どん底も味わった―――あの芸人の「再ブレイク」支えた“オアシス”のようなお店があった

元気が出ない時、疲れた時にふと食べたくなる食事、皆さんにはありますか?長い下積み、大ブレイクからの落ち込み・・・辛酸をなめながらも芸能界の荒波を生き抜いてきた芸人たちにも、支えになるような思い出の味がありました。


そこでレッツエンジョイ東京では、吉本芸人たちの「食」にスポットを当て、辛い時やスランプに陥っていた時期に訪れていたお店と思い出の味を「オアシス飯」と題し、3組の芸人たちの想いやこれからについて、全3回にわたってお届けします。


第1回目は、「ナナナナーナナナナー、ありがとう オリゴ糖」などの軽快ラップネタでお馴染みのジョイマンのお二人。一時期は死亡説が流れるほど人気が低迷しましたが、最近では大手のCMやキャンペーンに次々と抜擢されるなど、再ブレイクの兆しを見せています。中学の同級生コンビである高木晋哉さん、池谷和志さんと一緒に、思い出の店を訪れました。

ヒウィゴー、カモン!いざ、ジョイマン生誕の地へ/時代酒場 青葉商店

―――ここ青葉台はお二人の地元だそうですね。


池谷さん(写真右、以下敬称略):はい。「青葉商店」から歩いて15分くらいの場所にある、横浜市立谷本中学校が僕たちの母校です。コロナ禍だったこともあり、久しぶりに来たね。

 

高木さん(写真左、以下敬称略):僕たちにとっては、このビル自体が懐かしい場所だよね。ビル内にマクドナルドが入っているんですけど、学生時代は本当よく来てました。

 

池谷:マックでごはん食べて、近くのカラオケに行くのが定番のコースだったよな。

―――お二人のコンビ結成のきっかけも居酒屋さんだったと聞きました。

 

高木:そうなんです。成人式の後に同級生4〜5人で居酒屋へ飲みに行ったことがきっかけですね。

 

池谷:そこで将来の話になって、僕はNSC(吉本総合芸能学院)入ってお笑いの世界に行きたいと話したけど、高木は何もやりたいことがなかったんだよな。そこに僕らの同級生で今ミュージシャンをやっている秦基博がいたんですけど、秦が「それなら高木も一緒にお笑いやったらいいじゃん」って言ってくれてそこから。

 

高木:その店は今はもうないけど、ここからすぐ近くだった。全部、青葉台でのできごと。この辺一帯がジョイマン生誕の地です。

 

池谷:全然浸透してないけどね(笑)。

仕事から離れて、ただの同級生に戻れる唯一の場所

―――「時代酒場 青葉商店」にはいつから通われてるんですか?

 

池谷:「青葉商店」は2016年にオープンしたんですけど、その時からですね。その前に知り合いの紹介でここのオーナーと知り合って、話をしていくうちに偶然同じ中学の先輩だとわかったんです。それから、地元のビルにお店出すことになったと呼んでもらったんだよな。

 

高木:そう。話を聞いたら、僕は小学校も同じで実家もめちゃくちゃ近かった。

 

池谷:不思議な縁ですよね。それから年に一回くらいだけど、一周年とか二周年とか節目のときには必ず来てますね。僕らコンビで飲みに誘うことは基本ないんだけど、ここに来るときだけはお互いを誘い合う

 

高木:二人で行こうかと話すのは青葉商店だけだね。後輩も必ず呼ぶけどね。

 

池谷:うん。二人きりはちょっと恥ずかしい(笑)。

 

高木:うん。だから、間に後輩を挟んで(笑)。

 

池谷:サシで飲みに行ったのって芸人になってから本当数回。コンビ二人きりで飲めるの、スリムクラブくらいだよな。

池谷:たぶん初めてサシで飲んだのは2008年の秋田じゃない?泊まりの営業で16時くらいに終わっちゃって暇つぶしにコンビニに行ったら、立ち読みしてる高木を見つけた。こいつもやることないんだろうなって思った。

 

高木:あぁ、覚えてる! ホテルの周りに何もないから本当にやることがなかった。

 

池谷:それで、じゃあ飲みに行くかって。それが芸人になってから初めてサシで飲んだ時。当時はブレイク中で、テレビにもたくさん出させてもらってチヤホヤされていたころ。二人とも浮かれたエピソードみたいのを意気揚々と話してたら、店員さんに全部聞かれてたんだよな。

