シュウマイ好きのシュウマイ研究家がナビゲート!

シュウマイを長く食べ続けるため「焼休日」を設けるほど、ほぼ毎日シュウマイを食べ続けている、シュウマイ研究家のシュウマイ潤です。この連載では、今まさにブームになりつつあるシュウマイの王道、新鋭、さまざまなシュウマイ名店を紹介します。


今回は「リッチなシュウマイを味わうならココ!」ということで、神奈川・武蔵小杉にある「野田焼売店 頂(いただき)」を紹介します。

贅沢食材を専門店の技術でワンランク上のシュウマイに/野田焼売店 頂

「野田焼売店」は、2015年に東京・駒込で産声を挙げ、現在は紀尾井町の2店舗と無料販売店2店舗を都内で展開する、シュウマイ専門店の先駆けであります。今回紹介する「頂(いただき)」は、言葉通り、そのハイブランドに位置する新業態として、2022年4月に武蔵小杉にオープンしました。

 

「野田焼売店」の紹介だけでも、本稿の文字数はあっという間に埋まってしまいますが、「頂」の魅力を知っていただくためにも、簡単に。「野田焼売店」では、いわゆるオーソドックスな蒸した「肉焼売」に加え、「揚焼売」「焼焼売」「水焼売」と、調理方法に応じた4種を常時提供。今でこそシュウマイ専門店ではよく見られますが、日本ではじめて提供したのは「野田焼売店」と考えられています。

 

「揚焼売」は、これまでお惣菜店などでは見られましたが、定番として飲食店で提供するのは珍しく、表面はこんがり中はジューシーな揚げたて。「焼焼売」は、簡単に言えば、シュウマイと「焼餃子」の良いところ取り。表面のカリッと焼き上げられた香ばしさとともに、シュウマイの中身のふんわりとした食感が相まって、「蒸」「揚」とも違う満足感に満たされます。そして「水焼売」は、「水餃子」のシュウマイ版。スープとともに食べるスタイルで、シュウマイのしっかりとした食感はスープの中でも健在。まるでワンタンスープをよりボリューミーに楽しめるような感覚です。

 

こうした多様な調理手法のシュウマイも、大切なのはその基本となる「肉焼売」。王道中華に倣い、シンプルな豚肉中心の具材構成ながら、白いご飯にも合いそうな日本人に馴染みある味付けの、ありそうでなかった「ジャパニーズシュウマイ」が「野田焼売店」ではいただけます。

 

・・・と、簡単といいながらそれなりの分量になってしまったので、そろそろ本題に。今回ご紹介する「頂(いただき)」にも、これらの4種のシュウマイは存在しますが、前出の通り、さらにハイレベルな業態として、他の「野田焼売店」では食べられない「リッチシュウマイ」を開発し、提供しています。

1個あたり300円超のリッチシュウマイ2種

▲海老と蟹の焼売

▲海老と蟹の焼売

▲フカヒレ入りもち米焼売

▲フカヒレ入りもち米焼売

「頂」で常時提供される「リッチシュウマイ」は2種。「海老と蟹の焼売」「フカヒレ入りもち米焼売」です。

 

その名前からわかる通り、使用する具材が従来のシュウマイにはない贅沢なものです。一般的に海老はシュウマイによく使用されますが、「海老と蟹の焼売」ではぶつ切りのエビがふんだんに用いられ、そこにさらなる高級食材の蟹がミックス。この種の贅沢なハイブリッドシュウマイは、高級なホテル中華などでは稀に見られるかもしれませんが、定番として提供している店は、私の記憶ではほとんどありません。

 

もう一つの「フカヒレ入りもち米焼売」は、言わずもがなの中国料理の高級食材・フカヒレを、もち米と混ぜ込んで贅沢に使用。これも、一部のフカヒレ専門中華店などで見たことはありますが、定番として出す店はほとんどないと思います。

▲季節限定 冬白菜と干し貝柱の肉焼売

▲季節限定 冬白菜と干し貝柱の肉焼売

「海老と蟹の焼売」は2個で680円、「フカヒレ入りもち米焼売」は2個で780円。1個あたり300円超!ちなみに、飲食店のシュウマイの価格を判断する基準となるのが、1個100円。大きさにもよりますが、一般的にはこれ以下であればリーズナブルであり、これ以上であれば比較的高級な部類と言っていいと思います(私調べ)。ただ、高級な部類の中でも300円超えはかなり珍しく、このクラスのシュウマイを定番的に出す店は、過去記事でも紹介した東京を代表する名店「小洞天」をはじめとする数軒ぐらいです。

 

ちなみに「頂」には「季節限定焼売」もあり、この日は「冬の限定焼売」として「冬白菜と干し貝柱の肉焼売」がメニューにありました。白菜をシュウマイに入れる事例もかなり珍しいです。

