vol.4 紆余曲折の歴史を持つ丸ノ内線、枝毛まで含めて駅名を再考
土地の歴史や地名の由来に強い愛とこだわりを持つ能町みね子さんが、独自の視点で新たな駅名を考案する本連載。第4回目は、前回大反響だった丸ノ内線の残りの駅に、ぴったりの名前をサーブします!あなたの住むあの駅も、毎日通っている会社の最寄り駅も、本当は違う名前がふさわしいのかもしれません!
丸ノ内線の「銀座」は公平に割りふると「西銀座」になる
長くうねる丸ノ内線の続きです(前回記事はコチラ)。四ッ谷から先、まずは都心部へ。
赤坂見附(第2回銀座線で既出)、そして国会議事堂前・霞ヶ関はこのままでいいんじゃないでしょうか。国会議事堂みたいにたまに駅名にランドマークが入るパターン、私は好きです。全部がそうだと冗長だけど。
さて、銀座ですが。ここは実は開業時「西銀座駅」だったことをご存知でしょうか。
銀座線の銀座とは離れているので、西銀座駅として開業。数年後に日比谷線の銀座駅ができたことで遠い両駅がつながり、どちらも銀座駅となる。
……ということなんですけど、丸ノ内線の銀座駅~銀座線の銀座駅と、銀座線の銀座駅~都営浅草線の東銀座駅の離れ方はほぼ均等なのです。そして、銀座駅から東銀座駅だって、地下道でつながっているんです。
だったら、丸ノ内線の銀座駅はやっぱり「西銀座」にしておいたほうが公平な気がする。東西南北をつけるのがあまり好きじゃないと言いつづけていた私ですが、ほぼ同じ位置にあって、路線によって駅を区別するような場合にはつけたほうがいいんじゃないかと思うんですよ(大阪の西梅田・梅田・東梅田みたいに)。
銀座銀座と書きすぎて銀座がゲシュタルト崩壊してきた。次に行こう。
ずっと東京都内を走っているのに「東京駅」って変な話
次の駅「東京」。これもまた厄介な名前です。新幹線で地方から来る場合はともかく、ずっと東京都内をうろつく地下鉄で「東京駅」があるのも変な話。ちょうど丸ノ内にあたる地域なので、「丸ノ内駅」でどうですか。丸ノ内線という名前なのに「丸ノ内」という駅はなかったからね。
大手町は巨大な駅ですが、一駅としてのまとまりは感じるので全部大手町でよし。淡路町も歴史ある地名なのでよし。
御茶ノ水は、JR御茶ノ水駅に乗り換えるには地上に出て橋を渡る必要があり、同じ駅名にするには抵抗があるので「お茶の水橋駅」と、橋の名前にマイナーチェンジ。
本郷三丁目は、特に別の駅と間違う可能性がないのでシンプルに「本郷」にしましょう。後楽園、茗荷谷はそのままでいいか。
丸ノ内線で忘れてはいけないこと……「新大塚」は新しくない
新大塚については、話が長くなりそうだ。
そもそも、山手線の大塚駅は本来いまの新大塚駅のあたりにできるはずだった。それが住民の反対などでルートが変わり、大塚という街からかなり離れた巣鴨村(当時)に大塚駅が開業。それから50年以上経って、戦後に丸ノ内線の新大塚駅ができる。その後、大塚駅のあたりの地名が駅に合わせて「豊島区北大塚/南大塚」に変わってしまう。
こういう複雑な経緯を経て、地名は「(豊島区)南大塚」よりも南に本来の「(文京区)大塚」が存在し、ずっと昔から大塚だったところに「新大塚」ができるという、すごくおかしなことになってしまったわけです。
だから新大塚は全然新しくない。本来の大塚なので「本大塚」とか「元大塚」とか「真・大塚」とかにしたいところですが、不毛な争いを呼びそうなので……かつての都電の停留所名から取って「大塚辻町」がキレイかな。
ターミナルの池袋はこのままでいいとして。
……あ、忘れてた、枝毛の部分。枝毛の部分は実は古い地名を残しているので、すべてこのままでいいと思います。中野新橋、中野富士見町、方南町。特に「中野富士見町」は今では完全に消えた地名。このまま残してほしいな。
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