「銀座 鮨 おじま」の尾嶋琢広さんに聞く、カウンター寿司デートのハウツー

銀座 鮨 おじま

オトナ女子たるもの、彼との記念日は銀座でお寿司デートしたい! という方もいるのでは?

でも、カウンターの高級寿司店に行ったことがないからマナーもわからないし、お金も高そうでちょっと怖いな…というビギナーカップルのために、ライター河瀬が銀座の名店で寿司デートの作法を聞いてきました!



銀座 鮨 おじま

▲現在36歳の店主・尾嶋さん。その確かな腕から寿司激戦区の銀座でも有数の人気店として知られています。


お話を伺ったのは、「銀座 鮨 おじま」の店主、尾嶋 琢広さん。20歳で寿司の道に入り、31歳の若さで独立して同店をオープンしました。

今回はこちらのお店で、ランチの「特上握り」(2,500円)をいただきながら、お話を伺いたいと思います。



【作法1】香りには気をつけよう!香水やタバコの匂いプンプンはNG!

銀座 鮨 おじま

▲洗練された手さばきでネタに飾り包丁を入れていきます。


――こういったお客様は好ましくないな、というお客様などはいらっしゃいますか。

尾嶋:そうですね。例えば、香水をたくさんつけている方や、身体に染み付くくらいタバコの匂いがするようなお客様でしょうか。ご本人はもちろん、まわりのお客様も、お寿司の本来の味わいや香りを楽しんでいただけなくなるので、寿司屋としてはあまり好ましくないのが正直なところですね。


香りも、食事の重要な要素の一つです。自分自身はもちろん、他のお客様のお食事の邪魔にならないような配慮を心がけたいですね。



【作法2】一枚板のカウンターを傷つけないよう、腕時計やアクセサリーは外しておく

銀座 鮨 おじま

▲先付けは「白菜と薄揚げの煮浸し」。優しい味わいが、口の中を癒してくれます。


――逆に、こういうお客さんは好感度が高いな、というのはあるのでしょうか。

尾嶋:寿司屋のカウンターは一枚板なので、傷がつかないように腕時計やアクセサリーなどを外していただけるお客様はありがたいですね。


お寿司屋さんのカウンターで使われている一枚板はヒノキや杉など柔らかい材質のものが多く、少し擦っただけでも傷がつくこともあります。

この一枚板、とても高級なものが多いので、腕時計やアクセサリーは外しておくのがマナーですね。



【作法3】恥ずかしからず、わからないことは素直に聞いてOK

銀座 鮨 おじま

▲お次の料理は、とろける茶碗蒸し。出汁の効いたあんが、全体を優しく包みます。


――初めてのカウンター寿司デートだと、食事中もわからないことばかりだと思います。ご主人に質問するのが申し訳ない、恥ずかしいと思う、シャイな女性も多いかもしれませんが、実際どうでしょうか?

尾嶋:わからないことは素直に聞く方が、お連れの方から見ても好感度が高いのではないでしょうか。こちらも、わからないことはなんでも聞いていただいた方が嬉しいので、ぜひ聞いてください。


せっかくカウンターで、職人さんが目の前にいるのですから、会話を楽しみながら食事をするのも大人の嗜みの一つ。

プロの領域のことは、やっぱりプロに聞くのがベターですね。



【作法4】予算が限られている場合は、金額の目安を予約時に相談する

銀座 鮨 おじま

▲サワラの塩〆は、ほどよい食感とサワラ本来の甘味や旨味を堪能できます。


――銀座のお寿司というと、会計を見てびっくり・・・! なんてことがありそうで、怖くてなかなか足を運びづらいという方も少なくなさそうですよね。

尾嶋:確かにそうかもしれませんね。ただ、ご予約時に『いくらくらいで』など大体の予算をおっしゃっていただければ、そのようにお作りいたしますので、そんなに不安にならなくてもよろしいかと思います。


事前に、懐具合を相談できるのはありがたいですね。また、苦手な食材、アレルギーなどがある場合も、予約時にお伝えしておくのがスマートです。



【作法5】カウンターでは大声で喋ったり、イチャイチャするべからず!

銀座 鮨 おじま

▲こちらは、イサキの塩〆。肉厚な身に脂が乗っていて絶品です。


――カップルでデートをしていると、つい気づかないうちに盛り上がって声が大きくなったり、大声で笑ってしまったり、なんてこともありそうですよね。

尾嶋:カウンターというのは相席と同じことなので、他のお客様へのお気遣いは必要かと思います。


お酒が入ると、声が大きくなったりしがちなカップルは要注意! お寿司屋さん以外でももちろんですが、イチャイチャしたりするのもNGです。

また、電話がかかってきた際は、席を外して話すというのも、大人のマナーですね。



【作法6】ダイエット中や小食の女子は「シャリ少なめ」の注文もOK

銀座 鮨 おじま

▲サヨリの繊細な隠し包丁が美しいですね・・・。あっさりとした味わいながらも旨味を感じることができます。


――最近は、ダイエット中の人を中心に糖質制限が流行っていますが、例えばシャリを少なめに・・・なんてワガママも聞いていただけたりするんでしょうか。

尾嶋:もちろんです! お腹の満腹具合によっても、シャリの量は調整させていただきます。我々としては、お客様にいろいろなネタを楽しんでいただきたいですからね。


高級店だと、そんなわがままも聞いていただけないのかと思っていましたが、小食な女性やダイエット中の方でも安心して食べられますね。



【作法7】どんなお酒が合うかわからない場合は、お店で相談してみる

銀座 鮨 おじま

▲ぶりトロは濃厚な脂の旨味に加え、ほどよく締まった身も楽しめる、なんともバランスのいい味わい。鼻から抜ける瞬間の香りすら美味しい!


