「世界三大珍獣」は、実は「特に理由なく世間に知られている通説」の一つ
「世界三大珍獣」って聞いたことありますか?
実は「世界三大珍獣」というくくりは、学術的な根拠や明確な基準で選ばれたものではありません。「特に理由なく世間に知られている通説」の一つです。
日本人は「三大なんとか」が好きで、「日本三景」「世界三大料理」というように秀でた3つを選んだものが多くありますが、明確な基準で選んでいないものも多いです。「世界三大珍獣」もその一つで、残念ながら「三大」や「珍獣」の定義がありません。
とはいえ、幸運にも「世界三大珍獣」として選ばれた動物たちは、「ジャイアントパンダ」「オカピ」「コビトカバ」の3つ。

ご存じ「ジャイアントパンダ」。

そして「オカピ」。美しくも不思議な模様をしています。

そして「コビトカバ」。普通のカバの1/10の体重しかありません。
いずれも、学術的に存在を認められた時期が19世紀後半から20世紀と最近だったり、「見た目」が風変わりだったりということもあって、「珍獣」とくくられたのかもしれません。
理由はさておき、その3種類の動物がすべてそろうのは、日本では上野動物園だけです。

▲「世界三大珍獣」がそろうのは日本では上野動物園だけ。上野動物園ではその中でも「ジャイアントパンダ」推し。
それでは、ジャイアントパンダとオカピ、コビトカバを順番に見ていくことにしましょう。
「パンダ」じゃないよ、「ジャイアントパンダ」だよ
上野動物園で大人気のジャイアントパンダ。

実は「パンダ」ではなくて、「ジャイアントパンダ」なんですよ。知っていました?
最初に「パンダ」として発見されたのはジャイアントパンダではなく、現在の「レッサーパンダ」の方でした。ですので、当初はレッサーパンダが「パンダ」と呼ばれていたのです。

▲最初は「パンダ」と呼ばれていたレッサーパンダ。上野動物園の西園にいます。
その数十年後に「白と黒のパンダ」が学術的に発見され、区別するために大きい方を「ジャイアントパンダ」、小さい方を「レッサーパンダ」と呼ぶようになりました。
少し余談ですが、近年、海外ではレッサーパンダを「レッドパンダ(Red Panda)」と呼ぶようになってきています。「レッサー(lesser)」にはネガティブな意味合いがあるためです。日本でもその動きは来るのでしょうか。

ジャイアントパンダは、とにかくよく食べます。大量の竹をおいしそうにムシャムシャバリバリ食べます。野生では竹ばかりを食べるわけではなく雑食で、肉食性の強い雑食動物の仲間だそうです。

▲おいしそうに竹をムシャムシャ。

▲食べるのが仕事の一つです。

▲竹細工職人ではありません。
ところで、ジャイアントパンダの尻尾は何色だと思いますか? よくクイズなどで出題されますが、ジャイアントパンダの尻尾は白色です。街中で売られているぬいぐるみの尻尾は黒いことが多いですが、実際の尻尾は白色です。

▲尻尾は白色です。黒色ではありません。
ジャイアントパンダはトレーニングもします。

▲足腰のトレーニングもします。
そして、ジャイアントパンダは大人にも子供にも大人気です。

▲上野動物園の人気者。ゴールデンウィークには2時間待ちの行列になることもあります。
ジャイアントパンダは、日本では上野動物園の他に、アドベンチャーワールド(和歌山)と神戸市立王子動物園でも飼育されています。絶滅危惧種(絶滅危惧II類)に指定されていて、すべて中国からお借りしています。
美しく不思議な模様をした「オカピ」
オカピは、西園のアミメキリンの隣にいます。

オカピの体は、美しくて不思議な模様をしています。胴体は赤茶色で、脚やお尻にシマウマのような白と黒褐色の縞模様があります。その美しい模様から、「森の貴婦人」とも呼ばれます。

▲「森の貴婦人」オカピ。

▲脚やお尻にシマウマのような白と黒褐色の縞模様があるのが特徴。
脚はシマウマのような模様をしていますが、実はキリンの仲間です。キリンの祖先とも言われています。キリンと同じように舌も非常に長いです。長い舌で木の葉を巻き取るようにして食べます。

▲えっ!とびっくりするくらい舌も長いです。

▲オカピはキリンの仲間。キリンの舌も同じように長いです。

▲上野動物園のオカピはアミメキリンと隣同士。お互いに存在がちょっと気になる様子。
野生ではアフリカの中央にあるコンゴ民主共和国に生息していますが、絶滅危惧種(絶滅危惧IB類)に指定されています。現在も、内戦や環境破壊に加えて密猟の危険にさらされています。不安定な政情と貧困の問題、それに伴う野生動物保護への理解不十分が、オカピの生息数減少に影響しています。
オカピは、日本では上野動物園の他、よこはま動物園ズーラシアと横浜市立金沢動物園でも飼育されています。その美しい姿をぜひ見てあげてください。
カバの体重の1/10ぐらいの大きさ「コビトカバ」
コビトカバは、西園の奥にいます。コビトカバの体重はカバの1/10ぐらい。ちょうどカバの隣にいるので、「カバの子供?」と間違われることもありますが、れっきとしたコビトカバという種類のカバです。

▲コビトカバは、カバの体重の1/10ぐらいの大きさ。
存在は古くから知られていながら、たまたま小さく育ったカバだと思われて続けて、学術的に「コビトカバ」と認識されたのは20世紀に入ってからだそう。

▲ちょこんとしたたたずまいがかわいい。
カバは生活の中心を水中で過ごしますが、コビトカバは陸上での行動も多いという違いがあります。
野生では西アフリカの森の水辺に生息しています。環境破壊や食用などでの乱獲で、野生のコビトカバの生息数は激減、現在は絶滅危惧種(絶滅危惧IB類)に指定されています。

▲野生での生息数は減少。動物園の飼育下での繁殖は進んでおり、上野動物園生まれのコビトカバもいます。

▲口を開けた顔がかわいい。

▲足がブーツみたい。

▲お隣さんと挨拶。
どれも「ユニーク」で「希少」な動物。3つが集う上野動物園で、その姿を一度は見ておこう
通説「世界三大珍獣」のジャイアントパンダ、オカピ、コビトカバを順に紹介いたしました。特に理由なく選ばれた「3つ」かもしれませんが、どれも「ユニーク」で「希少」な動物には違いありません。
また、それらがそろって上野動物園で飼育されているというのは、とてもラッキーなことです。
ジャイアントパンダは知っていても、オカピやコビトカバは見たことがないというアナタ、ぜひ見に行ってみてください!
- 恩賜上野動物園
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所在地
東京都台東区 上野公園9-83
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最寄駅
京成上野
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電話番号
03-3828-5171
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撮影:市嶋泰樹、市嶋智子
※オカピの一部の写真は、よこはま動物園ズーラシアと横浜市立金沢動物園にて撮影
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※本記事は2016年10月08日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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