丁寧な手仕事をめぐり、暮らすように楽しむ鎌倉ひとり旅
東京から電車に揺られて約1時間、ゆったりとした時間が流れる古都・鎌倉へやってきました。
おうち時間が増えた昨今、憧れる人も増えた“丁寧な暮らし”。今回はその手はじめとして、暮らしの中で育まれてきた“梅仕事”に挑戦。さらに、冬じたくを兼ねて手仕事のお店を訪ね、日々の暮らしをもっと丁寧に楽しむためのヒントを探していきます。
予約殺到中!気軽に“梅仕事”が体験できる大人気店/梅体験専門店 蝶矢 鎌倉店
まず向かったのは「蝶矢 鎌倉店」。鎌倉駅西口から歩いて約1分、御成通り入り口横にある細い路地を奥へ進むと見えてくる、白塗りの一軒家です。こちらは、梅酒メーカー「チョーヤ」が手掛ける“梅仕事”をいつでも誰でも簡単に楽しめる梅体験の専門店です。
梅酒づくりの始まりは、今から300年ほど前の江戸時代。その後、つい数十年前まで季節の手仕事として各家庭で親しまれてきましたが、今や経験したことのない人も多い時代となりました。
そこで、日本の大切な梅文化を次世代へつなげていきたいという思いから、2018年4月に「梅体験専門店 蝶矢」が京都に誕生。続く2号店として、2020年6月にこちらの鎌倉店がオープンしました。
同店の特長は、いつでも手軽に梅酒づくりができること。梅酒づくりは本来、梅の収穫期である6月ごろに行われる季節の手仕事ですが、梅酒に日本一精通する「チョーヤ」が考案した「蝶矢梅キット」を採用することで、1年を通して梅酒づくりが可能に。
さらに、通常では仕込みから飲みごろまで半年以上を要するところ、同店ではたった1カ月ほどで飲みごろを迎える梅酒を仕込むことができます。その手軽さも相まって、完全予約制の梅体験は連日満席になるほどの大人気!予約は2週間前の午前0時より公式サイトで受け付けているので、鎌倉に行く予定が決まったら早めにアクセスしてみましょう。
組み合わせ100通り!初心者も気軽に楽しめる「梅仕事」に挑戦
それでは早速、はじめての梅酒づくりに挑戦していきます。梅5種、お砂糖5種、お酒4種の中から好みの素材を選んでつくる梅酒の組み合わせは、なんと100通りもあるのだとか!
まずはSサイズ(1杯分/1,100円)、Mサイズ(3杯分/2,200円)、Lサイズ(6杯分/3,300円)の3種の中からボトルを選び、梅コンシェルジュさんの丁寧な説明を聞きながら、自分好みの梅とお砂糖を選んでいきます。
梅は、フルーティーで濃厚な「完熟南高」を筆頭に、スッキリとした味わいの青梅「白加賀」、ほとんど市場に出回らない「有機南高」、鎌倉店限定で提供される若々しい甘みの「NK14」、ピンク色に仕上がる華やかな「パープルクイーン」の5種。
お砂糖は、素材の持ち味を引き出す「氷砂糖」、すっきりと飲みやすい「こんぺい糖」、濃密な味に仕上げる「てんさい糖」、口当たりなめらかになる「有機アガベシロップ」、酸味を引き立てる「はちみつ」の5種の中から選びます。
体験では、梅とお砂糖のすべてを梅シロップとしてテイスティングが可能。組み合わせ次第でまったく異なる個性豊かな仕上がりにびっくり!味を確かめながら好みの組み合わせをじっくりと見つけましょう。
今回は、梅酒に最適な品種であることから“キング・オブ・梅酒”とも呼ばれている「完熟南高」と、見た目もかわいらしい「こんぺい糖」をセレクト。蝶矢オリジナルの専用スティックを使って、梅のヘタを丁寧に取っていきます。スティックの先端を梅のくぼみ部分に当てると、ポロっとヘタが取れる感覚がとっても気持ちいい♡
なお、同店では−40℃で急速冷凍し、鮮度を閉じ込めた梅を使用しています。例えば「完熟南高」の場合、樹上で完熟させて落下する直前のものを特別な方法で急速冷凍しているので、新鮮な梅でしか楽しめない桃のような甘い香りとジューシーで肉厚な果実感がしっかりと味わえるのだとか。冷凍梅を使用することで、浸透圧の作用で梅エキスが出やすくなるため、短期間で飲みごろを迎える梅酒を仕込めるメリットもあるのだそうです。