――お寿司と合わせるなら、やっぱり日本酒や焼酎などがいいのでしょうか?

尾嶋:そんなこともないですよ。その時のお料理に合わせて欲しいなど、お好みを言っていただければ、こちらからご提案することもできます。もちろんノンアルコールドリンクもございますので、お酒が飲めない方も遠慮なくお伝えください。


食事に合わせて選んでいただけるなら、デートだからと格好つけてお酒のリストをもらったけれど、途方に暮れる・・・なんて悲しい経験もしなくてすみますね!

やはり、わからないことは素直に聞くべし!ということです。



銀座 鮨 おじま

▲イワシの締め具合も最高です。美しく重なる層が、目にも楽しいですね。


銀座 鮨 おじま

▲口に含んだ瞬間の鯖の芳醇な香りと、甘い脂にノックアウト寸前。少し硬めのシャリによく合います。



【作法8】写真を撮影する際は声をかける(撮影NGなお店もあるので注意)

銀座 鮨 おじま

▲ランチ価格では赤字という、大間のマグロ! 絶妙な酸味と甘みを楽しむことができます。


――マグロのフォトジェニックさが素敵すぎますが、お寿司の写真などは撮影しても良いのでしょうか?

尾嶋:はい、撮る前にお声をかけていただければ、もちろんOKです!


ただし、写真を撮るのに時間をかけてしまっては、美味しいお寿司が台無しになってしまいますので、撮ったらすぐに食べるのがマナーですよ!



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▲一粒一粒が弾けた瞬間、ねっとりと濃厚な味わいを醸し出すいくら。


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▲とろける味わいの極上のうに。幸せの象徴は今後、四葉のクローバーからうにに変更したらいいと思います。


銀座 鮨 おじま

▲巻物はひもきゅうに、鉄火、かんぴょうと豪華に3種類も!


銀座 鮨 おじま

▲4時間ゆっくり火入れすることでふんわり、ジュワッとジューシーな出汁の旨味を楽しめる玉子。



【作法9】何はともあれ、ゆっくりと食事や空間を楽しむべし

銀座 鮨 おじま

▲最後に赤だしをいただき、ランチの特上握りは終了です!


この満足感で2,500円とは、驚きのコストパフォーマンス! ネタは夜と変わらない、上質なものを出しているのだとか。夜の予算は1万円程度~なので、そのお得さがよくわかります!夜は少し敷居が高いかな…という初心者カップルは、まずはランチから試してみてもいいかもしれませんね。


――本当に最高に美味しいランチでした!ごちそうさまです!

尾嶋:やはり食事は、楽しんでいただくのが第一です。寿司職人としては、握りたてのお寿司を食べた時の美味しさや、感動を味わっていただけるのが一番嬉しいものです。その時期の美味しいネタを、くつろげる空間で素敵な会話をしながら、ぜひ堪能してみてください。



銀座 鮨 おじま
住所:東京都中央区銀座6-6-19 新太炉ビルB2F
TEL: 03-6228-5957
営業時間:11:30~14:00(LO)、18:00~22:30(LO)
定休日:日曜
最寄り駅:銀座



<まとめ>


【作法1】香りには気をつけよう!香水やタバコの匂いプンプンはNG!

【作法2】一枚板のカウンターを傷つけないよう、腕時計やアクセサリーは外しておく

【作法3】恥ずかしからず、わからないことは素直に聞いてOK

【作法4】予算が限られている場合は、金額の目安を予約時に相談する

【作法5】カウンターで大声で喋ったり、イチャイチャするべからず!

【作法6】ダイエット中や小食の女子は「シャリ少なめ」の注文もOK

【作法7】どんなお酒が合うかわからない場合は、お店で相談してみる

【作法8】写真を撮影する際は声をかける(撮影NGなお店もあるので注意)

【作法9】何はともあれ、ゆっくりと食事や空間を楽しむべし


マナーやお作法も、もちろん大切ですが、何より食事や空間、会話を楽しんでこそのデート。難しく考えすぎてガチガチになってしまったらせっかくのデートも楽しめませんよね。

少しの失敗も、後になるといい思い出になったりもするものです。ぜひ二人の記念日には、カウンター寿司デートを楽しんでみてはいかがでしょうか。



河瀬璃菜さん

★取材・執筆
河瀬璃菜 りな助(料理研究家・フードコーディネーター)

1988年5月8日生まれ。福岡県出身。フードクリエイティブファクトリー所属

料理好きな母のもとで育ち、食に携わる仕事に就きたいという思いを自然と持つようになりました。両親が共働きで常に忙しくしていましたが、食卓を囲み食事を一緒に食べることで自然と会話が生まれ、どんなに忙しくてもコミュニケーションを大切にすることができました。そんな経験から、食卓でのコミュニケーションは大変重要で気づきの多いものだと私は思っています。「食を通して大切な人との暮らしをもっと楽しく」という意図に基づき、レシピ開発や料理教室講師、イベント企画運営、メディア出演、コラム執筆、執筆プロデュースなど、食に関わる様々な活動をさせていただいています。2014年7月よりフードクリエイティブファクトリーの執筆プロデューサーに就任し、月間40本の記事をプロデュースしています。

著書「ジャーではじめるデトックスウォーター」「決定版節約冷凍レシピ」「発酵いらずのちぎりパン」

Blog: http://lineblog.me/linakawase/
http://foodcreativefactory.com/ Twitter:https://twitter.com/linasuke0508

※2016年12月20日時点の情報です。お店の情報、内容等は変更になる場合があります。




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