結婚をすると、喜びは2倍に悲しみは半分になる、と言われている。一人よりも二人のほうが、ともに喜び合い、悲しいことは負担を一人で背負い込まなくて済むからだそうだ。なんだよ。なんなんだよ。みんなすぐそういうことを言う。「結婚で喜びは2倍に~」の言葉はもちろんひとつの正解であろう。ただ、だからといって、一人が不正解、ということにはならない。一人には一人の、複数には複数の、それぞれの良さがあるはず。二人は「幸せ」、一人は「残念」、大勢は「リア充」、一人は「ぼっち」、世の中こういう言説がちょっとばかり多すぎやしないだろうか。


 一人の何が悪いのか。一人客が生きやすい世の中に、そんなマニフェストを掲げる私は今回、いわゆる“幸せの象徴”に一石を投じることにした。幸せ、それは、ウエディング。世は6月。結婚の季節である。だから、「一人ウエディング」に挑戦するのだ。

 とは言っても、一人で式を挙げることはできないので(たぶん)、行くのは「ウエディングフェア」。ウエディングフェアとは、挙式を控えたカップルたちが、ウエディングプランの相談やお試しをする体験会のようなもの。プランナーに式の構成を相談するだけのものもあれば、料理の試食やドレスの試着ができるコースもある。婚約中の2人が、理想の式を思い描きながら休みの日にデートがてらウエディングフェア巡りをする、らしい。知らないけど。巡ったことないし。

▲「天使の住む 御苑チャペル」へ

▲「天使の住む 御苑チャペル」へ

ちなみに、具体的な挙式の予定がない人がウエディングフェアに行くこと自体は、特に禁止されていない。フェアは式場探しのためでもあるが、“結婚に興味を抱かせる”という目的もあるらしい。今後の人生で1%でも結婚式を挙げる可能性があるのならば、誰でも参加可能とのことだ。

▲ハートのグラスでお茶が出てきた

▲ハートのグラスでお茶が出てきた

 その日参加したウエディングフェアは無料。内容はまずはウエディングプランの相談から。同じ回にほかのカップルも同時参加することが多いそうだが、この日の参加者はたまたま私だけ。ほかのカップルを前にして、「あっ、今日は婚約者が仕事で来られなかったんですよウフフ」という顔をして気を確かに持とう、と意気込んでいたのも杞憂に終わった。

挙式の予定もないくせに、担当者のプラン説明をふんふん聴く。パンフレットに沿って挙式当日の流れ、会場や控室の作りを一通り説明してもらう。結婚指輪を交換するときに、指輪を運んできてくれる「リングガール(ボーイ)」というものがあるが、「リングドッグ」としてこの役目を飼い犬にやってもらうこともできるらしい。

▲ふんふん

▲ふんふん

 続いて、チャペルやパーティー会場、プチギフトや贈呈品を見て回る。なお、ここの式場は、「天使がいる」と謳っているだけあり、そこらじゅう天使の置物まみれなのが印象的だった。天使好きのオーナーがコツコツ買い集めたのだという。

▲チャペル。キリスト教式や人前式の違いを説明される

▲チャペル。キリスト教式や人前式の違いを説明される

 パーティー会場では、一人で新婦席に座ってみた。



私「あ、あの、新婦さんが座る席に座ってみてもいいですか?」

担当者さん「はい、いいですよ」

私「あ、いや、なんか、新婦として座ったとき、会場がどんな感じに見えるのか知っておきたくて」


 聞かれてもいないのに言い訳しながらの、一人ウエディングパーティーごっこである。

▲新郎不在

▲新郎不在

▲新婦席から見える光景。参列者も不在

▲新婦席から見える光景。参列者も不在

 式の参列者に配るプチギフトのサンプルや、新郎新婦が産まれたときの体重を再現したウェイトベアもあった。「ギフトはこれじゃなくても色んなバリエーションがあるんですよ」、「ウェイトベアは最近の結婚式で人気ですよ」と担当の人が丁寧に教えてくれる。なお、しつこいようだが、私に近々挙式する予定は特にない。

▲プチギフト

▲プチギフト

▲ウェイトベア

▲ウェイトベア

 ここまでで約30分程度。そして、最後はウエディングドレスの試着へ。

▲ドレス、ティアラ、ヴェール、好きなのを選べる

▲ドレス、ティアラ、ヴェール、好きなのを選べる

 先述したように、フェア参加者にほかのカップルがいたことを考えて、「あっ、今日は婚約者が仕事で来られなかったんですよウフフ」という言い訳顔を用意していた。それと同じように、ウエディングフェアの案内担当の方から「婚約者さんはどんなドレスやプランが良いと仰ってるのですかウフフ?」などと聞かれることを想定していたのだ。

だが、一向に聞かれる様子がない。聞かれても困るから聞かれなくていいのだが、それにしても聞かれない。耐えかねて、「普通、一人でウエディングフェアなんて来ないですよね」と投げかけてみたら、「お二人のお休みが合わないからとお一人でいらっしゃる方もいますよ」と手慣れた様子。つまり、一人ウエディングフェアは、外から見るとさほど異様な光景でもないということである。仕方なく一人で行くのと、本当にただ一人で行くのとの大きな違いはあれど。

▲されるがまま

▲されるがまま

 そうこうしているうちに、あれよあれよという間にティアラとヴェールが着けられた。

▲こういうとき、どんな顔すればいいか、分からないの……

▲こういうとき、どんな顔すればいいか、分からないの……

▲ドレス、着用

▲ドレス、着用

 誰かに見せるためでもなく、一人でウエディングドレスを着て、しばらくして脱ぐ。この一連の出来事は、なんとも「何やっているんだろう……」という気持ちにさせられた。この何とも言えない感覚の中、私はこんなことを思い巡らせていた。


 少し真面目な話になるが、私はもともと“結婚式”という催しに憧れたことがない。それどころか薄々、苦手意識すら持っていた。家族や友人の前で見せびらかす気恥ずかしさもあるが、それ以上に大きいのは、式に組み込まれているそれぞれの工程の意味付けが、手放しで受け入れづらい点だ。

ウエディングドレスが純白なのは「あなた色に染まります」という意だったり、ファーストバイトは「男性から女性へは『一生食べさせます』、女性から男性へは『一生おいしいものを作ってあげます』」との意味だったりする。儀式の力によって、自分が思ってもいないことを“決められる”ような、外からコントロールされるような、どうもそんな感じがしてしまうのである。もちろん、結婚式という制度を否定したいわけではないし、いちいち理屈をこねくりまわすものではなく、ひとつの幸せの様式美だと思っている、とも付け加えておく。


 “一人”は、外的要因からコントロールされにくい。自分のコントロール下におけない物事にストレスを感じる人ほど、一人行動を好むし、一人行動が向いているのではないかと思う。


 「結婚」という、「一人」とは対極に位置するものを扱うウエディングフェアに行くことで、よりソロ活に対する意識がクリアになった今回。式場探しを目的に参加しているカップルには到底できない体験である。およそ一人で行かないような場でも、切り開いてみればいくらでも発見はあるのだ。生きとし生けるすべての一人客の希望に、私はなりたい。

▲一人客が生きやすい世の中に(ソロ活党)

▲一人客が生きやすい世の中に(ソロ活党)

ウエディングフェアをソロで楽しむ3ヵ条

その1 ウエディングフェアの一人参加は禁止されていない

その2 一人ウエディングパーティーごっこもできる

その3 一人でフェアに参加すると、自分と向き合える

※なお、この連載の写真はすべてセルフタイマー&三脚で撮影しています。

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