無口な美術男子とめぐる静かな散歩と美のデート

♥今回は、ちょっと遠い2駅をハシゴします。芸術の秋というにはちょっと早い季節だけど、残暑の合間の涼しい日を見計らって、美術鑑賞&散歩を楽しみましょうよ。デートの相手は、いろんな知識が豊富だけど無口でちょっと気難しそうな、服装も行動もちょっとエキセントリックなセンスをしている美大の院生26歳。

まず、有楽町線の地下鉄赤塚駅から板橋区立美術館へ。私見ですが、板橋区立美術館は割と女子趣味の、かわいい企画展が多いように感じます(ちなみに8/14まで、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展をやってました)。

で、この板橋区立美術館。地下鉄赤塚駅より、実に徒歩20分強。遠い。成増駅の方が一応近いようだけど、それでも15分以上かかる上に道が非常にややこしいので、延々一本道を歩けばたどり着ける地下鉄赤塚駅をお勧めします。なんてことない市街地の散歩も楽しい。話しながらなら20分なんてすぐです。

♥そこで一日費やしてもいいけど、せっかくだから今日はもう1カ所、東京都現代美術館へ。ここも本当は清澄白河駅が最寄りだけど、東西線木場駅から歩けば、広い木場公園を延々縦断して、公園の隅にある美術館に行くことができます。散歩するならこっちの方がいい。

館内での彼は、ただじっと、ゆっくりゆっくり作品を見て回るので、さすがにそのペースについて行けない私は自分のペースで回り、先にミュージアムショップに行ってのんびり買い物をします。彼が見終わってショップに来るころに私の買い物はほぼ終わります。二人はちょうどいいタイミングで建物を出ることになります。

♥細々と個展なども開いたことがある彼は、言葉少なに感想などを言ったり言わなかったり。自分の作品について考えてるふうであったり。
彼の将来なんて見えなくていい。いつだって私は彼に何か教えてもらえれば十分。そういうふわふわした状況を妄想するには私はちょっと年齢オーバーだけど、この際それは無視!

ちなみにそれぞれの企画展は、板橋区立美術館は9/3から「実況中継EDO~描かれた旅・事件・動物~」、東京都現代美術館は 8/28まで「名和晃平―シンセシス」、10/2まで「木を植えた男―フレデリック・バック展」です。調べてたら行きたくなってきました。一人でだけどね……。



文・イラスト:能町 みね子さん


能町 みね子さん
能町 みね子さん

能町 みね子さん

文筆業兼イラストレーター。「オカマだけどOLやってます。」でデビューし、近刊に「『能町みね子のときめきデートスポット』、略して 能スポ」(講談社文庫)「ときめかない日記」(幻冬舎文庫)など。「久保みねヒャダ こじらせナイト」にも出演中。
https://twitter.com/nmcmnc

※この記事は、レッツエンジョイ東京のフリーペーパー「東京トレンドランキング」2011年9月号(8/20発行)に掲載されたものです。
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