シュウマイが「五感」で楽しめる料理であることを教えてくれる

▲「海老と蟹の焼売」の断面。割るとほろっとほぐれる空気感

▲「海老と蟹の焼売」の断面。割るとほろっとほぐれる空気感

この「リッチシュウマイ」2種+「季節限定」を食べてみると、厳選された食材のうま味が感じられるのはもちろん、その食材の「香り」「食感」など「五感」全てで美味しさを感じられることが分かります。そしてそれは、シュウマイという料理自体が「五感」全体で楽しめる特性を持ち、それを理解し、技術を極めた専門店の先駆者だからこそ、この3種を表現できるのだと改めて感じます。

 

「海老と蟹の焼売」は、シュウマイを箸で切った瞬間わかる、ほろっとした食感が特徴。口に入れた瞬間に食材がふわっとほぐれ、海老と蟹の具材の粗挽き食感とともに、それぞれの食材の香りと風味、そしてうま味が気持ちよく口の中に広がります。味付けはシンプルかつ控えめにしてあり、そのままでも十分美味しいですが、辛子をちょっと多めにつけて食べると、海老と蟹のうま味と香りがグッと際立ちます。

▲「フカヒレ入りもち米焼売」の断面。見た目通りねっとりとした食感が特徴

▲「フカヒレ入りもち米焼売」の断面。見た目通りねっとりとした食感が特徴

「フカヒレ入りもち米焼売」のもち米を入れるスタイルは、日本では馴染みは少ないですが、本場中国などでは割とスタンダード。蒸し立てのもっちりとしたもち米の食感が醍醐味で、濃密かつ贅沢な味わいと風味が口中をじんわりと満たしてくれます。もち米にうま味が染み込んだフカヒレがしっかり練り込んであるので、何もつけずにそのまま噛み締めて味わうのが良いでしょう。

▲「季節限定 冬白菜と干し貝柱の肉焼売」の断面。粗挽き豚肉のなかに白菜と干し貝柱が絶妙なバランスで一体化

▲「季節限定 冬白菜と干し貝柱の肉焼売」の断面。粗挽き豚肉のなかに白菜と干し貝柱が絶妙なバランスで一体化

「季節限定 冬白菜と干し貝柱の肉焼売」は、荒めの豚肉とともに絶妙なバランスで混ぜ込まれたザク切り白菜の食感がなんとも心地良し。そして、白菜の香りと風味が、従来のシュウマイにはない豚肉のうま味を見事に引き出してくれています。季節限定にするにはもったいないぐらい、白菜がシュウマイに合うことを教えてくれる逸品です。

基本のシュウマイも他の料理もドリンクもリッチ

▲「野田焼売店」で提供される定番シュウマイも注文可能。注文はタッチパネルで

▲「野田焼売店」で提供される定番シュウマイも注文可能。注文はタッチパネルで

▲お酒は、贅沢なシュウマイの味わいを一層引き立ててくれる生ビール「白穂乃果」を

▲お酒は、贅沢なシュウマイの味わいを一層引き立ててくれる生ビール「白穂乃果」を

シュウマイにとどまらず、「頂」は料理全般の食材を厳選しています。

 

前出の通り、「頂」では「野田焼売店」の定番である「肉焼売」「揚焼売」「焼焼売」「水焼売」に加え、中央に唐辛子が刺さった「辛焼売」、チーズが練り込まれた「チーズ焼売」も提供。そしてそこで使用される豚は、すべて国産に限定しています。これだけのラインナップを揃えなおかつすべてに国産豚肉を使うこと、私も「東京焼売」という商品を開発した経験があるので、これを実現するためにどれだけの手間とコストがかかるか・・・それはまた別の機会に。

  

シュウマイとともに味わうお酒やドリンクも、「頂」の名に恥じないセレクト。生ビールはサッポロの高級ブランド「白穂乃果(しろほのか)」。これを「とりあえずビール」として味わえる贅沢は、ビール党ならばお分かりでしょう。きめ細かいクリーミーな口当たりと喉越し、ほのかな酸味と苦味が、焼売の美味しさを見事に引き立ててくれます。


レモンサワーも「瀬戸内レモンサワー」、ワインは「長野メルロー」「余市ケルナー」などのご当地国産ブランドに加え「オーガニックワイン」も提供。さまざまなシュウマイとお酒との「シュウマリアージュ」も、多様かつリッチな組み合わせで楽しめるわけです。

 

さまざまなシュウマイを食べたいシュウマニストはもちろん、従来のシュウマイに満足できないという方も、ぜひ「頂」でリッチなシュウマイの世界を体験してみてください。

野田焼売店 頂
  • 所在地

    神奈川県川崎市中原区新丸子東 3-1135-1 グランツリー武蔵小杉1F

  • 最寄駅

    武蔵小杉

  • 電話番号

    044-750-8272

本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2023年01月13日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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