南千住の南でディープ下町デート

♥仕事でちょくちょく関西出張がある。主要な取引先が大阪に集中しているからで、毎月2回くらい大阪に行くものだから、大阪の街にだいぶ詳しくなってきてしまった。いや、実は、仕事だったら月2の頻度で行く必要はないのだ。そんなに頻繁に行ってるのは、取引先の人とおつきあいする関係になってしまったからである。

……冒頭1文字目から完全な妄想ストーリーですが、すみません、今回はそういう設定で行かせてもらいます。

♥そんなわけで大阪デートは何度も繰り返していた私たちだけど、たまには彼にも東京に来てもらいたい。

生まれも育ちも大阪で、東京にも数える程しか来たことのない彼は、東京のイキッてる(調子に乗ってる、かっこつけてる…などの意)感じがいまいち気に食わないらしい。それは分かってるし、私もそんな場所は別に好きじゃない。だから、私が「イキってない」、泥臭い東京を見せてあげたい、ってことで来たのは南千住。

デートなのに渋谷とか六本木とかちゃうんかい、どこやねんそこ、と苦笑いする彼を南千住まで呼びつける。駅のホームからはすぐ東京スカイツリー®が見える。あ、スカイツリーってあれか! デカイな! と彼はちょっと感動してるけど、私が見せたいのはそれじゃない。

♥駅を降り、開発された地域ではなく、南に歩いて行く。私が見せたいのはただの、このへんの街並みだよ!まず登場するのは『あしたのジョー』で有名な泪橋。といっても今は川がないので、看板とかで「泪橋」の字を確認するだけ。

そこから南下していろは会商店街へ。ここは東京でも異色の商店街。どこの駅からも遠いけどしっかりアーケードもある。シャッターの閉まった店も多いとはいえ、酒屋や作業服屋など、実に味のある建物が並ぶ。東京の下町も結構えげつないなあ、と言われるのは、私にとっては褒め言葉です。

さらに住宅密集地をくねくねぬけて、わりと賑やかなひさご商店街を通って浅草寺の裏手から入り、出口の雷門がゴール。

え、雷門は知っとるで。ゴールここ? ふつうこっちから入らへん? と彼は苦笑い気味だけど、東京にも人情味あふれすぎる地帯があることは分かってもらえたかしら……。
って全然関西になじみがないからエセ関西弁でごめんなさい。ともかく、きっとこのド下町地域と愛称のいい人はいるはず!



文・イラスト:能町 みね子さん


能町 みね子さん
能町 みね子さん

能町 みね子さん

文筆業兼イラストレーター。「オカマだけどOLやってます。」でデビューし、近刊に「『能町みね子のときめきデートスポット』、略して 能スポ」(講談社文庫)「ときめかない日記」(幻冬舎文庫)など。「久保みねヒャダ こじらせナイト」にも出演中。
https://twitter.com/nmcmnc

※この記事は、レッツエンジョイ東京のフリーペーパー「東京トレンドランキング」2013年2月号(1/25発行)に掲載されたものです。
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