ボトルの中へ梅とお砂糖を交互に重ねたら、最後に好みのお酒を注ぎます。お酒は、通常梅酒に使われるホワイトリカーに最も近い「ウォッカ」、すっきりと仕上がる「ジン」、甘い香りをプラスする「ホワイトラム」、熟成感の出る「ブランデー」の4種を用意。
今回は「ホワイトラム」をセレクトし、ボトルに注いだら梅仕事は完了!梅体験の所要時間は説明やテイスティングを含んで、30~50分程度。梅酒づくりを手軽に楽しめた上に、さまざまな梅の品種やお砂糖の話を聞く事ができて大満足でした♪
自宅に持ち帰った梅酒は約1カ月後に飲みごろになります。今から完成が楽しみですね♡
予約いっぱいでも諦めないで!自宅で体験できる「蝶矢梅キット」や限定梅酒を持ち帰り♪
予約開始と同時に満席になってしまうことも多い同店の梅体験。「鎌倉に行くついでに予約したかったのに・・・」という人も諦めないで。誰でも失敗せずに梅酒・梅シロップをつくれる「蝶矢梅キット」(1,100円〜)は、予約なしでも店頭で当日購入ができます。
店内での梅体験と同じく、ボトルサイズ3種、梅5種、お砂糖5種、梅酒の場合はお酒4種の中から好みのものを選んでオーダー可能。混雑時にはお渡しまで時間がかかることもあるので、鎌倉駅到着後に注文のために立ち寄って、帰りに取りに来るのがオススメです。
なお、こちらのボトルはリユースOK。ボトルを持参すれば、材料費のみで梅体験に参加することができます。もちろん、材料のみを購入して自宅で梅仕事を楽しむことも。100通りの組み合わせがあるので、いろんな味わいの梅酒づくりに挑戦してみたいですね。
また、梅酒好きならずともチェックしておきたいのが1日5本限定で連日完売する梅酒「蝶矢限定熟成」(2,970円)。
450種の原酒の中から梅マイスターが厳選して仕立てた一本で、鎌倉土産としてはもちろん特別な日の祝酒にもぴったりです。こちらは先着順で予約不可のため、確実に手に入れるなら毎日9時30分より店頭で配られる整理券をゲットして。
同店には、体験でつくった梅酒や店内で購入した品を当日営業中に限り預ってくれるサービスもあります。これなら、お店に立ち寄った後の予定も身軽に楽しめて大満足!心置きなく鎌倉散策を楽しめそうですね♪
帰り際の小休憩にも◎ 季節ごとに変わるテイクアウトドリンクを楽しんで
同店では、テイクアウトができるドリンクメニュー(432円〜)も販売。梅シロップをベースにしたノンアルコールドリンクは水(お湯)割り、紅茶割り、緑茶割り、ソーダ割りに加え、期間限定のスペシャルメニューも季節ごとに登場します。
アイスのドリンクには大粒の完熟南高梅が一粒入り、梅の実をくずしながら飲むと果汁感たっぷりの味わいに。敷地内のお庭でイートインもできるので、散策途中はもちろん、預けた荷物を受け取りに来た際の休憩スポットとしても便利です。
地元市場に生活道具店・・・お店の方との交流も楽しいスポットを訪ね、“丁寧な暮らし”のヒントを探る
秋の味覚がもりだくさん♪鎌倉野菜が並ぶ地元市場/鎌倉市農協連即売所
「蝶矢 鎌倉店」を後にして、向かったのは「鎌倉市農協連即売所」。昭和3(1928)年から続く通称“レンバイ”と呼ばれる直売市場で、鎌倉駅東口から徒歩4分の場所にあります。
場内では地元の農家が協同で出店。採れたての鎌倉野菜がところ狭しと並びます。都内ではなかなか見かけない野菜も数多く、活気ある市場は訪れるだけでもワクワク♪農家でもあるお店の方が、オススメの食べ方を教えてくれますよ。
秋が深まるこれからの時季は、葉ものや根菜が美味しいシーズン。数種類の野菜をセットにしたサラダミックスや、ピクルスなどの加工品もあり、料理が苦手でも簡単に楽しめる野菜も見つかります。早くに売り切れてしまう品も多いので、早めの時間帯の来訪が◎。
鎌倉市農協即売所
所在地 神奈川県鎌倉市小町1-13−10
最寄駅 鎌倉
おうち時間をもっと豊かに♡ 梅酒を楽しむための器を探しに/夏椿
