【第1回・"うんち展”編】夏休みが終わっても大人の自由研究
関東近郊の小学生にはいわずと知れたサイエンススポット・日本科学未来館。この夏、フジテレビと共催した企画展『トイレ?行っトイレ!ボクらのうんちの地球のみらい』、通称“うんち展”は多くの話題を集め、夏休み期間中は入場券を購入するだけでも90分待ちという大盛況ぶり。いきおい地方に住む甥っ子姪っ子からも「行きたい」「連れて行け」というリクエストが絶えませんでした(本当は隣のお台場新大陸に行きたいんだろ!)。
ともあれ無条件でうんこちんちんに反応してしまう小学生はもちろん、そのアバンギャルドな展示に大人(俺!)も興味津々。なんせうんちの被り物を装着し、トイレ型すべり台でジャーッと流されるアトラクションというか、インスタレーションまであるらしいですからね。あまたある2014年の夏休み期間中アートスポットでもっとも香ばしい展示のひとつと見て間違いないでしょう。
そこで、あくまで甥っ子姪っ子に教えてあげるためと称し、おっさんが単身うんち展に潜入して参りました。「おっさんが一人でうんち展」って、ありそうでないシチュエーションです。やっぱり家族連れとか多いのかしら、童心に帰って楽しめるのかしら……という不安はありつつも、行ってまいりたいと思います。
まず、筆者の心を打ったのが展覧会の冒頭を飾る「ごあいさつ」に記された、うんち展のスローガンです。それは「恥ずかしがらずに、トイレの話をしよう!」というもの。
“うんちをすることは生きる証。(略)うんちをした友達がいたら、思いっきりほめてあげましょう。さあ、くさいものにフタをするのは、もうやめです”
21世紀になって早10年以上経とうというのに、小学校でうんちはいまだ禁忌事項(リクシルの調査では小学生の53%が学校でうんちができないと回答)。ひとたび個室に閉じこもったり、我慢できずに漏らそうものなら、卒業まで「クソ野郎」「うんこ」「ゲーリー」の不名誉に甘んじなくてはいけません。小学校時代、胃腸が弱く週3の割合でおなかを下しながら下校まで便意と格闘していた筆者も、「よくぞ言ってくれた!」と拍手喝采を贈りたい気分です。展示をまとめた学芸員の方も同じようなトラウマを抱えているのかもしれません。
もし、このうんち展からインスパイアされた自由研究を、夏休みの宿題として提出した小学生がいたら、その勇気を誉めたいと思います。だからこそ科学の殿堂・未来館で取りあげ、うんち権の開放を啓蒙する意味があったと言えましょう。
小学生にとってみれば、扱い方ひとつで一生を左右するヘビーなテーマであるうんち。それだけに展覧会では「ブリットくん」「トイレの助」「ベンデル教授」などのポップなキャラクターが会場をナビゲートします。このあたり、さすがフジテレビの仕事です。
こうして始まる展示は、「1.今日どんなうんち出た?」という動物や人間のうんちの紹介をはじめ、「2.きみはトイレで何してる」「3.うんちはどこへ行くんだろう?」「4.宇宙のトイレは未来のトイレ?」「5.みんなが幸せになるトイレって?」と進み、最後は13台の便器が合唱する『ありがトイレ』で大団円を迎えます。
なかでもかなりアグレッシブだった展示は、「1.今日はどんなうんち出た?」内にあった「うんちの臭いを嗅ぐ」体験コーナー。こんなのマニア以外喜ばないんじゃないかと思いきや、「人間が良いと感じる香水には、あえてくさい匂いが混ぜられている」ということを体感できる興味深い展示なのでした。
甥っ子姪っ子に教えてあげたら物知りおじさんとして喜ばれそうなのは、下水道やトイレの歴史が学べる「3.うんちはどこへ行くんだろう?」と、未来のトイレを考える「4.宇宙のトイレは未来のトイレ?」、そしてトイレから環境問題や高齢化社会を考える「5.みんなが幸せになるトイレって?」です。小学校高学年あたりからは4.と5.あたりが良さそう。
それにしても「これ、今から写メっておけば来年の夏休みの自由研究にまるまる使えんじゃね?」というヨコシマな気持ちがムクムクわき上がる良展示の数々。
その際、大切なのは展示をまるまるコピペするのではなく、「自分が住む町の下水道普及の歴史や普及率はどうなのか?」などとテーマを広げるのが、先生から高い評価を得るコツでもありましょう。
と同時に、小学生は冒頭で触れたステートメント「恥ずかしがらずに、トイレの話をしよう!」を、いかに自分のクラスで実践するか自由研究に盛り込むと「こいつはできる」と先生から一目置かれる存在になることでしょう。ぜひ「フリートイレ、フリーうんち」を目指して、戦え小学生!
いずれにしましても、うんち展のみならず未来館は夏休みの宿題や子どもを抜きにしても楽しめるスポットでした。新学期が始まったら、夏休みの宿題を滞納した甥っ子姪っ子を引率するのはもちろんのこと、大人のデートに使うのもようございましょう。しかし、思う存分楽しむのは確実にソロ! 展示物に没頭するならやっぱりソロ。何者にも邪魔されず、じっくりうんちと向き合うひとときは、「これほどまでに自分はうんちに心奪われるものなのか」とセルフつっこみすること請け合い。小学生に混じって1日中遊び倒すがよいでしょう。
おまけ
“うんち展”で楽しむための心得
その1 閉館が早いので朝から行こう
その2 甥っ子姪っ子がどう楽しむかを想像して楽しもう
その3 一人でも童心に戻ってうんちの匂いを嗅いじゃおう
その4 お土産にショップでうんちグッズを大人買いしよう
その5 疲れたらGEO-COSMOSで休んでしまおう
〒135-0064
東京都江東区青海 2-3-6
テレコムセンター駅
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※本記事内の情報は2014年09月10日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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