実は人生訓に満ちた啓蒙スポットの「カップヌードルミュージアム」
横浜はもしかしたらラーメンの街なのかもしれません。新横浜ラーメン博物館もあれば、カップヌードルミュージアムもあります。ラーメン文化を学びたい若者は横浜を目指すのが良いでしょう。そして横浜というとデートのカップルだらけという説があります。
以前、よこはまコスモワールドの隣の建物に用事があった時、なにげなく隣の観覧車の写真を撮影しました。あとでデジカメ画像を拡大してみたら、男女がキスしていました。と、いうくらい、リア充のるつぼなのですが、このカップヌードルミュージアムはソロ活にもおすすめです。カジュアルなデートスポットだとなめて入ったら、実は人生の教訓に満ちた啓蒙スポットでした。
赤いロゴから既に可士和感が漂っていますが、この施設の総合プロデュースは佐藤可士和。ムダがなく直球なデザインで、メッセージが心に刺さってきます。
可士和ワールド満載の意識高い系の映像や、創業者による格言のデパート状態!
最初の部屋はインスタントラーメンのヒストリーが展示されていました。半世紀に渡るインスタントラーメンの容器が一同に……。昔お金がなくて常食だった頃の思い出の走馬灯、畳の部屋でカップラーメンをすすったシーンがよぎり、目頭が熱くなります。
そして次の部屋は「百福シアター」で、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」や「カップラーメン」を発明した安藤百福のムービーが上映されました。さすが可士和プロデュースなので意識高い系の映像で「クリエイティブシンキング=創造的思考」のキーワードが次々と出てきて、啓蒙されます。「なんでもヒントにする」「アイディアを育てる」「タテ・ヨコ・ナナメから見る」など。
シアターを出ると、掘建て小屋の百福の研究部屋が再現されていました。ここで、一年間、4時間睡眠で毎日麺を揚げ続け、チキンラーメンの試作品を作っていたのです。
「クリエイティブシンキング ボックス」の部屋では6つのキーワードから発展した、おしゃれでクリエイティブな展示が。天井に白い麺が広がるオブジェの中、麺が部分的に意味のあるワード(creative, uniqueなど)になっているのを探す展示など、意識が高い仕掛けが各所にありました。
首から、マイカップヌードルファクトリーで作ったカップヌードルをかけて回っているカップルが熱心に展示を見ていました。知らずのうちに百福氏に感化されてしまいます。
安藤百福の年表も展示されていて、「あさま山荘事件」の現場中継で機動隊員がカップラーメンを食べる映像が度々流れたのが、カップヌードルのブレイクのきっかけ、と一見黒歴史のようなこともちゃんと書かれているのが好感度大です。
そして百福氏が亡くなったのは2007年のこと。前日は社員の前で訓辞を行い、取引先に挨拶、と96歳と思えないくらい活動的に過ごし、次の日急に体調を崩して亡くなる、といういわゆるピンピンコロリ的な、理想的な亡くなり方です。
そしてさらに神格化された百福氏の銀色の像も鎮座。その横には訓辞的な筆文字の熟語が展示されていました。「入心入魂 自立自進」「進取開拓 信頼強調」「体力智力 気力全力」など……。格言のデパート状態です。
カップヌードルの生みの親・安藤百福氏の意外な遅咲きぶりにも一人感動
混雑で予約困難なマイカップヌードルファクトリーはスルーして、アジアの屋台の雰囲気の中で食事できるワールド麺ロードへ。フードコートでは、フォーやラクサなど世界の麺が売られている中、チキンヌードルは格安の150円で食べられて、しかも戦後の闇市みたいな屋台で、温かいスープとともにありがたみが身にしみます。
油断していたら結構感動するカップヌードルミュージアム。何より、安藤百福氏の遅咲きなところ(48歳でチキンラーメン発売、61歳でカップヌードル発売)に励まされます。いっぽうで、カップルや夫婦で行くと男性はプレッシャーを感じるかもしれません。百福氏は48歳で成功したんだから、あきらめないでがんばれるよね、と……。やはりここはひとり感動に浸るのがおすすめです。
※2016年1月時点の情報です。
〒231-0001
神奈川県横浜市中区新港 2-3-4
馬車道駅
〒231-0001
神奈川県横浜市中区新港 2-3-4
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※本記事内の情報は2016年01月29日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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