次に訪れたのが、鎌倉駅西口から徒歩15分ほどの「夏椿」。色鮮やかな紅葉を楽しめる名所「銭洗弁財天 宇賀福神社」へ向かう途中、落ち着いた住宅街から小道を入ったところに位置しています。
戦前に建てられたという古民家を利用した同店。店内へ一歩足を踏み入れると落ち着きのある空間が広がり、時間がゆっくりと流れるのを感じます。
店内に並ぶのは、鎌倉近郊を中心とした作家さんが手掛ける、日々の生活が愛おしくなる温もりある器や、暮らしに寄り添う道具などの手仕事ものの数々。
梅酒を楽しむための器がお目当ての今回、気になったのはさりげないのに強い存在感を漂わせる三つのグラス。
中央のグラスは、型を使わない宙吹き技法でつくられていて、凛とした輪郭を描きながらもどこか愛らしく、安心感のあるぽってりとした形で手に馴染みます。
両サイドは、コンクリート製のオリジナル型に吹き込んで成形する型吹き技法によるグラス。繊細で上品なフォルムとは裏腹に、ガラスの表面に生じた揺らぎが描き出す素朴な表情に懐かしさも覚えます。
さて、どの子をおうちへ連れて帰ろうかしら。あれこれ悩む時間も、のんびりとした鎌倉時間の中ではとても心地よく感じられます。
夏椿
所在地 神奈川県鎌倉市佐助2-13-15
最寄駅 鎌倉
心までほっこり。暮らしをやさしく彩る手仕事もので冬じたく/morozumi
最後は、夏椿から銭洗弁財天を経て北鎌倉方面へ2kmほど散策。鎌倉の豊かな自然を楽しみながら、山の中にひっそりと佇む生活道具店「北鎌倉 morozumi」に辿り着きました。
一軒家の扉を開けると、はじめて来たのにどこかほっとするような居心地の良い空間が広がります。店内に並ぶ温もりあふれる手仕事ものの衣服や生活道具はいずれも、その心地よさから店主の両角さんご夫妻自身が長く使い続けてきたものばかり。
同店を始めるきっかけにもなったという「ガラ紡」は、日本に数台しかない最古の紡績機でゆっくり空気を含みながら紡がれる、明治時代に考案された糸。触れると心までほぐれるようなうっとりする肌ざわりで、老若男女の体にそっとやさしく寄り添ってくれます。
ニュージーランド産メリノウールを使う靴下もまた、一度履いたらトリコになる履き心地。店主ご夫妻をはじめ、コレがなくては眠れないという愛用者も多い逸品なのだそう。
上質なリネンで有名なラトビアの熟練職人が手がけるショールは、横糸にメリノウール、縦糸にはリネンが使用されているので、軽やかなのにしっかりと温かく身体を包んでくれます。
「長く愛するものを選ぶ時間も心地よく過ごしていただきたい」と予約者だけの開店日も設けている同店。来訪前にホームページのチェックを。
morozumi
所在地 神奈川県鎌倉市山ノ内917
最寄駅 北鎌倉
まとめ
オリジナルの梅酒はもちろん、すてきな器やショールも手に入れて冬じたくは万全。預けた手荷物を受け取りに再び「蝶矢 鎌倉店」へ立ち寄り、温かい梅ドリンクで一日の疲れを癒しながらホクホク気分で帰路につきます。
心の赴くままにめぐった鎌倉の休日は、自分にとっての豊かさや心地よさを見つめ直す、ぜいたくで有意義な1日になりました。まずは梅酒が完成するまでの1カ月間、少しずつ丁寧な暮らしを楽しみながら、冬を迎える準備を整えていくのも良いですね。
今回体験してくれたのは、宍倉詩野さん
「もともと梅が大好きで、以前テレビで『蝶矢 鎌倉店』を見てからずっと訪ねたかったので念願が叶いました!いろんな組み合わせを試したいので、今度は友達と一緒に梅体験に訪れたいです。秋晴れの下、鎌倉散策やすてきな道具店めぐりも楽しめて、とっても有意義な一日でした♡」
取材・文・写真/君島有紀
情報提供/CHOYA shops株式会社
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※本記事内の情報は2022年10月28日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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