エシカルと出会う、沿線さんぽ vol.2鎌田安里紗さん~東京メトロ千代田線~

エシカル沿線さんぽ


SDGsへの関心が高まる中、最近よく耳にする「エシカル消費」という言葉。人や社会、地球環境に配慮した消費行動のことを意味します。

モノを使ったり食べたりすることだけでなく、生産工程や廃棄される過程までの“循環”を考えるって、実はけっこう楽しいことだし、心地よい暮らしのヒントにもなる。連載企画「エシカルと出会う、沿線さんぽ」は、著名人の沿線さんぽを通じて、そんなエシカル消費の楽しさを再発見していく企画です。

そしてエシカルなおでかけスポットだけでなく、エシカルな人とも“出会う”本企画。第2回目に登場するのは、モデルとして活躍しつつエシカルファッションを広める活動にも積極的に取り組む鎌田安里紗さん。一般社団法人を立ち上げたり、大学院の博士課程にも在籍している鎌田さんが、東京メトロ千代田線エリアを巡ります!


生産者とのつながりを重視する食料雑貨店「eatrip soil」へ

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やって来たのは表参道。そもそも鎌田さんの“エシカルの原点”とは?

鎌田さん(以下敬称略) : 17歳の頃、渋谷109のアパレルショップ店員とギャル雑誌のモデル業を掛け持ちしていました。ちょうど海外発のファストファッションブランドが流行り始めた時期で、低価格でトレンドの服が購入できるようになり、服の消費スピードが上がっているように感じました。気が付いたら、その風潮にちょっとした疑問を抱いている自分がいて・・・。

ファッションの楽しみ方について改めて考えてみたいと思い、洋服の“生産過程”を調べてみたところ、ファッション産業には、低賃金労働や環境負荷の高さなどの問題があることを知りました。そこからセミナーやワークショップに参加し、生産過程に関する知識を深めていきました。

現在コーヒーやチョコレートはフェアトレード認証の商品も増えていますが、服を選ぶときにも「自分の支払うお金は、誰に渡るのか」ということを意識するようにしています。


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今回訪れるのは「eatrip soil(イートリップ ソイル)」。表参道駅から徒歩5分の複合ビル「GYRE(ジャイル)」の4階にあるグロサリーショップ(食料雑貨店)で、オーナーを務めるのはeatripを主催する料理人の野村友里さんです。

鎌田 : 野村さんはレストラン経営やラジオパーソナリティなどの活動を通じて、食育やスローフード、食品ロス削減などに取り組んでいる方。そんな野村さんが選んだものなら間違いない!ということで、私も日ごろから通い詰めています(笑)。

「生産者とのつながりを重視」して商品をセレクトしている野村さんの考え方も、「自分の支払うお金は、誰に渡るのか」を基準にモノを選ぶという私の考え方と合致していて、このお店が好きな理由です!


都会のビル群を眺めながら土(=soil)にふれられる菜園

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早速エスカレーターに乗って「eatrip soil」のある4階へ。店内横にガラス戸を隔てて広がるのは、同店のコンセプトである“soil(土)”を象徴する菜園付きテラスです。

鎌田 : (ガラス戸を開け)わ~、土の匂いが広がりますね!景色も良くて、ベンチまであって、心地良い。ここではどんな作物を栽培しているんですか?


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店舗スタッフ・岡崎さん(以下敬称略) : 育てているのは、ピーマン、ブラックベリー、ブドウ、レモンなど。ミントやローズマリーといったハーブも充実しています。これらの作物は同じフロアにあるレストランの食材や、イベントで料理をふるまう際、さらには店内のディスプレイに使ったりしています。とくにハーブは、レストランのシェフがよく摘んでいきます。

鎌田 : 食材としても活きてるんですね。そしてこの木のベンチは・・・あ、コンポスト!

岡崎 : はい。ベンチとしても使えるこの木箱の中は、お店で出た生ごみを入れて、堆肥にするための処理を行っています。


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鎌田 : 土で育った作物を土に還し、その栄養で土を豊かにして、またおいしい作物を育てている、というわけですね。まさに土が食の“循環”を作っている。野村さんは、土を非常に大事にされていますよね。

岡崎 : はい。鎌田さんのおっしゃる通りで、野村はいつも「すべては土から生まれて土に還る。どうやったら循環の仕組みを社会全体に広められるのか」と話し、私たちも一緒に考えています。


“生産者が見える”食材やキッチンアイテムが400種類も!

