旅するパンマニアがナビゲート!“湯ゲル”×低温長時間発酵でつくるもっちりパンが人気の注目店/siro
10,000個以上のパンを食べ歩いた旅するパンマニア、片山智香子です。本記事ではもっちりしたパンを食べるなら絶対に外せない、三鷹のパン屋さんをご紹介します。
JR三鷹駅で下車し、南口から4分くらい歩いたところにある「siro(シロ)」。
長年、青山の人気ベーカリー「デュヌ・ラルテ」でシェフをされてきた後藤一哉さんが2023年4月に独立開業されたお店です。
なぜ三鷹でご自身のお店を開いたのかお聞きしたところ、まず15年以上住み慣れた土地であるということ。さらに都心に近いのに自然も多く、穏やかでとても住みやすい街であることも決め手となったのだそう。少し意外かもしれないですが、実は三鷹には農家さんも多く、野菜や果物、卵などもとれるのだそうです。
パンの種類は常時40種類。すべてのパンに国産小麦と湯ゲルを使い、低温長時間発酵(バゲットを除く)で作っているのだそう。パン作りに馴染みのない方には、ん??とハテナな言葉ばかりだと思うので説明すると・・・
もっちりとしたパンを作る方法の一つに「湯種」を使うものがあります。これは小麦粉に熱湯をかけてα化(糊化)したデンプンを生地に加えるもの。最近ではスーパーなどで販売しているパンにも湯種製法が使われていることがあるので、一度は聞いたことがある方もいらっしゃるのでは?
そして、もっちりするという意味では似ていますが、小麦粉を水と合わせて65度くらいまで炊き上げ、ヨーグルトよりどろりとした状態にするのが「湯ゲル」。これを生地に加えると、湯種よりもっちり感を調整しやすいのだそうです。
また、低い温度で長い時間発酵させることで生地の水和と熟成が進み、小麦本来の香ばしさや、甘み、うま味が最大限に引き出せるとのこと。
そんな製法で作られる数あるラインナップの中から、特にオススメしたいパンをいくつかご紹介しましょう。
こちらは、塩あんサンド「お塩のあん子」(280円)。リピート率No.1の「siro麹(塩麹使用パン)」の生地を使用した塩バターパン「お塩」に、こしあんとアーモンドペーストをはさんだものです。
「siro麹」はsiroの看板商品で、その名の通り麹を使ったパン。後藤シェフ曰く、毎日食べても飽きのこない、それでいてそのままで食べても美味しい、塩むすびのようなパンを作りたい!という発想から生まれたのだそう。
小麦粉は国産小麦の「キタノカオリ」と「ゆめちから」の2種類を配合していて、麹のうま味とバターの香りの不思議なマリアージュがたまりません。
パン生地は加水110%というだけあり、もっちりペタッと瑞々しいです。それに、たっぷりサンドされたこしあんは口当たりなめらか。甘みと塩味のバランスがちょうど良く、甘じょっぱさが後引くお味。
こちらは、くるみとレーズンの入ったハード系のパン「ノワレ」(340円)。
通常、小麦粉に対して60%から80%の副材料を配合しているところ、こちらには140%も入れているのだそう。あぁ、だから一口目から、くるみの香ばしさとレーズンの甘みが口内いっぱいに広がるのか!と妙に納得。
ハード系のパンに属していますが、こちらは持った時からそこまで硬さは感じません。トーストしても、あまり食感の違いは感じなかったかな。どこかやわらかみを感じるのは湯ゲルを使うことによって出る、もっちり感がそう感じさせるのかも。
とにもかくにも生地自体の味わいはシンプルなので、よりクルミとレーズンのうま味が際立っています。
最後にご紹介するパンは、入り口から向かって左側にあるイートインスペースでいただきました。
セルフにはなりますがお皿もありますし、トースターもあるので、パンを温め直すことも可能。コーヒーや紅茶もオーダーできるのだけれど、ウォータースタンドがあるのでお水を飲むこともできるみたいです。
こちらでいただいたのが、ブリオッシュ生地で作った揚げバターロール「サン」にキャラメルクリームが入った「キャラメル・サン」(320円)。
初めに驚いたのが生地の軽さと歯切れの良さ。パンなのだけれど、どこかドーナツのようなクチドケの良さは、パンを揚げ焼きにしていることがポイントなのだそう。型の中心部分に生地のとじ目を上にして、まわりに米油をかけてから焼いているので、揚げパンとドーナツの間のような食感に。
中に入れるクリームは、三鷹産の平飼い卵を使用した濃厚なキャラメルカスタードクリーム。
揚げ焼きにしていることと、ブリオッシュ生地を使っていることで、どうしてもパンの主張が強くなってしまう。カスタードクリームでは味わいのインパクトが弱くなってしまうので、ほろ苦さも甘みもあるキャラメルカスタードクリームにしたら、クリーム自体にも存在感が出てバランスの良いクリームパンになったのだそう。個人的にもかなり気に入った一品でした。
駅からも近く、大きな通りから一本奥に入った場所にあるので、都内でありながら静かな環境です。全体的にパンがもっちりしているため、瑞々しい食感のパンが好きな人は絶対に気に入るはず。イートインスペースもあるので、ぶらり三鷹を散歩しながら寄られてみてはいかがでしょうか。
〒181-0013
東京都三鷹市下連雀 3-37-28 藤和 シティコープ三鷹南
三鷹駅
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東京都三鷹市下連雀 3-37-28 藤和 シティコープ三鷹南
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※本記事内の情報は2024年10月01日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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