 

高木:そうそう。すごい恥ずかしかった。だから、そこからは全然二人では飲まなくなりましたね(笑)。

池谷:「青葉商店」に来ると不思議と仕事の話にならないんですよ。高木の子どもの話とか奥さんの話とか、高木の家族の話もこの店で初めて聞いた。プライベートな話をしたのが本当久しぶりだった。

 

高木:そうだね。ただの同級生に戻ったみたいな感覚になるよね。地元だからかもしれない。周りで飲んでるお客さんも同じ中学校卒だったりするんですよ。そういう空気感がそうさせるのかな。

 

池谷:そうそう、ホーム感があるよな。オープンの時期もちょうど良かったのかもね。仲悪い時期じゃなかった。あと、この店の好きなところの一つがBGMなんです。オーナーも同世代だからか、僕ら世代に刺さる音楽がいつも流れてるんです。

 

高木:わかる。懐かしい曲ばっかり流れてるから、学生時代とか、芸人目指してた時期を思い出す。

 

池谷:いい音楽はお酒も進むよね。

これが俺たちの「オアシス飯」!凹んだ時は“シンプルにうまいもの”でリセットしたい

左上から時計回りに「からあげ(大山鶏)」(499円)、「焼き鳥 おすすめ5本盛り合わせ(タレ・塩)」(各980円)、「チーピー肉巻き」(1本 290円)、「特製つくね」(1本 290円)、「帆立のアヒージョ」(599円)、「チーズ磯辺焼き」(399円)、「ごまキュウリ」(299円)、「塩こんぶ大根」(299円)、「赤ウインナー」(399円)、「だし巻きたまご」(599円)

左上から時計回りに「からあげ(大山鶏)」(499円)、「焼き鳥 おすすめ5本盛り合わせ(タレ・塩)」(各980円)、「チーピー肉巻き」(1本 290円)、「特製つくね」(1本 290円)、「帆立のアヒージョ」(599円)、「チーズ磯辺焼き」(399円)、「ごまキュウリ」(299円)、「塩こんぶ大根」(299円)、「赤ウインナー」(399円)、「だし巻きたまご」(599円)

高木:わー、豪華!こんないっぱいテーブルに並んだことない。

 

池谷:普段は3〜4品くらいずつ頼むよね。きゅうりと大根、焼鳥とだし巻きを最初に頼んで、揚げ物は後から。食べ終わったらアヒージョと唐揚げ。もうちょっと食べたいってなったら、このタコさんウインナーとかチーズの磯辺焼きとかにいく感じ。

 

高木:タコさんが見たくなるんだよね、ちょうどその頃に。

 

池谷:僕は焼鳥を必ず頼むけど、ここではこの「チーピー」がハズせない。これうまいんですよ。チーズ、ベーコン、ピーマンを合わせていてベーコンのカリカリがたまらない。GO!皆川をここに連れてきた時、一人で10串以上食べてましたね。

高木:僕はだし巻きが大好きなので、本当はひとりじめしたい。だから自分用に一皿頼むこともあります。味も良いけど見た目が好きなんですよ。こんなに優しい色あります?

 

池谷:想像した通りの美味しさが良いんですよね、居酒屋メニューって。

高木:(からあげを食べて)うまい!うまいよ、これ!

 

池谷:いきなりどうした(笑)。普段、そんな大きい声で言わないじゃん。あぁ、でもわかる。うまい。からあげは毎回頼むけど、毎回めちゃくちゃうまいんですよ。毎回腕上げたなって思う。「青葉商店」は大山鶏がウリなので、からあげ、焼鳥、だし巻きと鶏料理が本当どれもめちゃくちゃ美味しいんです。

―――今回のテーマが「オアシス飯」なんですが、落ち込んだときに食べるものありますか?

