になってきた人たちにお返しをしたいと思ってきました。今もまだ返せていないんですけど。

―――最近では再ブレイク中と注目を集め、以前のブレイクよりも幅広くご活躍されていますが、今は「いえ〜い!」というお気持ちになっていますか?

 

もう中:ないですー。それがもう全然ないんですー。かあちゃんともよく話しているんですけど「怖さしかないよね」って。う〜〜〜〜。

 

かと思えば、11月末ぐらいにちょっとだけ「ん?もしかして?」みたいな浮かれモードが突然やってきた。油断が出たり、怖かったり、もうすごいバイオリズム。

もう中: レギュラー番組とかそれまで毎週のように会っていた人たちとも、いきなり「じゃあね」する世界じゃないですか。

 

なので、10年の間は一緒にお仕事させていただいた方たちとまた会うことが目標にもなっていたし、あの方たちにもう一度会うためにはここで諦めちゃダメだという原動力にもすごくなっていました。今もそれは変わらず、どの現場に行っても考えちゃいますね。

 

ちょうど昨日の夜も小島さんと小池くんの顔がずっと思い浮かんでいました。2016年ぐらいまで長野のロケ番組でご一緒させていただいたカメラマンさんと音声さんなんですけどね。昨日の夜は小島さんと小池くんのこと考えながらダンボール切ってました。

 

二人とはいまだに「じゃあね」したまんま。しっかりとした「じゃあね」もできていない。小池くんがアニメの声優さんが好きなので、この間あの声優さんがこんなこと言ってたよとか話したら小池くん喜ぶだろうなーとか。再会できた時のことを考えちゃいますね。

もう中学生が目指すもの———「継続は力なり」続けることを諦めない

購入したケーキは、マネージャーさん、スタッフでテーブルを囲み美味しくいただきました♪

購入したケーキは、マネージャーさん、スタッフでテーブルを囲み美味しくいただきました♪

―――最後にこれからのことを聞かせてください。新たな目標などはありますか?

 

もう中:この間、いきなりカップラーメン一箱が家に届いたんです。誰からだろうと見たら、2014年ぐらいに一瞬だけレギュラーで使ってもらったことがある東海テレビのスタッフさんからでした。

 

慌ててお礼の電話をかけたら「もう中くん、元気〜?」と変わらぬ声で出てくれた。「めちゃくちゃ助かるし、めちゃくちゃうれしいです」と伝えたら、「最近どう?大丈夫かい〜?」ってやさしい声をかけてくださりました。

 

僕、最初はすごくルンルンでスタートを切っても、だんだんとスタミナ切れしていくところがあって、そういうダメな部分を一番ご存じのスタッフさんなんですね。そういう部分が変わらないと話すと「自分で自覚してるなら絶対大丈夫だよー!」と励ましてくださった。

 

そうやって「じゃあね」してからも気にかけてくださるスタッフさんはもちろん、芸人仲間や先輩、たくさんの関係者の方たちにたくさんご迷惑をおかけしたし、助けていただいてきたので、これからまんべんなくお返ししていければというのはこれまでもずっと目指してきたことですね。

「パティスリーヨシカワ」オーナーパティシエの吉川哲平さんと一緒に

「パティスリーヨシカワ」オーナーパティシエの吉川哲平さんと一緒に

もう中:そして、やっぱり継続していくこと。あとは「うっそー!」の傾斜を弱くゆるやかにしたいですね。これまでは崖から落ちるくらいの直滑降だったので、落ちるにしてもせめてゆるやかにしていけたらと。


あ、安村さんは何て言っていました?

 

―――「先のことを考える余裕を持てないくらい“今”を一生懸命に」とお話しされてました。

 

もう中:うわ〜。いいこというなぁ。さすがだなぁ、おやっさん・・・。この間も安村さんと、収録で一緒に隠れる時間があって。その時に「安村さんとこうやってゴールデンの番組で一緒にネタをできることが本当に幸せです」と話をさせてもらったんです。それで、ちょっとほろんと涙が出たりしたんですけども(笑)。

 

そうやって同世代でもずっと切磋琢磨して、すごい場所でご一緒させていただけるように、これからもお笑いやっていきたいですね。それにはやっぱりネタも作らなきゃいけないし、毎日考えていかなきゃいけない。そういうことを続けて、絶対に辞めぬよう、そして諦めぬよう。お笑い、頑張っていきたいです。

Patisserie YOSHIKAWA
  • 所在地

    東京都品川区中延 6-1-19

  • 最寄駅

    荏原町

  • 電話番号

    03-6426-4338

もう中学生

もう中学生

NSC東京校7期。段ボールを用いた1人コントで大ブレイクするも、テレビ出演が落ち着き、2019年には芸人引退も考えるようになる。

2020年に人気バラエティー番組への出演をきっかけに再ブレイク。ニホンモニターが毎年発表する「2021ブレイクタレント」ランキングでは10位にランクインする復活劇を見せた。

取材・撮影・文/君島有紀

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