1月の指先が凍りそうな冷たい夜風に吹かれながら、横浜のワインバーまで足を伸ばす。お正月感もそろそろ抜け、あとは春まで寒さに耐えるのみ、というこの時期にふさわしく、心が軽くなるような和やかな夫婦と、ふわふわのネコがいるところ“wine bar cyama(チャマ)”。
店内は、家具、食器、調理器具など全ての調和がとれた、雑誌の1ページのような北欧のキッチンのような、お洒落で可愛らしい空間。店内はカウンターの6席のみ。“こじんまり”と表現されそうだが全く狭く感じず、隣の人との距離をちょうどよく保てるくらいのスペース。
「ワイン好きの方はもちろんですけど、ここは初めて一人で飲みにきたってお客さんも結構いて」と、なるほど。カフェっぽくて入りやすいし、お店の人との距離感も心地よい。常連でなくても居心地が良いように、きちんと配慮が効いている……。
と、グルメ情報サイトにやたと長文で書き綴られた小賢しいレビューみたいな感じになったが、それほど素敵な空間づくりをされているということ。さて、お待ちかねのネコについて語っていこう。
“パピコ”は7歳のメス。東日本の大地震があった頃に、このお店の開店準備をしていて、家に置いて行くのが心配だからお店に連れてくるようになった。約6年経つ今では、気まぐれに“日本一自由な店長”を務めている。場の空気を柔らかくする癒しキャラと、その美貌で、よく取材や撮影の声がかかる有名ネコ。
このお店では、パピコが店長、旦那さんがオーナー、奥さんが“バイトちゃん”という設定。メインクーンの看板ネコは、「店長」ポジションのイメージがある。堂々としているからか?やっぱり猫種で性格が結構違うなぁ。
「動物が集まってくるお店」というのがコンセプト。オーナーご夫婦も、どこか森の住人的な優しい雰囲気を醸し出していた。
「パピコの性格は一言で表せば、ツンデレ。人見知りはしないけど、人懐っこくはないです。触りすぎると怒られるので、普段はツンが95%かも」という奥さん。なのに手からカリカリを直接食べていた!手から食べるタイプに見えないのに!5%のデレが垣間見えた。
あまり詳しくないので、正直にオーナーにオススメのワインを伺い、絵本作家がボトルのラベルを描いているというオーストラリアの“Over The Rainbow”の赤を。なんと言ったらいいのか、美味しい香りがします。cyama(チャマ)さんでは、ニュージーランドやオーストラリアのワインを中心に、国内のお酒もいろいろ扱っている。詳しくなくても、気軽に頼めて新しい出会いがありそう。
あ〜これは気持ち良く酔えそう、ネコがいるからつまみがいらないな〜なんて言いながら、料理も注文。“パピ陽軒の焼きシュウマイ”は横浜ならでは感も味わえて、カリッと焼かれた皮が芳ばしく、ワインとも合う。
「お客さんで、この店でネコの扱いに慣れてから、女性にモテるようになった方がいましたね。グイグイ行きすぎると、ネコも恋愛もあまり上手くいかないよねって話になって。うちはネコ好きな男性のお客さんも多いです」。ネコと女性を一緒にするわけではないが、その理屈はわかる気がする。パピコは、人を癒し和ませてくれるだけでなく、オンナを落とす方法まで諭すワインバーのマドンナなのであった。
石井芳征(ネコ偏愛者/クリエイティブディレクター/Cat’s Whiskers編集長)
wine bar cyama(チャマ)
住所:神奈川県横浜市西区岡野 1-4-5
最寄り駅:相鉄線 平沼橋
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※本記事内の情報は2017年01月29日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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