茶トラの看板ネコ、サブちゃん(約6歳、オス)。第一印象は、カラダ大きい!けど、顔が小さい。鼻筋が通ったライオンっぽい横顔と、ピンと立った長い耳が特徴。オシキャットという種の血が混ざっているらしい。お店は、「甘露七福神」。

▲正面から見ると、耳の長さが際立つ。ハーネスを装着していると幼く見えてかわいい

▲正面から見ると、耳の長さが際立つ。ハーネスを装着していると幼く見えてかわいい

「お腹が大きいから、子供がいると思われることもあるけど、メタボだからダイエット中なんだよねぇ。」と店主の田中さん。お腹を下にくっつけてイスを2つ使って横たわっている様子を見ると、安心しきっているからか、何とも言えない幸福感で癒される。

▲赤ちゃんのような、おじさんのようなお腹ぽっこりの安定感。寝起きの不機嫌顔が最高

▲赤ちゃんのような、おじさんのようなお腹ぽっこりの安定感。寝起きの不機嫌顔が最高

サブちゃんがこのお店に現れたのは、寒い冬の日。3歳ぐらいのガリガリの姿で、お店の中を覗いたところを保護されて、その後すぐに入院していた。そんな子が、3年間で、こんなにまるまる、文字通りの幸せ太り。田中さんに出会えて、本当によかったね。

▲巣鴨の路地裏。ムシムシ暑い夕方、氷旗が夏の訪れを伝える

▲巣鴨の路地裏。ムシムシ暑い夕方、氷旗が夏の訪れを伝える

店主の田中さんはこれまでに、15匹以上のネコを飼ったことのある大のネコ好き。近くで保護したネコを、お客さんが引き取ってくれたこともあるという。この周辺は、お寺が多いからか「拾ってもらえますようにと、その近くに捨てて行く人が多いんじゃないか」と田中さん。

▲お店の外をじっと見つめるサブちゃん、外へ行きたいとアピール

▲お店の外をじっと見つめるサブちゃん、外へ行きたいとアピール

野良ネコが産んだ子供も増えていて、お店の周りでも縄張り争いがある。たとえ仏様のお膝元であっても捨てられたネコたちにとっては、生きていくのに厳しい環境に置かれてしまうことに変わりはない。田中さんとサブのような幸運な出会いばかりがあるわけではないのだ。

▲ここか、ここがいいのか? ネコとのコミュニケーションには、目線を合わせるのが一番。ゆえに床に這いつくばることも厭わない。もちろんTPOはわきまえて、お店に迷惑にならない配慮も

▲ここか、ここがいいのか? ネコとのコミュニケーションには、目線を合わせるのが一番。ゆえに床に這いつくばることも厭わない。もちろんTPOはわきまえて、お店に迷惑にならない配慮も

以前、サブちゃんが「猫旅ロマン」という番組に出演したときの録画を見せていただいた。「この取材のとき、サブちゃんが今までで一番良かったって言われたんですよ〜」と自慢げに話す奥さんがすごく嬉しそう。

▲サブちゃんが取材された「猫旅ロマン」。弟分のクロちゃんの面倒をみるサブちゃん

▲サブちゃんが取材された「猫旅ロマン」。弟分のクロちゃんの面倒をみるサブちゃん

散歩をしながら、他のネコたちとふれあいながらご近所付き合いも築いているようで、「外でいじめられているネコがいたら、飛んで行って助けてあげる兄貴分なんです」と田中さんは誇らしげに語る。

▲一心不乱に爪を研ぐサブちゃん

▲一心不乱に爪を研ぐサブちゃん

よくお店に遊びにくるご近所さんで、クロちゃんという小柄な黒猫は、サブちゃんのことが大好きでいつもついて回っていたり、チビと呼ばれる茶トラは、13歳のオスなのに、サブちゃんのことを兄貴のように頼って慕っていたり。最近は、ハクビシンに追われるクロちゃんを助けに入るなど、サブちゃんは、この界隈を守るまさに親分的な存在なのだ。

▲普段は温和な性格なのに、やるときはやる男気溢れるさぶちゃんの幸せそうな寝顔。うぅアゴの下に指を突っ込みたい…

▲普段は温和な性格なのに、やるときはやる男気溢れるさぶちゃんの幸せそうな寝顔。うぅアゴの下に指を突っ込みたい…

▲サブ兄を慕ってお店によく来る外ネコたちにも、田中さんは、エサや寝床を用意してあげている。

▲サブ兄を慕ってお店によく来る外ネコたちにも、田中さんは、エサや寝床を用意してあげている。

番組でも紹介されていたが、サブちゃんは毎朝、田中さんと一緒に自宅から出勤している。日中は、お店にいる時は定位置になっている奥のイスで、のんびりしているときもあれば、散歩に出ていることも多い。サブちゃんに会いたいなら、外回りから帰ってくる夕方の時間帯に来店するのが狙い目だ。

▲長いねえ、太いねえ、口が半開きでかわいいねえ

▲長いねえ、太いねえ、口が半開きでかわいいねえ

自宅で6匹もネコを飼っている田中さんがお店に連れてくるのはサブだけ。「この子はどんなネコとも人とも相性が良いんです。子供だけはちょっと苦手かな。でもお店の食べ物に手を出したりしないし、大人しくていい子なんです。」

▲ご飯待ち。さっき食べたよね?え?なんだって?

▲ご飯待ち。さっき食べたよね?え?なんだって?

このお店の看板メニュー「塩あんみつ」を頂いた。この“マクロビオティック”あんみつ、非動物性、有機の食材を使用し、すべて手作りしている。黒砂糖ではなく甜菜糖の蜜が程よい甘みと、塩味の効いたあんこがすっきりとしていて、豆乳のアイスものって、暑い日にもピッタリだ。人もネコも、健康第一だからね、とサブちゃんのお腹をさする田中さん。

▲おすすめの塩あんみつ。クコの実の彩りがキレイ。豆乳アイスは抹茶とバニラから選べる

▲おすすめの塩あんみつ。クコの実の彩りがキレイ。豆乳アイスは抹茶とバニラから選べる

▲白玉ぜんざいも。やさしい甘さ

▲白玉ぜんざいも。やさしい甘さ

これまで巣鴨という地はあまり馴染みがなかったが、なんだかとても親しみやすくて、地元のひと(ネコ)に仲間入りしたような気分だった。

▲お見送りしてくれました。兄貴分でも、お母さんには甘えん坊

▲お見送りしてくれました。兄貴分でも、お母さんには甘えん坊

石井芳征(ネコ偏愛者/クリエイティブディレクター/Cat’s Whiskers編集長)

甘露七福神

住所:東京都豊島区巣鴨3-37-5

最寄り駅:巣鴨駅

本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2016年07月21日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
※本記事中の金額表示は、税抜表記のないものはすべて税込です。