ハンドポンプで注がれたビールが美味しすぎ！マニアが興奮してしまう、高円寺「Beer Engine」へ

こんにちは、ビールライターの富江弘幸です。

みなさんはビールのどんなところに魅力を感じますか？「のど越し」という人もいると思いますが、のど越しとはまったく逆の魅力を持つビールもあるんです。本記事では、「やさしい味わいが魅力の、ハンドポンプで注がれたビールを楽しめるビアバー」をご紹介します。

JR高円寺駅北口から徒歩4分ほど、中央線の線路沿いの道路からほんの少し入ったところに、ハンドポンプで注がれたビールが楽しめる「Beer Engine（ビアエンジン）」があります。

ハンドポンプとは、ビールを注ぐサーバーの種類の一つです。通常のビールサーバーは、炭酸ガスで圧力をかけてビールを注ぎますが、ハンドポンプは井戸のように真空状態を利用してビールを汲み上げます。また、ハンドポンプで注ぐビールには炭酸ガスが加わらないため、口当たりがとてもやさしいのが特徴です。

こちらがハンドポンプです。クラシカルなデザインはその存在だけでかっこいいと思ってしまいます。

イギリスのパブなどではよく見られますが、日本でハンドポンプを設置しているお店は、なかなかないのが現状です。なので、ハンドポンプがお店にあると、自分のようなビールマニアは「おおっ！」とつい興奮してしまうのですが、Beer Engineにはなんとハンドポンプを5基も設置しているのです！ハンドポンプ5基は国内最多（筆者調べ）。ハンドポンプで注がれたビールを飲むならこのお店！といっても過言ではありません。

これだけの数をそろえているのは、オーナーの五影さんがハンドポンプから注がれるビールを飲んで衝撃を受けたから。ハンドポンプのビールを飲めるお店が少なかったこともあり、「自分が飲みたいビールを出すお店を作りたい」とオープンしたそうです。

ハンドポンプを手前に倒すと、ビールが注ぎ口から出てきます。もともとビールに含まれる炭酸が少ないこともあり、泡はほとんど立ちません。

ハンドポンプ5基のうち、箕面（みのお）ビール「W-IPA」は定番として常備されていますが、ほかの4基はそのときどきで銘柄が変わります。基本的に、国内クラフトブルワリーのレギュラービールが中心。五影さんが飲んで美味しいと思ったビールの中から、さまざまな種類をそろえるようにしているそうです。

こうやってハンドポンプとパイントグラスに入ったビールを並べると、とても絵になって「かっこいい」と思ってしまいます。今回注文したのは、箕面ビール「W-IPA」（写真左、ハーフパイント900円）と反射炉ビヤ「ほうじ茶マイルド」（写真右、パイント1,400円）。

まずは、アルコール度数が4.5％と低めの「ほうじ茶マイルド」をいただきます。副原料に静岡のほうじ茶を使用しているため、ほうじ茶の香りがほのかに感じられます。炭酸も少ないので、お茶を飲んでいるような感覚にもなるおもしろいビールです。ゴクゴク飲めるのど越しを楽しむビールとは違い、のんびり楽しみたくなります。

一方の箕面ビール「W-IPA」は、なんとアルコール度数9％と高め。グラスから漂う華やかな香りも相まって意外とするする飲めてしまうので、飲むペースには注意しましょう。「W-IPA」はビール専門店などでボトル販売もされているので、一度ボトルで飲んでからBeer Engineでハンドポンプの「W-IPA」を飲むと、違いを楽しめるでしょう。

フードメニューの中で人気なのが、ジャマイカ料理の「ジャークチキン」（750円）。数種類のスパイスをブレンドしたタレに鶏肉を漬け込んだ後、直火でじっくり焼き上げた一品です。店内には五影さんが好きなジャマイカ音楽が流れているので、ぜひジャークチキンと合わせて楽しんでください。パンチがきいた味わいに負けない、箕面ビール「W-IPA」との相性もバツグンです。

「味付けうずら卵」（350円）も人気のメニュー。うずらの卵のピクルスといった味付けで、軽く酸味があり、何個でも食べられてしまいます。迷ったら最初にこちらを注文しておけば間違いありません。

世界には数多くのビールがありますが、ビールの魅力はのど越しだけではありません。ハンドポンプから注がれたビールは、炭酸が少なく口当たりがやさしいからこそ、麦のお酒としてのビールの味わいがしっかり伝わってきます。

ぜひBeer Engineで、ハンドポンプから注がれた一杯を飲んで、ビールの世界を広げてみてください。