シュウマイ好きのシュウマイ研究家がナビゲート!

シュウマイを長く食べ続けるため「焼休日」を設けるほど、ほぼ毎日シュウマイを食べ続けている、シュウマイ研究家のシュウマイ潤です。この連載では、今まさにブームになりつつあるシュウマイの王道、新鋭、さまざまなシュウマイ名店を紹介します。


第1回目は「東京のクラシック・シュウマイといえばココ!」という、東京・日本橋に本店を置く「小洞天(ショウドウテン)」です。

戦後創業の東京を代表するシュウマイの名店/日本橋小洞天

東京を代表する名店「小洞天 日本橋本店」シュウマイ研究家・シュウマイ潤のイチ推し。_585603

シュウマイの店といえば、まず連想するのは「崎陽軒」でしょう。また、その本拠地である神奈川・横浜には「横浜中華街」もあるため、シュウマイといえば横浜、と思う方も多いと思います。


事実、日本のシュウマイ文化は横浜から始まったと言っても過言ではなく、明治期には他の地域に先駆けて「シウマイ」を名物とした「博雅」というお店が登場しています。


一方で、東京も横浜に次ぐ日本のシュウマイ文化がいち早く花開いた地域です。日本で本格的に中華そばを提供し始めた「浅草来々軒」にはシュウマイがメニューにあり、「博雅」と並ぶ名物シュウマイのお店として、当時のグルメ雑誌に紹介されたりしています。


その後も、都内では中華料理店とともに、いわゆる「町中華」ができはじめ、その各所でシュウマイが定番メニューとして登場。そのシュウマイの一部は、今でも多くの人に愛される「クラシック・シュウマイ」として存在しています。


そのなかでも、今回取り上げる「小洞天」は、歴史は1944年に創業と、決して東京最古の存在ではありませんが、高度成長とともに東京の名物シュウマイとして人気を呼び、さらには、いち早く百貨店で「おみやげシュウマイ」として販売され、東京土産の一つとして定着していきました。


私の個人的調査ではありますが、関東近郊出身の方にシュウマイの話をすると、「実は小洞天のシュウマイが好きです・・・」と自分の“ソウルシュウマイ”として打ち明ける人が、意外に多いのです。

がっちり食べ応えあるクラシックスタイル

東京を代表する名店「小洞天 日本橋本店」シュウマイ研究家・シュウマイ潤のイチ推し。_585604

私はシュウマイを「大きさ」と「食感」でカテゴライズしているのですが、「小洞天」を代表する肉シュウマイ「ポークシュウマイ」は、「大ぶりがっちり系」に当てはまります。


最近のシュウマイは、中の具材をあえて荒く切り、混ぜすぎず、その具材の食感を残しているスタイルが多いように感じますが、「小洞天」をはじめとするクラシックなスタイルのシュウマイは、肉をよく練り、大ぶりの肉団子のような状態にして包み、蒸しあげます。結果、噛んだ瞬間、肉の塊を食べているようなワイルドな食感が特徴です。


その数ある食べ応えある「がっちり系」のなかでも、「小洞天」はトップレベルの噛み応えです。ですが、硬いわけではなく、適度な弾力があり、噛み切ったあとの達成感は格別。そのあと、一体となった豚肉のうま味と甘味がじゅわっと口の中に広がり、「シュウマイを食べてる!」という満足感に満たされます。


具材はシンプルに、豚肉が中心で長ねぎがアクセントとして入っていますが、そのなかに生姜も効かせており、後味は爽やか。30gを超えれば「大ぶり」の部類に入るシュウマイにおいて、40g超のヘビー級の大きさながら、2、3個は瞬く間に食べられてしまう食べやすさです。

ほぼ海老のみの「プリ」「ふわ」贅沢シュウマイ

東京を代表する名店「小洞天 日本橋本店」シュウマイ研究家・シュウマイ潤のイチ推し。_585605
東京を代表する名店「小洞天 日本橋本店」シュウマイ研究家・シュウマイ潤のイチ推し。_585606

「ポークシュウマイ」の完成度の高さゆえに、これだけ食べれば「小洞天」のシュウマイを知った気になってしまう方も多いのですが・・・ぜひもう一つ、「海老シュウマイ」も食べていただきたいです。


「海老シュウマイ」は、ヘビー級の「ポーク」よりもさらに巨大。そして、他の海老シュウマイの大半は「豚+海老」のハイブリッドタイプなのに対し、具材がほぼ海老で占められる、超贅沢なシュウマイと言えます。


海老は切り身とすり身の2種構成、それをミルフィーユ状に重ねていき、そのまわりを皮で包まれています。


そうして蒸しあがった表面は、蒸された海老の美しい朱色と半透明な白色の見事なコントラスト。そのシュウマイを一口食べた瞬間、蒸された切り身、すり身の2種の食感が口の中で「プリ」「ふわ」と「踊り」ます。その食感の楽しさの後、2種の海老のうま味と香りが口中に一気に押し寄せます。


海老シュウマイは、豚肉のシュウマイに次ぐ王道的シュウマイですが、これほど海老の食感、味わいを幾重にも感じられる逸品は、私のデータベースでもほとんど存在しません。さらには、世に多くの海老料理と比較しても、この海老シュウマイ以上に海老のうま味、香り、食感を強烈に味わえるものはなかなかないのではないでしょうか。シュウマイという蒸し料理の実力を感じさせる一品ともいえます。

お持ち帰りやお土産もいいけど、一度はお店で

東京を代表する名店「小洞天 日本橋本店」シュウマイ研究家・シュウマイ潤のイチ推し。_585607

店舗は2022年現在、日本橋の本店と日比谷に1軒ずつ、大手町に2軒。どこもお店で食べられるだけでなく、持ち帰りもできます。


また、前出の通り、都市部の百貨店の地下街でも販売。ちょっとご馳走のシュウマイを手土産にしたいときは、覚えておいて損はありません。また、最近はインターネットでの通信販売も強化され、自宅でも気軽に食べられるようになりました。


ただ、できれば一度は店舗に足を運び、食べていただきたいです。店舗でのシュウマイの加熱は、家では真似しにくい「じっくり加熱」のようで、そのため、蒸されたシュウマイのふっくら感と食感が格段に違います。


また、シュウマイとともに味わう別メニューも注目です。個人的には独特の食感を持つそばが特徴の「五目焼きそば」と、シュウマイの組み合わせがオススメです。お酒との相性もバツグン。ビール、ハイボール、紹興酒など、どんなお酒でも合います。私はベタですが、「ポーク」は生ビール、「海老」はハイボールでいただくことが多いです。


注意は、注文量。「ポーク」「海老」2種×2個を食べるとすると、それだけで200g超の肉や魚介料理を食べたことになり、結構なボリュームになります。シュウマイを主役で注文するのであれば、他メニューの注文数の塩梅にはくれぐれもご注意を。

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※本記事内の情報は2022年10月25日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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