【第4回・“東京都庭園美術館”編】本物のアール・デコ様式に触れる

目黒駅と白金台駅の間の大きな森の中にある東京都庭園美術館。ここは、昭和8年(1933年)に建てられた旧朝香宮邸を都が引き継ぎ運営するミュージアムです。竣工当時、ヨーロッパを席巻していた装飾様式「アール・デコ」をふんだんに取り入れた建物は、それ自体が美術品であり文化遺産とも言えるのですが、なにせ築81年の歴史的建造物。老朽化に備え、このたび3年間にわたり閉館、改修工事をおこなってきたのだそうです。

▲チケット売り場から続く森のエントランス

▲チケット売り場から続く森のエントランス

3年ぶりとなるリニューアルでは、新たに大きな展示空間やカフェ、ミュージアムショップを備えた新館のオープンもトピックです。しかもその新しいギャラリースペースで開催されるのは、日本現代美術界のアイドル的存在と言っても過言ではない内藤礼による作品展示。アートファンなら見逃すことはできますまい…という感じでお出かけしてきました。

▲日本を代表するアール・デコ建築の旧朝香宮邸。記念式典に続々とVIPとSPが集結してます

▲日本を代表するアール・デコ建築の旧朝香宮邸。記念式典に続々とVIPとSPが集結してます

11月22日から12月25日までの企画展は、休館中に行われた調査・修復活動を紹介する「アーキテクツ/1933/Shirokane アール・デコ建築をみる」と、「内藤礼 信の感情」の2本立てです。どちらの作品も本館の各部屋を順路通りに巡ることで楽しめるよう構成されていて、一部の作品が新館のギャラリーに展示されています。

▲玄関では、フランス人ガラス作家ルネ・ラリックの女性像のレリーフがお出迎え。こちらも修復したようです

▲玄関では、フランス人ガラス作家ルネ・ラリックの女性像のレリーフがお出迎え。こちらも修復したようです

ところでみなさん、アール・デコって何だかわかります? で、ご興味ありますか? わかないし、正直そんなに激しく関心は持てないですよね。だとしたらおそらく、旧朝香宮邸の多くの部屋はするーっと流してしまうかもしれません。というか筆者がそうでした。内覧時間が短かったのもあり、写真撮影するのが精一杯。ろくに説明書きすら読んでいません。


じゃあ、面白くないんじゃないかと思いますよね。でもご安心ください。アール・デコ音痴、そしてソロに心強いツールが用意されているのです。

▲スマホに落としておきたいのが無料アプリ「TOKYO METROPOLITAN ART MUSEUM」。館内には無料Wi-Fiがあるので、現場でも落とせます

▲スマホに落としておきたいのが無料アプリ「TOKYO METROPOLITAN ART MUSEUM」。館内には無料Wi-Fiがあるので、現場でも落とせます

それがリニューアルオープンにあわせて用意された庭園美術館の公式アプリです。これが美術館の音声ガイドとしてよくできていましてね。部屋を順路通りにまわりながらイヤホンで音声案内を聴けば、「旧朝香宮家とは?」「アール・デコ様式とは?」「細部にいたる各部屋の見どころ」などなどが、ぜーんぶまるわかりになっちゃうのです。しかもタダで。


むしろ解説をしっかり聴くため、ソロの方が良いとさえ言えましょう。

▲館内でもっとも豪華な装飾が施されている大客室。1階は主におもてなしのスペースだとか。大食堂に通じます

▲館内でもっとも豪華な装飾が施されている大客室。1階は主におもてなしのスペースだとか。大食堂に通じます

ただ、もうひとつの展示「内藤礼 信の感情」を楽しむには、音声ガイドに耳をそばだててばかりいられません。なんせ《ひと》という小さな木製フィギュアを、館内のいたる場所にちょこちょこと配置するインスタレーションが、その作品だからです。


めちゃくちゃ俗っぽく言ってしまえば「内藤礼版ウォーリーをさがせ!」。


本館内に10体、さらに内藤礼のお母さんが編んだというニット帽まで含めると、パンフレットなしで探し出すのは至難の業です。が、ここはいったんヒントなしで館内をさまようのがソロのたしなみかもしれません。

▲だいたい鏡の近くにいがちな《ひと》。中にはレアモノで帽子をかぶっているのもいます

▲だいたい鏡の近くにいがちな《ひと》。中にはレアモノで帽子をかぶっているのもいます

かたや「アーキテクツ/1933/Shirokane」は館内の各部屋や、家具、壁紙、装飾品など旧朝香宮に遺されたもの、それ自体が展示。また、旧喫煙室には、3年間の改修工事の模様を知ることができる資料コーナーもあります(映像は新館ギャラリー1でも公開)。

