日本在住16年、イタリア人フードライター・マッシがナビゲート!
こんにちは、イタリア人フードライターのマッシです。日本に来て約16年、日本食やスイーツを中心に食べることが大好きで、毎日SNSやブログで食への愛を発信しています。そして今年1月、金沢から東京に引っ越すことに。元々仕事で東京に来ることは多かったけれど、都内のお店巡りを本格的にスタートできること、嬉しく思います。
そんな私が今回紹介するのは、「都内で本場イタリアのチョコを食べるならココ!」という、思い出深いお店。
日本で故郷の味が楽しめる“奇跡”
日本人は、イタリア人より、ヨーロッパ人よりもチョコを愛食していると言えるのではないか。なぜなら、チョコレートに馴染みが深いピエモンテ出身の僕は、子供の頃からチョコレートを食べ続けていた。そんな僕が日本に住んで、イタリアにいた頃よりさまざまなスタイルのチョコレートに出会えているからだ。
日本では全国各地でさまざまなチョコレートに出会えるが、とりわけ東京にはたくさんのチョコレートがある。その中には、“イタリアの故郷の味”もある。例えば1878年から続いている、言葉にできないほどストーリーが深くて昔ながらの味だ。それをこの日本で、現地と変わらぬ味でいただけるという奇跡はなかなかない。
ピエモンテの味を追求したチョコレート
そのお店とは、2019年12月に日本初上陸し現在は全国13店舗まで増えている「ヴェンキ」のこと。ピエモンテ州トリノの老舗チョコレート&ジェラート専門店だ。お店の空間とデザインまでイタリアにいるような気分になるから、一回行ってしまうと本当に止められない。また行きたくなるお店だ。
ヴェンキを食べる前に知ってもらいたいのは、創業者の話だ。
1878年、トリノ出身のシルヴィアーノ・ヴェンキさんがある日、チョコレートに恋をしてしまった。当時、20歳の彼は全てのお金と情熱を掛けて、お鍋と道具、そしてカカオまで買って自分のアパートでチョコレート作りを始めた。その日から現在までずっと変わらずピエモンテの地で、最高のチョコレートを作っている。
こだわりのカカオやヘーゼルナッツ、ミルクなどの食材から生み出したヴェンキチョコは、今まで食べたことがない食感と濃厚さ。中でもピエモンテ人にとって欠かせないのが、「クレミノ」と「ジャンドゥイオット」だ。
クレミノは、アーモンドペースト入りのホワイトチョコレートをミルクジャンドゥーヤで挟んである。1878年から作り続けられているジャンドゥイオットは、ヘーゼルナッツを完全にすり潰しペースト状にしたものに、ココアと砂糖を加えて作られている。口に入れると溶ける魔法のような食感。風味だけでもすでに魅力的なのに、一口食べてしまったら長い長いヴェンキの旅が始まる。説明ができないほど美味しい。
ヴェンキに限らず、クレミノとジャンドゥイオットの形状はどれもこういったピエモンテ特有の形。イタリア人ならこの名前を聞いて形を見て、ピエモンテ産のものとすぐ分かる。そして、食べる前から笑顔になる。その上、チョコレートだけではなくジェラートもあるから、ピエモンテの魅力が全力で出てくる。
イートインスペースでイタリアにいるように楽しめる/ヴェンキ大手町店
1都3県内にあるヴェンキのなかでも、Otemachi One店とルミネ大宮店にはイートインスペースがある。
ヴェンキのお店に入ったら、日本ではなく「ここはピエモンテだ」といつも感じてしまう。チョコレートの豊富さとカラフルな雰囲気、濃いジェラート。それから、店員さんの笑顔の明るさ。
さらにあまり知られていないかもしれないが、大手町店にはヴェンキのジェラートとチョコレートを使った「ヴェンキーノ」(605円)と「コーヒーヌガティーヌ」(605円)と「アフォガード」(990円)もあって、イタリアにいるように楽しめる。3つとも関東の中では大手町店にしかないイートイン限定メニューだから、わざわざ来たくなってしまう。
「ヴェンキーノ」はエスプレッソにチョコレートソース掛けホイップクリームがのったドリンク、同じくドリンクの「コーヒーヌガティーヌ」は、エスプレッソにチョコレートが入ったもの。そして「アフォガード」には、ヴェンキでは定番のバニラアイスではなく、ヘーゼルナッツのジェラートを使用。そこにエスプレッソを掛けて食べるドルチェだ。ヴェンキのチョコをコーヒーと組み合わせれば最強の飲み物になる。
定番のチョコレートだけでなく、限定のチョコレート、そしてパッケージのデザインにも様々なものがある。2月といえば、バレンタインデーだ。この日に特別なプレゼントをしたいなら、ヴェンキのチョコレートを贈らない手はない。
まず開ける前にパッケージのデザインがかわいくて、見ているだけでワクワク感が止まらない。実際に手にすると、さらに特別感で溢れる。少しずつ開けて出てくるのはチョコレートだけではなく、ピエモンテで生まれた140年以上前から続く“アモーレ”だ。
バレンタインシーズン限定コレクションはなんと、“ひと口で恋に落ちる瞬間”のイメージになっている。こんなにイタリアのアモーレを感じる瞬間は、日本ではヴェンキ以外にないだろう。
- ヴェンキ (Venchi) Otemachi One店
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所在地
東京都千代田区大手町 1-2-1 Otemachi One 1F
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最寄駅
大手町
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電話番号
03-6206-3273
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ライター紹介
イタリア・ピエモンテ出身の日本食が大好きなイタリア人フードライター。KADOKAWAでフードエッセイ「イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ」を出版。日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジの他、関東の気になるお店や食をイタリア人の目線で発信。
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※本記事内の情報は2023年02月04日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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