 

池谷:こういう居酒屋で飲んで気分をリセットするというのはもちろんだけど、僕は「たまごかけごはん」ですね。ガッと食って気分転換になる。居酒屋メニューと同じで、シンプルにうまいものをスッと体に入れたくなる。

 

高木:わかる。シンプルなものが食べたい。僕はめちゃくちゃ「ニンニク」です。丸揚げにして食べる。次の日寝起きも良いし、わかりやすく元気になる。

 

池谷:だから、臭かったのか。最近なかったけど一時期臭かったもんな、おまえ。あれはそういうことか、落ち込んでたのか。そう思うとかわいいな(笑)。

 

高木:それは本当にめちゃくちゃ申し訳なかった(笑)。相方に迷惑かけるから芸人とか喋る職業の人にはオススメできないけど、確実に元気にはなれる。

大ブレイクからの低迷・・・もがいたからこそ辿り着いた“プレーンジョイマン”の楽しさ

―――大ブレイクからの低迷、仲の悪い時期も経て、“再ブレイク”と言われている現在のご心境を聞かせてください。

 

高木:注目していただけるのは単純にうれしいです。本当にみなさんのおかげ。僕らは何も変わっていないから。ナイナイ岡村さん、くりぃむしちゅー有田さん、バナナマン設楽さん、もう中学生さん、他にも極楽とんぼの加藤浩次さん、オードリーの若林さん、FUJIWARA藤本さん、小藪さん・・・芸人ではないですけど細野晴臣さんも。名前を挙げればキリがないけど、芸人のみなさんが名前を出して褒めてくださったこと。声優の花澤香菜さんや元宝塚の明日海りおさんとか、芸人以外の方が真似してくれることも本当にありがたいです。

 

池谷:たくさんの方のおかげだよね。みなさんの発言が世間の方の中に徐々に積もり積もって「ジョイマンって面白いよね」って改めて思ってくれたのかなと思う。

高木さんのTwitterより(@joymanjoyman)。2014年に開催したサイン会ではお客さん0人という記録をたたき出す。

高木さんのTwitterより(@joymanjoyman)。2014年に開催したサイン会ではお客さん0人という記録をたたき出す。

高木:低迷していたときは、周りからのプレッシャーを勝手に感じて、新ネタもいろいろやりました。未来から来たメカジョイマンとか、過去から来たサムライジョイマンとか。もがいてもがいて。でも、一周して結局プレーンなジョイマンが一番楽しいとわかった。そうなってからからは自信がついたからか、どんどん跳躍力も上がってきて、今度は高く飛ぶということで笑いが起きるようになった。それはネクストステージがきたなとちょっと感じましたね。

 

池谷:「なんだこいつぅ〜!」のフレーズで笑ってくれるのもそれだよね。僕らはそういうつもりで作っていないから。やり続けたからこそ進化できた。進化というと大げさかもしれないけど、自分たち自身が楽しめるようになった。そして、やり続けたことで見ている方もジョイマンの楽しみ方を探して見つけてくれたんだと思う。

 

高木:前にテレビにたくさん出させてもらっていた時期は、無駄にギラギラしてたんですよ。

 

池谷:そうそう。「ちゃんとお笑いしようよ」みたいな空気が二人だけの時も流れていて、その時仲悪かったよな。

青葉商店での二人の定位置「ジョイマンはここにいるよ。」

青葉商店での二人の定位置「ジョイマンはここにいるよ。」

池谷:高木と今のような関係になれたのも、偉大な先輩方のおかげ。ムーディ勝山さんが率いる「一発屋オールスターズ」というライブに参加させてもらってるんですけど、そのメンバーのみなさんが背中を見せてくれる。コンビでの話し合いって同じ目線で話すから、結論が出ないことが多い。たぶんどっちも正解でどっちも不正解。仲が悪いと延々とその良くない状態が続いてしまう。

 

高木:ある時、レギュラーの松本さんに「すぐに言い合うんじゃなくて何かウッて思っても1日置いてから言った方がええで」と言われて、本当にそうだなと思ってそれは実行しています。

池谷:一発屋の先輩方は僕らの先を歩いているから、アドバイスがすごく響くんですよ。一言の影響がすごく大きい。本当に一時期から言い合いみたいのなくなったよね。あとは、レイザーラモンHGさんが「セイ!」の時の高木の手が落ちていると指摘してくれたり。

 

高木:確認したら本当に下がっていた。自分でも気がついてなかった。HGさんも一時期「フォー!」の手が下がっていたらしくて、だからこそ指摘してくれた。今は耳につくくらいピンと手を上げています。

 

池谷:売れてた頃よりも今のが上がってるよな(笑)。スベるのが怖いから、高木の手も下がって動きも声も小さくなって、そうすると当然ウケない。ウケないとコンビ仲も悪くなってどんどん悪循環。腕を上げるようになったら、新しい笑いも起きて、少しずつ良い感じになっていった。そうすると自分たちの意識も変わって、今日の営業で一番面白かったって言ってもらおうとか、目の前のお客さんに笑ってもらうことが目標になった。

