【第9回・“大英博物館展”編】雑誌感覚で学べる人類200万年の歴史

▲同展公式サポーターの田中麗奈ちゃんと強引にツーショット。ちなみに麗奈ちゃんのオススメは《ヘブライ語が書かれたアストロラーベ》だそうです

▲同展公式サポーターの田中麗奈ちゃんと強引にツーショット。ちなみに麗奈ちゃんのオススメは《ヘブライ語が書かれたアストロラーベ》だそうです

おもちゃ、パソコン、デジカメ、スマホにアウトドアギアなどなど、モノ好きが嵩じて自分のアバターぬいぐるみ“ミニくまちゃん”まで作ってしまった熊山です。


これはきっと子どものころ、家が貧乏だったせいでろくにモノを買い与えられなかった「やり残し症候群」によるものですが、そろそろ資本主義社会のゴミ箱みたいになってきた自宅を見るにつけいい加減、断捨離たい気分なんですが、気がつくと新しいMacBookとかスニーカーとかをポチっているわけですよ。


なんとかしたい、なんともできない。なぜならモノが好きだから。


というモノ中毒者にぴったりな展覧会が、上野公園にある東京都美術館で始まりました。その名も「大英博物館展─100のモノが語る世界の歴史」(2015年4月18日(土)~ 6月28日(日)まで)。これは同館所蔵の約700万点以上ものコレクションから100のモノを厳選し、人とモノの歴史をひもとくという趣旨で、もともとはイギリスBBCラジオの番組とその書籍から生まれた企画なのだそうです。


選ばれた100のモノは、200万年前の人類最初期の石器から、現代のクレジットカードまでバラエティ豊か。中には同館名物の《ウルのスタンダード》や《ルイス島のチェス駒》といったビックリマンでいうヘッドシール級の目玉も来日しています。


これはいわば、モノをきっかけにした脳内タイムトリップ。妄想ならば1人にこしたことはありません。というわけで上野動物園入り口の隣にある東京都美術館へと単身向かったのでした。

まるで全100号のミニチュア付き分冊百科のよう

▲入り口にある《古代エジプトの棺》(紀元前600年頃 エジプト)。女性用の棺桶なのになぜか中に入っていたミイラは男性。なおかつ頭部に脳みそを取り出した際に置き去りにされたと思われる「へら」が残っていたとか

▲入り口にある《古代エジプトの棺》(紀元前600年頃 エジプト)。女性用の棺桶なのになぜか中に入っていたミイラは男性。なおかつ頭部に脳みそを取り出した際に置き去りにされたと思われる「へら」が残っていたとか

展示は、《古代エジプトの棺》と、現代ガーナの《棺桶(ライオン)》の「過去と現在」が象徴的に並べられたプロローグから始まります。以降は第1章から第8章まで、「都市の誕生」や「儀式と信仰」「技術と藝術の革新」などのテーマごとに、時空を超えて関連するモノが集められているといった構成です。

▲ミイラの棺の隣にあるのは現在ガーナで使われている《棺桶(ライオン)》(2003年 ガーナ 国立民族博物館蔵)。奥にはビール瓶型やナマズ型、カカオの実型などユニークなかたちの棺の模型が並んでます。なぜそのかたち?

▲ミイラの棺の隣にあるのは現在ガーナで使われている《棺桶(ライオン)》(2003年 ガーナ 国立民族博物館蔵)。奥にはビール瓶型やナマズ型、カカオの実型などユニークなかたちの棺の模型が並んでます。なぜそのかたち?

各章の展示スペースには、展示品が時系列に並べられた年表のほか、世界中のどの場所から来たモノかがわかる地図が用意されているので、あまり地理や歴史に明るくない人でも、全体像を俯瞰することでバシッと理解できます。この辺はとても雑誌っぽいですね。毎号ミニチュアを付けて、デアゴスティーニみたいな分冊百科にしても売れそうなくらいお上手。


とはいえ100作品もあるので、じっくり見てまわるとそれなりに時間とパワーが吸い取られるのですが、考えようによっては「100作品だから鑑賞が楽ちん」とも言えます。それぞれの展示品に1から100までナンバリングされているため「あと、60作品もあるから急ごう」「残り20作品なら、ゆっくりでも大丈夫か」とペース配分できるからです。