▲2階にあがりましょう。ザッザッザ(ドラクエ風)。そこは家族がくつろいでいたスペースです

▲2階にあがりましょう。ザッザッザ(ドラクエ風)。そこは家族がくつろいでいたスペースです

▲外務大臣公邸時代は吉田茂総理が執務室としても使っていたという書斎

▲外務大臣公邸時代は吉田茂総理が執務室としても使っていたという書斎

2階は主に朝香宮家の暮らしの場。殿下や妃殿下、若宮、姫宮などのお部屋が続きます。もちろんこちらにも《ひと》が隠されているのでお見逃しのなきよう。そうそう、土日祝日など美術館が混雑する日はカメラ撮影が禁止という同館。逆にいえば平日は撮影OKということですから、ひとりで休みをとってソロで出かけるメリットもありましょう。

▲妃殿下寝室の鏡にいた《ひと》

▲妃殿下寝室の鏡にいた《ひと》

▲個人的に居心地がよかったのは北の間。ここから中庭を見下ろすと…何かが発見できるかも

▲個人的に居心地がよかったのは北の間。ここから中庭を見下ろすと…何かが発見できるかも

ひととおり本館を堪能したら、いよいよ新館です。が、なんとマスコミ取材とてギャラリー2で展示されている内藤礼の《Color Beginning》という作品は撮影不可でしたので、みなさんも実際にその目でご覧になってください。かなり繊細、かつ難解な作品なので、時間に余裕をもって臨むとよいかと存じます。

▲本館と新館の渡り廊下には、現代美術家・杉本博司による波状ガラスが。天候や時間帯によって表情を変えるとか

▲本館と新館の渡り廊下には、現代美術家・杉本博司による波状ガラスが。天候や時間帯によって表情を変えるとか

▲こちら大きな展示ができるようになったギャラリー2の入り口

▲こちら大きな展示ができるようになったギャラリー2の入り口

現在、庭園美術館の庭は春まで閉鎖されているのですが、それでも新館周辺は少しだけ外に出ることができます。この庭で、80年前の建築と、ガラスキューブのモダンな建築を対比して眺めるのも楽しみ方のひとつとも言えましょう。

▲最新の美術館らしい外観の新館。窓際にはカフェとショップスペースがあります

▲最新の美術館らしい外観の新館。窓際にはカフェとショップスペースがあります

▲11時から14時まではランチタイム。以降は18時までカフェタイムだとか

▲11時から14時まではランチタイム。以降は18時までカフェタイムだとか

で、肝心のカフェですよね。内覧会日はカフェが開いてなかったので、後日再訪することで、ようやくサクサクとした生地のアップルタルト(750円)とエスプレッソダブル(550円)にありつくことができました。しかし本命は美術館オリジナルという、おひとりさまサイズのシフォンケーキ(850円)です! 早々に売り切れるみたいなので「14時までにはお越しください」とのことでしたよ。


ぐぬぬ…。


でも冬の時期ならではの庭園美術館の楽しさもあります。それが日没後もしばらく開館しているという点。ライトアップされた森や本館、新館などはこの時期にだけ見られる表情です。早退して仕事帰りに寄っても良し、です。

▲冬至が近づき日没が16時台のため、しばらく夜の闇を楽しむこともできます。

▲冬至が近づき日没が16時台のため、しばらく夜の闇を楽しむこともできます。

▲入り口と新館に2カ所あるショップ。目下の人気は特製ノートと特製マグカップだとか

▲入り口と新館に2カ所あるショップ。目下の人気は特製ノートと特製マグカップだとか

振り返ると「アプリでじっくり学べる」「平日のみ撮影OK」「時間をたっぷりかけたい作品や雰囲気」と、まさにソロ活にぴったりな美術館として生まれ変わった庭園美術館。ともあれ、内藤礼の展示は12月25日までなのでお早めにどうぞ。もっとも1月17日からは30周年記念展と題した「幻想絶佳 アール・デコと古典主義」(4月7日まで)が開催されたり、春には庭園も公開されるとのことですから、何度行っても楽しめると思いますよ。

▲おしまい

▲おしまい

“東京都庭園美術館”を楽しむための心得

その1 スマホアプリ「TOKYO METROPOLITAN ART MUSEUM」で館内解説を聴こう

その2 内藤礼作品はソロでじっくり時間をかけよう

その3 写真撮影をしたいなら撮影OKな平日に行こう

その4 ケーキを選ぶなら14時までにお茶しよう

その5 冬場は夕方から夜にかけて行ってみよう

東京都庭園美術館
  • 所在地

    東京都港区白金台5-21-9

  • 電話番号

    050-5541-8600

  • 最寄駅

    目黒

  • 営業時間

    10:00~18:00(入館は17:30まで)

  • 定休日

    毎月第2・第4水曜日(祝祭日の場合は開館し翌日休館) 年末年始 ※2021年4月より、休館日が毎週月曜日に変更となります。

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※本記事は2014年12月16日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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