モダンな空間でいただく、絶品の石臼挽き手打ちそば
毎年、夏になると「あぁ、すだちそばの季節が来たな」と思う。
透明感のあるかけつゆにすだちが浮かぶ、清涼感満点のルックス。
豊かなだしの風味とともにすだちの香りとキリッとした酸味が口中に溢れ、爽やかな余韻を残す。
そば店のメニューとして頻繁に見かけるようになったのはここ数年のように感じるが、この1杯のためにわざわざそば店に足を運ぶ機会が増えたといっても過言ではないかもしれない。
東急田園都市線・三軒茶屋駅から徒歩数分の距離にある「玄そば 東風」も、都内で絶品のすだちそばを味わえる数少ない1軒。
和風モダンの上品なインテリアもお気に入りポイントの一つで、落とし気味の照明に座り心地のよい椅子が配置され、カウンターの客席間もゆったりととられているので一人でも気兼ねなく利用できるのがいい。
店主は、同地で営業していた1951年創業のそば店「増田屋」の三代目・平澤秀幸さん。もともとはサラリーマンをしていたという平澤さんだが、家業を継ぐ決意をし、亀有の名店「吟八亭 やざ和」でそば打ちを習得。2005年3月に「玄そば 東風」をオープンした。
「増田屋」時代は機械打ちのそばを提供する庶民的な店として愛されていたが、「東風」では石臼挽きの自家製粉で打つ本格的なそばを提供。ご近所の常連さんだけでなく、そば好きがわざわざ訪れる人気店となっている。
すだちそばを季節限定メニューとして提供するお店も多い中、「東風」では通年メニューとして楽しめるのも魅力。キンキンに冷えた ビールを合わせれば、夏場の食欲不振もどこへやら。最強タッグの完成だ。
「寒い季節は、温かいすだちそばもおすすめですよ」と平澤さん。クーラーで冷えがちな夏場に温かいすだちそばというのも、女子的には大いにアリ、だ。
せいろやすだちそばに使用するのは、少量のつなぎで打つ香り高いそば。北海道、山形、福島など産地を厳選したそばを新そばの時期に仕入れ、低温貯蔵庫で保管。店内の石臼で丁寧に挽き、毎日営業前に打つ。「二八そばが基本ですが、8.5割だったり9割だったり、その日のそばのコンディションによって割合を変えています」と平澤さん。
そばの風味をストレートに味わうなら、やっぱりせいろ。より力強い風味を味わいたいなら、そば殻ごと石臼で挽き込んだ田舎そば(数量限定)がおすすめだ。
そばだけを気軽に味わうのもよいが、そば店の醍醐味と言えば…やっぱりお酒も欠かせないという人は筆者だけではないはず。
「東風」のつまみは、板わさ、だし巻き、そば味噌…とそば店らしいラインアップで、どれも安定したクオリティ。
おすすめは、季節の食材で作るかき揚げ。夏限定のとうもろこしのかき揚げは、とうもろこしの濃厚な甘みと香ばしさを味わえる。
無濾過生原酒を中心とする、厳選したお酒の品揃えも見どころだ。
一人客も多い同店では、セットメニューの「吟のしずく」(2200円)も人気。
小サイズの生ビールか冷酒に、お通し、板わさ、車海老の天だね、もずく酢、せいろがセットになったもので、いろいろな料理が味わえる点が女性にも好評だ。
「セットのせいろは、プラス料金ですだちそばにも変更できますので気兼ねなくご相談ください」と平澤さん。一人客への配慮にうれしくなる。
ランチは15時まで営業しており、住宅街にあるためゆったりと過ごせるのも魅力。暑さを忘れさせてくれる空間が待っています。
東風を楽しむための3か条
その1 涼をとるなら、何はともあれすだちそばを!食欲のない時にもするっと食べられます
その2 香り高い、自家製粉の手打ちそばの味を堪能しよう。そばの風味をストレートに味わえるせいろは、そば湯まで楽しんで
その3 時間が許すなら、冷たいビールや厳選した日本酒とつまみで1杯! 一人向けのセットもおすすめ
※2015年のお盆休みは8月3日(月)~7日(金)まで
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※本記事内の情報は2015年07月27日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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