 

高木:ウケなくても良いとは思ってないけど、今はスベるのが怖くなくなった。「ジョイマンずっとラップしてるじゃん」と、続けていることが面白いみたいな感じになってきたから。めげずにやり続けて良かったなと思う。

 

池谷:僕は天津木村さんに「無理してうまいこと言おうとするな。世間はジョイマンにうまい返しを期待していない。“へへへ”で良いんだよ。ジョイマンはとくにそれが似合う」と言われたのも大きかった。できなかったんですよね、以前は。良い返しをしなきゃ、うまくやらなきゃと思ってガチガチだった。「へへへ」と言えるようになって、初めてその場を楽しめるようになった。

 

高木:本当、先輩方にはお世話になりっぱなしです。みなさんをここに呼んでお礼したい。

ジョイマンが目指すもの―――死ぬ最期の瞬間までラップできることが理想

―――これから、ジョイマンとして目指す形はありますか?

 

池谷:変わらずこのペースで仕事していけたら良いかな。なんだかんだあったけど、ずっと楽しい仕事をさせていただいているのでこのままのペースで。何歳までラップネタができるのかというチャレンジはしていきたい。今40歳だから、60歳、70歳・・・いつまでヒウィゴーできるかな。

 

高木:僕も同じですね。

 

池谷:そこも頼もしい先輩方がいるので。HGさんとか、歳とってからも楽しみじゃないですか。体は何歳まで維持できるのか。腰が曲がっても「フォー!」と言っているのか。

 

高木:あとは、僕はもっと高く飛んでいきたいですね。

 

池谷:今、僕ら天井が低い舞台はNGにしてるんですよ(笑)。

 

高木:どこまで高く飛べるか。最終的には二階席の人と目が合うことを目指しています。

 

池谷:飛行機だってそういう発想から始まったんだからできるよ。横にいる高木がある日、二階席の目線の高さまで飛ぶってことでしょ。楽しみだよ。

青葉商店のみなさんとジョイマンのお二人。「なんだこいつら~!」

青葉商店のみなさんとジョイマンのお二人。「なんだこいつら~!」

池谷:以前、高木に解散を切り出したことがあるんです。芸人を辞めたいと思ったことは、僕は一度もないんですけど、高木を誘ったのは僕だから。高木は自分から解散したいって言いだせないだろうなと思って。独身だったら良いけど高木は子どももいるから、仕事量を冷静に見た時にそういう選択肢もやむを得ないかなと。

 

高木:家族がいるからと気遣ってくれたのはわかったけど、僕はもともとお金を稼げないと思って芸人になっているので、それを原因にやめるのは違うかなと思った。お金はなくても、お笑いでやりたいことがまだあるから、大丈夫だよって。

 

池谷:結婚して子どももいてお金がなくても良いって言えるのは、やばいやつだなと思いました。本当に「なんだこいつぅ〜!」ですよ。でも、僕は芸人辞めたいと思ってなかったけど、高木が辞めると言ったら辞めていたと思う。解散して続けるという選択肢はなかった。だから、これからも高木とずっとジョイマンを続けていくんでしょうね。

 

高木:僕は地球滅亡の日までラップできたらと思ってるんです。映画『タイタニック』の音楽隊みたいに、最期の瞬間までラップできていたらなって。それを目指したい。

 

池谷:じゃあ、俺は沈む直前に隣で「なんだこいつぅ〜!」って言うよ。

 

高木:それでザブーンって一緒に死のう。いいね、最高だね。

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時代酒場 青葉商店
  • 所在地

    神奈川県神奈川県横浜市青葉区青葉台2-5アレックス青葉台1F

  • 電話番号

    045-988-1115

  • 最寄駅

    青葉台

ジョイマン

ジョイマン

2003年4月にコンビを結成。2007年より「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)に出演し、“クセになる脱力系ラップ”のキャッチコピーでブレイクするも、2014年に開催したサイン会ではお客さん0人だった。
2018年7月には「チケットが完売しなければ解散」という条件付きで「ジョイマン15周年記念単独ライブ『ここにいるよ。』」を東京・ルミネtheよしもとで開催。チケットを完売させ、解散を回避した。
現在もまたプチ再ブレイク中!

YouTubeチャンネル「ジョイマン池谷の孤独酒」配信中。

取材・撮影・文/君島有紀

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※本記事は2021年10月27日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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