汗と楽器のピースフル公園デート

♥夏真っ盛りですから、暑いビル街は離れましょう。緑の多いところに行きましょう。
ということで、今回は代々木公園です。この連載にしてはだいぶベタなスポットですが、暑いときはあまりややこしく考えずに、静かな木陰で自然の風で涼みましょうよ。

デートの相手は、代々木公園によく似合う人がいいなあ。だから、代々木公園に毎週のように通ってはジャンベかタブラ(あ、どっちも打楽器です。たぶん代々木公園には演奏してる人がよくいるはず)を趣味で練習している22歳がいいです。大学を卒業した後にファッション系の専門学校に入り直した学生。

私も若返って、そうだねえ、24歳カフェ店員になります。原宿の外れのほうで、知る人ぞ知るという感じでひっそりと営業しているカフェの店員です。髪が腰まであって、いつもおだんごにまとめているという設定(だんだん妄想の度が過ぎ、自分自身の姿形まで変えるようになってきたが、そこはあえて自粛しない)。

♥二人ともお金はないから、ふだんはデートといってもカフェでのんびりしたり、公園を散歩したり。むしろただ二人でいることがいいっていう、そういう時期なんだよ。

今日もひどく蒸し暑いのは分かっていたけど、家で冷房を効かせながらダラダラするのも苦手な二人だから、取りあえず外に出ようということで代々木公園に来た。二人の住む小田急線方面の郊外から千代田線に乗り継いで、代々木公園駅から歩いて行く。明治神宮前から行くときの喧騒を逃れるだけでもだいぶ涼しい。

♥彼は今日もジャンベを持ってきました。私はというと、最近リサイクルショップで安く買ったウクレレを手にしております。まったくの初心者ですが、これから始めようと思うんです。

代々木公園の木陰で、彼がジャンベをたたく。それに合わせて、私はおぼつかない手つきでウクレレを奏でようと四苦八苦します。これはだれかに見せているわけじゃないから、二人だけの空間だから、あまり人の来ない木陰でこっそり楽しむんです。

今回、具体的にイメージし過ぎてマジで甘酸っぱい気持ちになっている。むなしいと思うべきところだろうけど全然むなしくない。この自分の感情がヤバい。ヤバいから中断!



文・イラスト:能町 みね子さん


能町 みね子さん
能町 みね子さん

能町 みね子さん

文筆業兼イラストレーター。「オカマだけどOLやってます。」でデビューし、近刊に「『能町みね子のときめきデートスポット』、略して 能スポ」(講談社文庫)「ときめかない日記」(幻冬舎文庫)など。「久保みねヒャダ こじらせナイト」にも出演中。
https://twitter.com/nmcmnc

※この記事は、レッツエンジョイ東京のフリーペーパー「東京トレンドランキング」2011年8月号(7/20発行)に掲載されたものです。
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