2017/4/17
皆でワイワイ騒ぐのが苦手なので、「一人盆栽」で一人の世界に没頭してみた
大勢でワイワイ騒ぐのが苦手で、若者の集まりに参加するのが疲れる。ならば、ご年配の趣味である盆栽をやってみよう。これなら騒ぐこともなく、一人の世界に入れるはず!
- 新しい趣味をみつける
- ストレス解消
- 自分にぴったりをみつける
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みんなでワイワイと騒ぐのが苦手で、静かな空間に一人でいたい。
人と競うこともなるべく避けたいし、休日のたびにフットサルなどに興じる人の気持ちがよくわからない。
飲み会もダメ、パーティーもダメ、海もダメだし、クラブなんかに行ったら死んでしまうかもしれない。いわゆる、若者が好きそうなことが軒並み苦手である。
過去には、フットサルの集まりや、よくわからない異業種交流パーティーのようなものに無理して行ってみたこともあったけれど、どこへ行っても居場所のなさにぐったりするばかりだった。
若者の趣味に居心地の悪さを感じるのならば、ご年配の方の趣味に挑戦してみるのはどうだろうか。お年寄りの趣味の代表格といえば盆栽であろう。
毎週日曜日の『サザエさん』は、私たちに良くも悪くもステレオタイプを植え付ける。歳を取ったら人は皆、波平のように庭で盆栽を眺めるものだとなんとなく思ってしまっている。いまどき、庭がある家に住んでいる人のほうが少ないだろうに。
盆栽をやろう。静かに一人の世界に入る趣味、というイメージが盆栽にはある。人と接するのを嫌い、一人の時間を好む私は、かなり盆栽向きの性格をしているのではなかろうか。
▲「ミニ盆栽の体験制作」で使う盆栽の木
盆栽といっても、何から始めればいいのかよくわからないので、「京王プラザホテル」の「ミニ盆栽の体験制作」イベントに参加することにした。
大宮盆栽協同組合の田畑好信さんを講師に迎え、一人ひとつの小さな盆栽を作ってみよう、というイベントである。
ちなみに、埼玉県には「さいたま市大宮盆栽美術館」や、「大宮盆栽村」と呼ばれる一帯などがあり、盆栽の聖地と言われている。これらを運営するのが田畑さんの所属する大宮盆栽協同組合である。
▲今回使ったのは「コハウチワカエデ」(左の樹木)と、「斑入り玉竜」(右の草物)
盆栽作りで行うことは、剪定(せんてい)、根の整理、植え替え、の主に3つ。
まずは、自分が使う植物で、枯れている部分を探して剪定していく。今回使ったコハウチワカエデで言えば、枝から伸びているつぼみの部分がほんのりピンク色に染まっているものだけを残し、色づいていない部分をハサミで切る。
▲コハウチワカエデの枯れた部分を探している
▲つぼみが色づいていないところは枯れてしまっている
ちなみに、コハウチワカエデは指よりも細い。この細さでもすでに樹齢10年以上だそうだ。
▲斑入り玉竜の枯れ葉を剪定
斑入り玉竜も同様に、枯れてしまっている葉を切っていく。かなり根気がいる作業だが、このあとに行う「根の整理」が、地味ながらも楽しく、そしてちょっぴり大胆さも必要な部分になる。
この“マイ盆栽”は最終的に盆器に植え替えるわけだが、その前にまず根っこの周りについている土を竹の棒で落としていく。チリチリとした根に絡まった土を、竹棒でガリガリと取り除くのである。力を入れすぎると、土もろとも根っこがプチプチとちぎれてしまいそうな、小さなスリルが心地よい。
▲竹製の棒で土を取り除く感触が楽しい
▲土を取り除く前
▲土を取り除いた後
そして次に、この根っこをばっさりと切ってしまうのだ。このままだと、根っこが成長しすぎていて盆器から木がはみ出してしまうため、大胆にも半分くらいは切ってしまっていいとのこと。
▲だからといって切り過ぎると枯れてしまうので注意
▲「もっと切っちゃっていいです」と全員の根っこをばっさばっさと切って回る田畑先生
根を切り終わったら、盆器への植え替えを行う。盆栽の正面を決め、専用の赤玉土を入れ、竹棒で土をざくざくと突き込む。こうすることで、根と根の間に隙間なく土が入り込むのだという。
▲目に見えて土が沈んでいくわけでもないため、何のために突き込んでいるんだろうという気持ちになる
▲完成
盆栽は確かに、目の前の木を見つめ、土をもくもくと触ることで、自分一人の世界に入れる趣味だった。
ただ、今回のような比較的カジュアルな盆栽教室のようなところへ行くと、席が近い者同士で「これどうやるんですか?」、「お上手ですね~」などとコミュニケーションが発生するため、注意が必要である。
私は人と話すのが恥ずかしいわけでもなく、嫌われたくないから話せないわけでもなく、人と話すと必要以上にエネルギーを使って疲れてしまうタイプの人見知りである。誰かと話すときに、ほかの人が10くらいのエネルギーだけで済むところを、100くらい使ってしまう。コミュニケーションの燃費が悪いのだ。
持ち帰ったマイ盆栽を眺めながら、木は無闇に話しかけてこないところがいいな、としみじみ思ったのだった。
一人盆栽を楽しむ3カ条
- その1
- まずは盆栽教室のようなところで体験してみよう
- その2
- もくもくと土いじりをするのは心地よい
- その3
- 盆栽は木だから、話しかけてこないところが非常によい
京王プラザホテル
※今回参加した「ミニ盆栽の体験制作」と同様のイベントは、今後の開催未定です。
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