ペース配分は人それぞれですが、これは他の展覧会でも真似してほしい展示方法かもしれません。

おもちゃ好きが気になるのはスタチュー関連

▲こちらが大人気の《ウルのスタンダード》(紀元前2500年頃 イラク)。スタンダードとは軍旗の意味だそうですが、発掘者の考古学者がそう呼んだだけで真の用途は不明

▲こちらが大人気の《ウルのスタンダード》(紀元前2500年頃 イラク)。スタンダードとは軍旗の意味だそうですが、発掘者の考古学者がそう呼んだだけで真の用途は不明

冒頭で触れたように、展示の目玉は大英博物館でも人気の高い《ウルのスタンダード》と《ルイス島のチェス駒》です。《ウルのスタンダード》は、紀元前2500年頃のシュメール人の都市ウル(現在のイラク)から発掘された謎の箱で、裏と表に戦争と平和がそれぞれ描かれています。用途はようとして知れないのですが、シュメール軍を描いた最古の図として貴重な資料なのだそうです。なかには戦車に踏みつぶされている敵軍兵もいるのですが、4500年後までその姿が刻まれるなら光栄とも言えましょう(言えないか)。

▲一度もハリポタシリーズを観たことないのでピンときませんが、《ルイス島のチェス駒》(1150~1200年 イギリス・ルイス島 おそらくノルウェーで制作)。レプリカのチェスセットがショップで買えます

▲一度もハリポタシリーズを観たことないのでピンときませんが、《ルイス島のチェス駒》(1150~1200年 イギリス・ルイス島 おそらくノルウェーで制作)。レプリカのチェスセットがショップで買えます

一方の《ルイス島のチェス駒》は、映画『ハリー・ポッターと賢者の石』にも登場したという、スコットランドの島で発見されたセイウチやクジラの歯で作られた見事な駒です。ちょっとユーモラスさも感じさせる造型は、いまフィギュア化しても人気が出そうですね……と思った矢先にミュージアムショップで販売されていたので、お好きな方はどうぞ。1万3000円になりま?す。


他にも、人類最古の道具や世界初の金貨、ダーウィンと世界一周した航海時計など激ヤバグッズが目白押しなのですが、ミニくまちゃん的に気になるのはやっぱりフィギュアやスタチュー(立像)関連。というわけでその他の展示品もミニくまちゃんライクなものを中心にご紹介しましょう。

▲大英博物館にある最古のギリシャ彫像《カルパトス島の女性像》(紀元前4500~前3200年 ギリシャ・カルパトス島)。顔とおっぱいとアソコが強調されていますが、その意図は謎だそうです

▲大英博物館にある最古のギリシャ彫像《カルパトス島の女性像》(紀元前4500~前3200年 ギリシャ・カルパトス島)。顔とおっぱいとアソコが強調されていますが、その意図は謎だそうです

▲ジョジョ好きならちょっと惹かれる《アラビアの手形奉納品》(100~300年 イエメン)。小指が不自然に曲がっていることから、実際の人の手から鋳型を取られたようです。つまり約2000年前の手

▲ジョジョ好きならちょっと惹かれる《アラビアの手形奉納品》(100~300年 イエメン)。小指が不自然に曲がっていることから、実際の人の手から鋳型を取られたようです。つまり約2000年前の手

▲あっち向いてホイをやっているような《六博ゲームをする人物像》(1-200年 中国)。これは遺体とともに埋蔵される副葬品。中国では今でも紙製の紙幣とかスマホ、ゲーム機などの冥銭や冥器文化がありますものね

▲あっち向いてホイをやっているような《六博ゲームをする人物像》(1-200年 中国)。これは遺体とともに埋蔵される副葬品。中国では今でも紙製の紙幣とかスマホ、ゲーム機などの冥銭や冥器文化がありますものね

▲ミニくまちゃんパワープッシュは南米最初の国家《モチェ文化の壷》(100?700年 ペルー)。かわいくデフォルメされた壷フィギュアもまた副葬品なのだそうです

▲ミニくまちゃんパワープッシュは南米最初の国家《モチェ文化の壷》(100?700年 ペルー)。かわいくデフォルメされた壷フィギュアもまた副葬品なのだそうです

▲おそろしい形相をしているのは《アステカ文明の悪霊の像》(1400~1520年頃 メキシコ)。出産時に亡くなった産婦の霊で、ほかの子どもをさらうのだとか。ミニくまちゃん、逃げてー

▲おそろしい形相をしているのは《アステカ文明の悪霊の像》(1400~1520年頃 メキシコ)。出産時に亡くなった産婦の霊で、ほかの子どもをさらうのだとか。ミニくまちゃん、逃げてー