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店内の棚には、eatrip soilが惚れ込んだ、食材やキッチンアイテムがズラリ。取り扱い商品はオープン時から比べるとどんどん増えていて、現在は400種類ほどあるそう。

商品の約半数は調味料で、他にもパンやお菓子、お茶、ハムやソーセージ、チーズなどの冷蔵品が。包装の簡素化を模索中ということで、この日はインゲンなどの生野菜が裸でザルに並べられていました。


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▲商品一つ一つに丁寧に手書きされたポップが。

岡崎 : 当店では「生産過程や生産者の思いを伝える」ことを大切にしているため、私たちも思いを込めて、商品一つ一つにポップを添えています。スタッフに声を掛けていただければ、より詳しいストーリーや活用法をお伝えすることもできますよ。


【エシカルアイテム①】菜園のブラックベリーで染めたエプロン

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鎌田 : ステキな商品が多くて悩んじゃいます。屋上菜園の話を聞いたばかりなのでまずは・・・菜園の作物を活用したアイテムって何かありますか?

岡崎 : 私たちスタッフが着用している「eatrip オリジナルエプロン」(16,170円)は、菜園のブラックベリーで染めているアイテムです。「パープル」や「ライトブルー」はブラックベリーから出た色なんですよ。菜園の作物だけでなく、恵比寿のコールドプレスジュース専門店「SUNSHINE JUICE(サンシャインジュース)」で出るビーツやジンジャー、ケールの搾りかすを利用して染めたものもあります。

鎌田 : あざやかだけど深みがあって、自然な色合いがキレイですね~。私もよく、汚れた服や着飽きた服を染め直して、アップサイクルを楽しんでいます。ボタニカルダイ(=草花や木、果実から作られる染料による染色方法)のアイテムは、染色に使われた植物を知ることでより愛着が湧くから好きなんです。


【エシカルアイテム②】地域活性化のために誕生したブドウ農園のワイン

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鎌田 : あ!このワインお気に入りの商品です!パッケージもかわいくて。

岡崎 : 「Orange Osmanthis 2019(白・発泡)」(宮城 Fattora AL FIORE/3,432円)は、全房のままプレスしたブドウの香りを可能な限り封じ込めたワインです。このワインを作っている農園は、耕作放棄と過疎化が進んでいる町ににぎわいを取り戻そうという思いから誕生しました。

鎌田 : へえー、そんな背景があったんですね。製造のこだわりや味はもちろんですが、生産地の背景が見えてくるストーリーも大きな魅力ですよね。


【エシカルアイテム③】食事を楽しむためのこだわりの器

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鎌田 : 食器やカトラリーもオススメがあれば知りたいです。

岡崎 : 「eatrip soil」では、器も販売しています。鎌田さんが手に取っているのは、静岡の陶芸家・二階堂明弘さんの器。食を大切にして欲しいという意味でも、食を楽しむのに欠かせない器を取り扱っているんです。

鎌田 : 色も形もシンプルだけど、見る角度によって微妙に色合いが違って見えるのと、鉄のような質感が独特ですね。持ちやすいし、料理が美味しく見えそう。


【その他エシカルアイテム】個性豊かな調味料に豊富なお菓子

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左から順に
・「タカタック一番搾りナンプラー」(兵庫 TANEto/1,600円)
・「Mellow Habanero 胡麻辣醤」(大阪 ターンムファーム/780円)
 白ゴマに山椒、花椒、八角、スモークハバネロを混ぜ込んだ辛みそ
・「畑のラー油」(高知 フルヤジオーガニックス /880円)

人気商品である餃子の皮(焼き餃子、水餃子各590円/邦栄堂製麺 鎌倉、写真右)を使った餃子と一緒にいただくのもオススメだそう。


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『きょうの猫村さん』を手掛ける漫画家・ほしよりこさんのイラストが目印の「こんちゃんマスタード」(hale 京都/1,420円)も人気商品の一つです。


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食料品だけでなく、お菓子も豊富。塩気のあるキューブ型のクッキーにキャラメルコーティングしたナッツを合わせた「キャラメルナッツクッキー」(VOSTOK labo 北海道根室/594円)などが販売されています。

鎌田 : VOSTOK laboのお菓子、大好きなんです!月に一度しか入荷しないので、めちゃくちゃラッキーです♪美味しすぎるので食べ過ぎないよう「1日2粒まで」と決めています(笑)。


最後に・・・個性的な店が連なる「キャットストリート」をよりみち散歩

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「eatrip soil」を後にして、渋谷と原宿をつなぐ「キャットストリート」をぶらり♪個性的なカフェや古着屋が並ぶ通りで、ゆるりとお散歩を楽しみながら、今回の取材を振り返ります。

鎌田 : お気に入りのお店を取材できてうれしかったです。他店では取り扱いのない商品が多く、改めて「eatrip soil」は出会いを楽しむお店なんだと感じました。

