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喫茶ライターの川口葉子です。今回わたしがご紹介するのは「中央線沿いのカフェでプリンを食べるならココ」という、西荻窪のお店。
“小さな驚き”のある美味しさ!できたてを大切にするカフェの極上プリン/La Petite Surprise
中央線西荻窪駅から徒歩10分、金曜と土曜だけオープンするパティスリー&カフェ「La Petite Surprise(ラ・プティット・シュルプリーズ)」で極上のプリンに出会いました。
定番の「有精卵のカスタードプリン」(下写真・左600円)がなめらかに舌にひろがった瞬間の驚きときたら! 卵黄の濃厚な風味。トッピングのクリームに混ぜあわされた甘いキャラメルクリームと、プリンにのったほろ苦いキャラメルのグラデーション。カリッと快く弾けるキャラメルアーモンドの香ばしさ。店名の通り、“小さな驚き”のある美味しさです。
定番以外のプリンは季節感いっぱい。カボチャのおいしい秋だけ登場するかぼちゃプリン(上写真・右650円)や、夏のお楽しみ、名作チェリータルトプリン、バレンタインの季節にはラムとコニャックが香る大人のチョコプリンなど、いずれもテイクアウトはなし、カフェだけで注文できるメニューです。
美味しさの秘訣は、店主の塩見充代さんが「風味の豊かさ、弾力のある白味の美味しさに惹かれて選んだ」という平飼いの有精卵や、なめらかな食感にこだわって、アパレイユ(=プリンの生地)に空気を入れないようにしながら均一に混ぜ、二度濾しをすること。そして芯温を測りながら正確に火入れをすること。
すべてを一人でおこなう塩見さんは、「ささやかな驚きを感じていただける味わいと、鮮度を大切にしています。一品一品、できたての美味しさを楽しんでほしい」と快活に語ります。
そのため、作り置きして冷凍することは避け、プリンだけでなく焼き菓子もケーキも少量ずつ手間をかけて仕込んでいます。週に2日だけの営業ですが、それ以外の日はすべてお菓子の仕込みに没頭しているのですって。
大変そうですが、塩見さんは「厨房が大好きで」とにっこり。前職はWeb上でお店を紹介する仕事をしていた塩見さん。パティスリーの取材でお店の厨房に入らせてもらったとき、「泡だて器が回る音やオーブンの音にテンションが上がり、このケーキはこの厨房のドラマから生まれてくるんだ、と興奮してしまって。自分も厨房の中にいたいと思ったんです」。
そのとき、塩見さんはきっと厨房の天使に呼ばれたのでしょう。40歳という遅いスタートをものともせず5年間修業を重ね、2017年にラ・プティット・シュルプリーズを開いたのでした。
修業中に慣れない長時間の立ち仕事で膝を痛め、変形性膝関節症になってしまったにもかかわらず、治療とリハビリを続けながら出店準備を進めていたそう。
「いろいろと大変でしたが、それでも厨房が好き、お菓子をつくるのが好きなことは変わらなかったんです」
そんな苦しい時期に塩見さんの心を支えてくれたのが、よく通った自宅近くのカフェ、西国分寺にある「クルミドコーヒー」でした。
「やらなきゃいけないことや悩みで頭がいっぱいで、いつも精神的な重荷を抱えてカフェに入るんですが、お茶している間に、不思議とそんな荷物がストンとおろされて軽くなっているんです。帰るときは『いらないもの、捨てておきましたよ』と言われたような気持ちになってカフェを出る、みたいな」
自身のそんな体験から、たとえ3卓だけの小さなスペースでもカフェを設けたいと考えたのでした。
美しいシャンデリアとタイルが迎えてくれるラ・プティット・シュルプリーズ。人気店ゆえ、確実にカフェを楽しみたい場合は事前に予約してからどうぞ。窓辺に揺れる木洩れ日を眺めながら、小さな驚きを秘めたプリンをお楽しみください。
〒180-0002
東京都武蔵野市吉祥寺東町 4-10-11
西荻窪駅
〒180-0002
東京都武蔵野市吉祥寺東町 4-10-11
西荻窪駅
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※本記事内の情報は2022年10月02日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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