たこ焼きが大好きなのに、「たこ焼きパーティー」が大嫌いだ。正確に言うと、「たこパ」が嫌いである。「パーティー」を「パ」と略すあれが、どうしても受け入れられない。クリパ、鍋パ、ホムパ、たこパ。どうだろう、この「パ」の醸し出す、地に足がついていない感じ。許せない。


そもそも、私は新しい言葉を受け入れるのが苦手だ。ある年の正月、携帯電話(当時ガラケー)に突然「あけおめ」「ことよろ」と書かれたメールが届いた。「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」が初めて略された年だった。戸惑いながら「あけましておめでとうございます」と略さずに返信をし、結局今に至るまで一度も私は「あけおめ」「ことよろ」を使えないままだ。厳粛なる新年の挨拶を略すなんて、とかそういうのではまったくない。ただただ、恥ずかしい。こなれた略語を使っちゃう自分、これに耐えられない。自分が自分じゃなくなるような気がするのだ。身の周りに、「最初に山本さんと呼んで定着してしまったばかりに、仲良くなってもヤマちゃんというあだ名にどうしても切り替えられない人」はいないだろうか。私はそのタイプだ。なお、「男友達と付き合い始めたはいいものの、下の名前で呼ぶのが照れくさくて友人間で使っているあだ名で呼び続けてしまう人」もこの類である。


そういうわけで、「パーティー」を「パ」と略すことを初めて知ってから何年もたつが、一向に私と「パ」の距離は縮まらないままだ。「たこパしましょう!」の浮ついた雰囲気がいけ好かない。頼むから「たこ焼きパーティーしましょう」と言ってくれ!


「たこパ」という言葉に憤りながらも、私はついつい「パーティー」というものに期待をしてしまうのか、鍋パもホムパもたこパも、誘われたらホイホイと行ってしまいがちだった。今度こそは、と意気込んで乗り込み、毎回疎外感を味わってすごすごと退散する。乾杯をする輪に入れず、交流を深める輪に入れず、隅でもくもくと食べて飲み、そして人知れず帰る。たまに向こうから話しかけてくる人がいても、あまりの会話の盛り上がらなさにいたたまれなくなり、飲み物のおかわりを取りに行くふりをしてその場を離れる始末だ。そろそろ認めなければならない。私はパーティーに対する適性がない。


ならば一人でやってみよう。私は一人で「たこ焼きパーティー」をすることにした。主催は私、参加者も私、たこ焼きを作るのも食べるのも私。人がたくさんいるから、輪を作る人と、疎外感を味わう人が出てきてしまうのだ。一人なら、輪を作ろうにも作れないし、疎外感を味わおうにも疎外されない。失うものが何もないって、最強である。

▲一人たこ焼きパーティーの飾り付け

▲一人たこ焼きパーティーの飾り付け

▲ちなみに、たこ焼き食べ放題コースは3名から。仕方なく、3名分の料金を支払って一人パーティーを敢行することに・・・。

▲ちなみに、たこ焼き食べ放題コースは3名から。仕方なく、3名分の料金を支払って一人パーティーを敢行することに・・・。

今回は、たこ焼き食べ放題のパーティーコースがある「SHIBUYA101」というお店へやってきた。2時間飲み放題&たこ焼き食べ放題つきで一人2,700円。同店にはパーティー用の飾り付けグッズが用意されていて、無料で借りることができる。

▲たこ焼きパーティーを始めます

▲たこ焼きパーティーを始めます

▲たこ焼き器とたこ焼きのタネを全部ひとり占め

▲たこ焼き器とたこ焼きのタネを全部ひとり占め

▲トッピングは、ツナ・コーン・ウインナー・チーズ・キムチ・唐辛子(各100円)

▲トッピングは、ツナ・コーン・ウインナー・チーズ・キムチ・唐辛子(各100円)

たこ焼きのコースを予約すると、たこ焼き器とたこ焼きのタネが運ばれてくる。あとは焼いて食べるだけ。粛々とたこ焼きを作る中、奥のテーブルでは、誕生日会をしにきた男女7名のグループが、パーティーの準備を始めた。

風船を膨らませては壁に貼り付ける奥のテーブルの彼らの様子は、店内で流れるアップテンポなJpopと妙にマッチしていた。


「見て! 風船膨らませた!」、「ヤバい」、「ウケる」と口々に言いながら飾り付けをしていたが、何がヤバくて、何がウケるのだろう。そういうところだ、とわかっていながらも、どうも釈然としなかった。多くの人は、別にさして面白くもないのに「ウケる」と言い、可愛くもないものに対して「可愛い」と言う。それがパーティーのような浮かれた場であればなおさら。私がそれを「面白いかどうか」について時間をかけて考えているうちに、みんなはもう「ウケる」と言ってしまっているのだ。「たこパ」の「パ」がいけ好かないだなんて悩んでいる間に、「ヤバい」とか「可愛い」とか軽い気持ちで言ってしまえたらどんなにラクだろうか。


感情の振れ幅がニブい私は、盛り上がりのスピードについていけない思いをすることが多い。昔から、みんなと同じタイミングで、みんなと同じくらいの瞬発力で、みんなと同じ反応をするのが、どうもうまくできないのである。

▲たこ焼きが焼けるのを待つ

▲たこ焼きが焼けるのを待つ

そんなことを考えながら、端のほうのたこ焼きをひっくり返した。火を通すタイミングがほかのたこ焼きと合わなかったのか、ひとつだけ真っ黒に焦げてしまっていた。たこ焼き器の火を止め、お皿に盛って食べ始める。私が最初に口に入れたのは、みんなと同じタイミングで、みんなと同じ焼け方ができなかった、ひとつの焦げたたこ焼きだった。

▲どれも形はいびつだけどおいしい

▲どれも形はいびつだけどおいしい

▲一気に食べると口の中が熱い

▲一気に食べると口の中が熱い

一人たこ焼きパーティーを楽しむ三か条

その1 一人でパーティーをすれば疎外感もない

その2 一人パーティーならノリが悪くてもOK

その3 たこ焼きを全部同じ焼き加減にするのは意外と難しい

SHIBUYA101

住所:東京都渋谷区宇田川町34-6 M&Iビル3F

電話番号:03-6416-4369

最寄り駅:渋谷

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