喫茶ライターがナビゲート!十人十色の客が憩う駅近の喫茶店/ローヤル

喫茶ライターの川口葉子です。本記事では有楽町駅前のランドマーク「東京交通会館」の地下1階に広がる純喫茶をご紹介します。昭和40(1965)年のオープン以来、待ち合わせや軽食、談話の場として半世紀以上も親しまれてきた「ローヤル」です。


以前は席での喫煙が可能でしたが、コロナ禍による休業期間中に店内に喫煙ブースが設けられ、吸わない人にとっても快適な空間になりました。

ローヤルの3つの特長といえば、大理石やステンドグラスに彩られた広い空間と、充実した喫茶メニューと、ネクタイ姿で活躍する年配のスタッフの方々。長く愛される喫茶店づくりの秘訣について、支配人の野山弘さんにお話を伺いました。


「昔ながらの喫茶店の魅力を楽しんでいただくために、変化する時代に対応しながら常に小さな挑戦を続けています」。野山さんは気さくな口調で語ります。


その言葉通り、広々とした店内は昭和時代から変わらないレトロな印象を保ちながら、東日本大震災後に巨大なシャンデリアを撤去したり、喫煙ブースを設けたり、お店と共に年齢を重ねた常連客の「老眼で新聞が読みにくくなった」という訴えに応えてカーテンを外し店内を明るくしたりとアップデート。


安全性と利便性と清潔感を大切にしつつ、より居心地の良い場所となるよう変わり続けているのです。

▲写真左「フルーツサンデー」(1,000円)、写真右「小倉バタートースト」(700円)

▲写真左「フルーツサンデー」(1,000円)、写真右「小倉バタートースト」(700円)

メニューの進化もしかり。1980年代までローヤルの主なお客さまは、近くにあった東京都庁や朝日新聞社などで働く人々と、交通会館のパスポートセンターを訪れて待ち時間を過ごす人々でした。平成3(1991)年の都庁移転で来店者数が減ってしまったのを機にランチやスイーツメニューの充実を図り、女性をメインに新たなファンを獲得したのだそう。


何ページもあるメニュー表には、たっぷりのアイスクリームにリンゴやメロンなどを盛り合せた「フルーツサンデー」(1,000円)のような創業当時からの懐かしのメニューと、最近人気だという「小倉バタートースト」(700円)のような新規のメニューが並んでいます。


「食べ応えを感じていただけるようトーストは厚切りに。見た目に関しては有楽町らしい落ち着きを大事にしたいので、派手に飾るのではなくシンプルにしています」と野山さん。

「経験を重視して採用しました」という年配のスタッフの方々は、ネクタイに黒いスラックスで統一し、折り目正しくも親しみやすさを失わない接客で好印象です。常連客にとっては、そんなスタッフと交わす何気ない短い会話も息抜きの一つ。近隣に勤めていて毎日のように通っていた人々は、定年退職する時に挨拶をしに来店してくれるのだそうです。

「このあたりはかつて飲み屋横丁だった場所。有楽町は本来、銀座とはまた違う親しみやすい街なんです。そんな街の喫茶店ですからお客さまには自由に過ごしてほしい」と野山さん。


コロナ禍の後は客層が大きく変わり、中高年のビジネスマンよりも若いお客さまが目立つようになりました。店内は談笑するグループ客からノートPCを開いて黙々と仕事をする一人客まで十人十色。変化を続ける街と共に歩んできた喫茶店で、憩いのひとときを過ごしませんか。

ローヤル
  • 所在地

    東京都千代田区有楽町 2-10-1 東京交通会館B1F

  • 最寄駅

    有楽町

  • 電話番号

    03-3214-9043

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