商品と出会い、商品を通じて生産者とも出会う・・・それを繰り返していると改めて、何気なく使ったり食べたりしていたものとの繋がりが深まって、日々の満足感が高まるな、と感じます。一つ一つの商品に生産背景や生産者のストーリーがあって、それを知るのも純粋に楽しいです。

千代田線は普段からよく使っていて、なじみのある沿線です。神聖な地である明治神宮や、皇居に近い日比谷など、良い「気」に満ちた街につながる沿線というイメージがあります。エシカルなお店もたくさんあるので、ここでは紹介し切れないくらい!ぜひ足を運んでみて欲しいです。


eatrip soil
所在地:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE. FOOD内
電話番号:03-6803-8620
最寄駅:表参道



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東京メトロ千代田線沿いには、ほかにもエシカルなお店がいっぱい。その中から鎌田さんに、とくに気になるお店を3つ選んでもらいました。途中下車して、ぜひ立ち寄ってみて。


1.【代々木公園駅】ヴィーガン対応のメニューが豊富/NEWPORT

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▲画像提供:NEWPORT

旬の食材を使ったヘルシーな野菜料理が人気のレストラン。メニューの9割以上がヴィーガンに対応しています。看板メニューは「ファラフェルプレート」(写真1,180円)。ファラフェルとは中東の料理で、ひよこ豆を使ったコロッケのようなもの。ピタで包みヨーグルトソースを掛け、たくさんの野菜と一緒にいただいて。

鎌田さんコメント
「ヴィーガンの人と一緒に気軽に食事を楽しめるところが気に入っていて、よく利用しています。ヴィーガン向けのメニューを置くお店は増えていますが、中でもここは選択肢が多いかと。野菜は季節によって変わるので飽きないし、ワインの種類も豊富、デザートも絶品です!」


NEWPORT
所在地:東京都渋谷区富ヶ谷1-6-8 モリービル1F
電話番号:03-5738-5564
最寄駅:代々木八幡/代々木公園



2.【日比谷駅】オーガニックコットンを長く扱う/SkinAware 東京ミッドタウン日比谷

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(C)SkinAware 東京ミッドタウン日比谷

2004年に誕生し、エシカルファッションの先駆けとなったライフスタイルプロダクトブランド。素材に使われるのは、農薬や化学肥料を3年以上使用しない土地で栽培されたオーガニックコットンです。

生地の染色には、新しい技術・ボタニカルダイを採用。植物由来の染料を使うので人体や環境に負荷がかからず、従来の草木染めに比べ発色も鮮やか。写真右はお守りの木として知られるログウッドで染めた「スリーピングウェア」(上20,900円、下19,800円)です。

鎌田さんコメント
「早くからフェアトレードや農薬・化学肥料の不使用、植物染料の使用に取り組んでいるブランドです。自然素材で肌触りの良いオーガニックコットンを身に着けられるうえに、正当な対価を支払うことで働く人たちの生活を守れる・・・と考えると、良いこと尽くめです」


SkinAware 東京ミッドタウン日比谷
所在地:東京都千代田区有楽町1-1-2 2F
電話番号:03-6206-1871
最寄駅:日比谷



3.【根津駅】古民家をリノベした老若男女の憩いの場/上野桜木あたり

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▲画像提供:上野桜木あたり

築80年の古民家をリノベした複合施設。3軒の建物を路地と庭で繋いだ空間に、塩とオリーブオイルの専門店やビアホールなど複数店舗が入っています。

古い建物を再活用している点、地域性を大切にしている点がエシカル。昭和レトロな空間で、2015年3月のオープン以来、近隣住民や観光客の憩いの場となっています。かつて茶室だった座敷で開かれる、ヨガや料理教室といったイベントも人気です。

鎌田さんコメント
「以前、谷根千エリアをサイクリングしたときに立ち寄りました。秘密基地みたいな雰囲気の楽しい場所で、老若男女が思い思いに過ごしていたのが印象的です。長く大切に使われてきたものにだけ宿る温かみが感じられました」


上野桜木あたり
所在地:東京都台東区上野桜木2-15-6
電話番号:店舗によって異なる
最寄駅:根津/千駄木



鎌田安里紗

「多様性のある健康的なファッション産業に」をビジョンに掲げる一般社団法人unistepsの共同代表をつとめ、衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響に目を向けることを促す企画を幅広く展開。種から綿を育てて服をつくる「服のたね」、衣食住やものづくりについて探究するオンラインコミュニティ「Little Life Lab」など。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程在籍。

[Twitter] @arisa_kamada
[Instagram] @arisa_kamada



取材・文/佐々木志野
撮影/土佐麻理子

※2021年8月18日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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