3,000基以上の古墳を巡ってきた、古墳シンガーがナビゲート!
「古墳は空から見ないと意味がない」「歴史苦手だから無理」・・・いえいえ、そんなことはないのです。1500年前には16万基も造られたという古墳は、現在でもコンビニの約3倍の数あり、実はいまでも身近に残る“誰でも楽しめる”存在なのです。
この連載では、古墳シンガーで古墳にコーフン協会会長の私まりこふんが、知られざる古墳の魅力、そして古墳の歩き方をみなさまにご紹介!今回は千葉県にある「龍角寺古墳群」です。
日本最大級の方墳に圧倒される/龍角寺古墳群
文化庁の調査によると、千葉県に造られた古墳は平成28(2016)年の時点で12,765基と、全国第4位の数。今回ご紹介する「龍角寺古墳群」はそんな“古墳大国”千葉県の印旛郡栄町にあります。
「龍角寺古墳群」の中でもひと際目を引く「岩屋古墳」は、一辺約80mもある全国最大級の方墳(四角い形の古墳)です。最大級というだけあって、近くまで行くとその大きさに圧倒されます!
とくに秋冬には芝が枯れて茶色になり、かつ3段に盛られた墳丘の形状が露わになるので、まるでエジプト最古のピラミッドといわれているジェゼル王の階段ピラミッドのよう!
大きくて四角い形も分かりやすく、そして非常にフォトジェニック。方墳は古墳時代には円墳に次いで多く造られたというほど数多く築かれた古墳ですが、こんな立派な方墳はなかなか他では見られないと思います。
さらにこの岩屋古墳には、石室という石でできた埋葬施設も残されています。扉が閉まってはいるものの隙間から中を覗くことが可能です。
中には入れませんが、扉が開いて普段見えづらいところもよく見ることができる「特別公開」も実施。年2回ほど行われているので、要チェックですよ!
そもそもなぜ中に入れないのか。それには石室に使用されている石の材質が関係しています。こちらの石室はこの地域独特の造りで、貝化石を含む砂岩が使用されているため、非常に脆く崩れやすいのです。
中に入ったり触ったりしたい気持ちになってもそこはグッと我慢。いかなる時も古墳ファーストでお願いいたします。
リーゼント埴輪が守る古墳/龍角寺古墳群(房総のむら)
龍角寺古墳群のうちの78基は「房総のむら」内にあり、本当はすべて“墳プリート”していただきたいところではあるのですが、今回はとくオススメな「龍角寺古墳群第101号古墳」をご紹介。
墳頂や古墳の周囲に埴輪がズラッと並んでいるのが特徴です。
たくさん並ぶ埴輪の中でも私が心を鷲掴みにされたのはこの埴輪!リーゼントヘアをしているような埴輪が4体。凛々しい顔つきがかっこいい。
これは人物が盾を持っている「盾持人埴輪」という種類の埴輪なのですが、外敵から古墳を守るような役割といわれているんです。こんなかっこいい護衛を持つ古墳が羨ましい!
古墳に並ぶリーゼント埴輪はもちろんレプリカですが、2023年4月29日に大規模改修工事が終わってリニューアル・オープンした房総のむら内の「風土記の丘資料館」では本物のリーゼント埴輪に会えるので、併せて訪れてみてください。古墳に詳しくない方でも、きっと推し墳&推し埴輪が見つかるはずですよ。
- 体験博物館 千葉県立房総のむら
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所在地
千葉県印旛郡 栄町龍角寺1028
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最寄駅
安食
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電話番号
0476-95-3333
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ライター紹介
古墳への愛を歌いあげる古墳シンガー。2013年1月「古墳をゆるく楽しく愛でる」をモットーに「古墳にコーフン協会」を設立、会長を務める。今まで巡った古墳は3,000基以上。全国各地のイベントや、TV・ラジオ番組、新聞、雑誌記事などメディアにも多数出演。
- 本記事内の情報に関して
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※本記事内の情報は2023年05月31日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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