▲こちら金ピカの箱は、古代ローマ将軍の遺骨入れ。《聖エウスタキウスの聖遺物容器》(1210年頃 スイス・バーゼル》は、故人の生前の姿をかたちどった上、金箔で豪華絢爛に。中には遺骨が入っていたのだとか

▲こちら金ピカの箱は、古代ローマ将軍の遺骨入れ。《聖エウスタキウスの聖遺物容器》(1210年頃 スイス・バーゼル》は、故人の生前の姿をかたちどった上、金箔で豪華絢爛に。中には遺骨が入っていたのだとか

▲大航海時代、キリスト教は世界中に伝播します。とうとうインドにまで到達したのは《ゴアのキリスト像》(1600?1700年 インド・ゴア)。象牙に金箔貼りという今では考えられないほどのリュクス

▲大航海時代、キリスト教は世界中に伝播します。とうとうインドにまで到達したのは《ゴアのキリスト像》(1600?1700年 インド・ゴア)。象牙に金箔貼りという今では考えられないほどのリュクス

▲日本からも磁器が参戦。《柿右衛門の象》(1650~1700年 日本)の極彩色の象フィギュア。ちょうどミニくまちゃんがまたがったらいいサイズなんだけどなー。またがらしてくんないかなー

▲日本からも磁器が参戦。《柿右衛門の象》(1650~1700年 日本)の極彩色の象フィギュア。ちょうどミニくまちゃんがまたがったらいいサイズなんだけどなー。またがらしてくんないかなー

▲フィギュア系ではありませんが、隣の映像展示があまりにもショッキングなので紹介したい《シエラレオネの儀式用仮面》(1880年代末(仮面部分) シエラレオネ)。女性による秘密結社の通過儀礼における仮面劇で使われたそうです

▲フィギュア系ではありませんが、隣の映像展示があまりにもショッキングなので紹介したい《シエラレオネの儀式用仮面》(1880年代末(仮面部分) シエラレオネ)。女性による秘密結社の通過儀礼における仮面劇で使われたそうです

▲もうひとつ大好きなのが《ジャワの影絵人形》(1800年頃 インドネシア・ジャワ島)。トルコのカラギョズといい、こういう影絵が大好物なのれす。あー、実演してるところも観たいなー

▲もうひとつ大好きなのが《ジャワの影絵人形》(1800年頃 インドネシア・ジャワ島)。トルコのカラギョズといい、こういう影絵が大好物なのれす。あー、実演してるところも観たいなー

と、そんなこんなで100作品中のごく一部だけをご紹介した大英博物館展。他にもさまざまな種類のモノが目白押しですので、自分の好きなジャンルに絞ってじっくりと眺め妄想時間旅行をしたり、謎の出自を巡ってミステリーハンター気分で推理したりと、それぞれの楽しみ方ができるのもまた同展のフトコロの深さでありましょう。もっとも、会場ラストにはミュージアムショップが待ち受けていますので、物欲のおもむくままに散財するとフトコロがさびしくなるのでモノ好きは心してお出かけくださいませ。


また、同展では未来へ繋がる歴史の新たな1ページを飾るにふさわしい101点目を、来場者からの投票と公式HPで選ぶという企画もおこなっています。100点のモノを観ながら、自分なら展示の最後に何を持ってくるか、とあれこれ考えながら同展を楽しむのも面白いかもしれませんね。


ぼくなら101点目はもちろんミニくまちゃんですけどね!

▲ミュージアムショップももちろんチェック。スフィンクスなどの各種ダックちゃんは全5種類で各980円。ミイラ缶ペンケースやカプセルフィギュアなんかあって散財必至!

▲ミュージアムショップももちろんチェック。スフィンクスなどの各種ダックちゃんは全5種類で各980円。ミイラ缶ペンケースやカプセルフィギュアなんかあって散財必至!

ソロで“大英博物館展”を楽しむための心得

その1 雑誌ライクにまとめられた各章で地理歴史をお勉強

その2 モノが生まれた時代に妄想タイムトリップ

その3 謎の出自を巡ってミステリーハンター気分で推理

その4 自分なりの101点目を考えてみよう

その5 特製グッズが手に入るショップももちろんチェック

東京都美術館
  • 所在地

    東京都台東区上野公園8-36

  • 電話番号

    03-3823-6921

  • 最寄駅

    上野

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※本記事は2015年04月30日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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