「動物園って子供向けでしょ?」と思っているあなた。いま動物園は、むしろ大人だからこそ楽しめる場所になっているのです。パンダやキリンなどのメジャーな動物だけじゃなく、誰かに言いたくなるカワイイ動物や不思議動物がいっぱい。今回、 “動物園巡り人”市嶋泰樹が、「動かない鳥、ハシビロコウ」の魅力をお伝えします。

上野動物園の隠れた人気者は「動かない鳥」!?


上野動物園の人気動物と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか? 普段あまり動物園に行かない人であれば「パンダとか、ゾウとか、ライオン?」といった感じかもしれません。そういう人にはあまりなじみのない「ある変わった動物」が、実は上野動物園の隠れた人気動物だったりします。

その名も「ハシビロコウ」という大きな鳥。じっとして動かない時間が多いため、「動かない鳥」としても知られています。もし上野動物園で人気の動物ベスト5を選んだとしたら、この「ハシビロコウ」も選ばれそうなぐらい、大人にも子供にも大人気の鳥です。


▲その名も「ハシビロコウ」。「動かない鳥」として有名。


▲見やすい位置に来ると人だかりができます。大人にも子供にも大人気。


まず、顔がとても「こわもて」です。眼光鋭くにらみつけるような目とその顔つきは、なかなか威圧的です。


▲にらんだように見える目が結構怖い。


普段どういう心境で過ごしているのかはわかりませんが、普通の顔をしているだけでもなかなかインパクトがあります。


▲普段の顔が怖い


大きさは、体長約1.2メートルあります。非常に大型の鳥です。人間の大人と比べると、だいたい腰から胸あたりまでの高さになるでしょうか。小さな子供ぐらいの背の高さです。翼は広げると2メートルを優に超えます。


▲ハシビロコウの実物大写真と筆者。かなり大形の鳥です。


ハシビロコウは英語で「Shoebill Stork」と言いますが、その名前は「靴のような大きなクチバシ」に由来しています。身長が高く、顔も大きくて、そして眼光も鋭ければ、なかなか迫力満点です。


▲正面で向き合うと、「ごめんなさい」と謝りたくなります。


ハシビロコウは、表情豊かで意外に「お茶目」


このハシビロコウ、人気なのは「動かない鳥」「顔が怖くて迫力があるから」だけではありません。実はなかなか表情豊かで「お茶目」なのです。



こんなとぼけた顔をしたり



口を開けると意外にかわいかったり



とても表情豊かで、愛嬌のある顔をしています。怖い顔とのギャップが大きくて、どことなく「キモカワイイ」ところが人気の理由の一つです。


▲寝癖のようにも見える後ろ髪?もチャーミング。


ハシビロコウは、意外に動く


そして、「動かない鳥」というイメージがあるにも関わらず、意外に動きます。



クチバシを「カタカタカタッ」と鳴らしたり




羽根を広げたり



羽根をわしゃわしゃわしゃ!



そして飛んだり!

歩いて移動もしますが、飛ぶこともあります。上野動物園のハシビロコウの放飼場の一つはある程度の広さがあり、ときどきハシビロコウが豪快に飛ぶ姿も見られます。


▲豪快に飛びます。


さて、とはいえ「動かない鳥」として知られるハシビロコウ、普段あまり動かないのには理由があります。野生では湿地帯に生息しているのですが、好物の魚を獲るときに泳いで近づいてくるのを長時間にわたって待ち伏せするから、というのが理由の一つです。



普通に立ったまま数十分動かないだけでなく、



こんな格好のまま、10分以上動かないこともあります。



運がよければ、池の魚を捕まえるシーンが見られるかもしれません。エサとして生きた魚を池に放していることがあり、ハシビロコウはその魚を虎視眈々と狙います。



狙っています……。



いまだ!



魚を捕まえてご満悦。


▲沼地で魚を狙うため、体が沈まないように足は長く、4本の指も大きく広がっています。


このように、「動かない鳥」「インパクトのある姿」でありながら、「意外に動く」「愛嬌がある」ところが、ハシビロコウの人気の理由です。じわじわ癖になる魅力です。


15分は観察してみよう。いろんな表情や動く様子が見られるよ


そのハシビロコウの魅力を味わうには、少し長い時間観察してみること。普段はあまり動かない鳥ですので、通りすがりにちょっと見る程度ではハシビロコウの魅力は全然わかりません。最低でも15分、できれば30分ぐらい、じっくりとハシビロコウを観察してみましょう。

長く観察すればするほど、いろんな表情を見せてくれたり、動いたり、飛んだりというシーンが見られます。


▲こんな格好だってします


そんなハシビロコウの魅力を知っている人たちには、「ハシビロ先輩」と呼ばれることがあります。そのインパクトのある姿には「先輩」の呼び名がピッタリでありながら、時折見せるギャップがファンの心をつかみます。


▲公式Twitterアカウントにも「ハシビロ先輩」と呼ばれたり。


ハシビロコウは、絶滅危惧種


ハシビロコウは、自然界ではアフリカの東部から中央部の湿地帯に生息しています。絶滅危惧種です(絶滅危惧II類)。生息地の湿地帯を人間が農地開拓などで奪ってしまったり、乱獲やエサとなる魚が減少したりといった原因で生息数が減少し、絶滅が危ぶまれています。

上野動物園では現在5羽のハシビロコウを飼育していますが、繁殖は難しく、日本での繁殖例はまだありません。

そんな不思議な存在感のあるハシビロコウ、上野動物園では間近でその姿が見られます。ぜひ、その「動かないけど意外に動く」姿を見に行ってみてください。


▲近づきすぎると、怒るよ(網から手や指を出さないでくださいね)


恩賜上野動物園
所在地:東京都台東区上野公園9-83
電話番号:03-3828-5171
最寄駅:根津/京成上野/上野

企画・執筆:市嶋泰樹

動物園巡り人。大阪出身、東京在住。本業はウェブのコンサルタント。週末は動物園に行っているか、美術館や博物館に行っているか、仕事をしているかのどれか。好きな動物はレッサーパンダ。


撮影:市嶋泰樹、市嶋智子


※2016年9月17日時点の情報です。情報、内容等は変更になる場合があります。

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