NEWoManに上陸! 世界がうらやむ、ジャニス・ウォンのデザートバー。
目の前に運ばれたプレートは、もはやアート。しかもジャニス ウォンさんのデザートには、おいしい驚きが散りばめられている。
2007年にはデザートとお酒を深夜まで楽しめるデザートバー「2am:dessertbar」をシンガポールにオープンさせたジャニスさん。ずば抜けたクリエイティビティは瞬く間に人々を虜にしてしまった。今やN.Y、オーストラリアをはじめ、その活躍はワールドワイド。
そしてついにこの春、新宿にデザートバー、『JANICE WONG』がオープン! 連日スイーツファンが行列をなし、名だたる日本のパティシエ、シェフたちもこぞって訪れてと、話題をさらっている。
キッチンとカウンター席が一体化したライブキッチンは臨場感たっぷり! オーダーすると目の前で自分のためのデザートが、見事な手仕事で作られていく。
景色や文化、食材からインスピレーションを受けるというジャニスさん。彼女が度々訪れた、京都の景色もお皿の上に!
『京都庭園(1,500円。以下すべて税別)』に映し出されたのは、春の枯山水の庭。
ゴツゴツしたアーモンドチョコに覆われたオレンジブロッサムアイスの岩。その根元には、アプリコットが色彩を添えている。
緑萌えるピスタチオのパルフェに散る食用菊も、刻んだ日向夏のオレンジ色も鮮やかだ。
大胆に描かれたミョウガガナッシュの砂紋の流れに渡したのは、エディブルフラワーを閉じ込めたゼリーの飛石。
ジャニスさんが見つめる京都は、静謐と華やぎに彩られ、なんて美しいんだろう!
けれどこのデザートに何より引き込まれるのは口にしたその時。オレンジブロッサムのフローラルな香りとキュンと甘酸っぱいフルーツ。そこに潜んだわずかなミョウガの風味が、ほかにない調和を呼び起こす。
「ミョウガ自体、クセがあり好き嫌い分かれると思うのですが、ほんの少しきかせることで、アフターフレーバーがぐっと印象的になるんです」。
ジャニスさんはその感性で、ミョウガのクセだってデザートの華やかなフレーバーを引き立てるエッセンスにしてしまうのだ。
日本の光景を切り取ったデザートはほかにも。「カシスプラム」(1950円)は、表参道に舞い散る桜をヒントに生まれたひと皿。ひんやりしたカシスのボールの中にふわふわのエルダーフラワーヨーグルトが満たされ、食べ進めるごとにさまざまな食感が現れる。
和が息づくのはデザインだけでなく、ここにもまた和食材が使われている。散りばめた小さな茶色いキューブの正体は、なんとたけのこ! しかもみりんや醤油で甘辛く味付けしていて、デザートのアクセントにも箸休めにもいい。
実は5年前からしばしば日本を訪れていたというジャニスさん。ほかにも酒粕、きな粉、山椒など、個性派和食材も難なく使いこなしている。そうしたいかにも日本的なもののほかも、使われるのは富士の水や、北海道の乳製品、それに日本各地の果物など、選び抜いた日本の食材。
「日本にはフレッシュな食材が多いですね!」、そう目を輝かせるジャニスさん。聞けばシンガポールは、農作物はあまり豊かでないのだとか。パッション溢れる彼女の食材へのまっすぐな興味が、新しいクリエーションを生むことも少なくない。
例えばこちらは「ミソ マスタード」(1,400円)。熊本産赤味噌とキャラメルのババロアの旨みに満ちたビターさ、マスタードをきかせた薄いメレンゲとジュレの辛味に、レモンピール入りフォームと柚子アイスの酸味…料理ならまだしもお菓子でこの組み合わせ、ちょっと想像がつかない。
けれど、マスタードの酸味と辛味がインパクトありつつも、すっと味噌キャラメルの味わい深めるアクセントになっている! これって日本人でも、いや日本人だから思いつかないかもしれない新発見。
ストロベリーカプレーゼ(1,800円)は、日本限定の最新作。イチゴ(生のとシャンパンビネガーにつけた口当たりも味わいも違うものを織り交ぜて)、イチゴアイス、タイベリーのゼリー、桜風味のタピオカの層に寄り添う、トンカ豆香るプラータチーズのパウダー。そこにイチゴのコンソメ(ソース)をかけていただけば、甘酸っぱくフローラルな香りが広がり、口の中いっぱいに春が弾ける!
甘さをすっと締めていくシャルトリューズ(ハーブリキュール)の香りも手伝って、なんだかとても清々しい。ジャニスさんが「これ、毎日食べたいくらい」というのもわかるかも。
ちなみに、この写真で添えられている飲み物は滋賀の日本酒、「七本槍」。こちらにはバーテンダーもいて、それぞれのデザートとお酒のペアリングも提案してくれる(メニューにも書かれています)。
こういうのってよそではワインを合わせがちだけど、『JANICE WONG』では日本酒がダントツに多い。なるべく日本のものを使いたい、というジャニスさんの思いももちろんあるのだけど、そもそも日本酒は酸味がまろやかでいて甘みがあるので、意外とデザートに合うんだそう。
店内に飾られた花見をテーマにしたアクリル画もジャニスさんの作。実は彼女、シェフでありながらアーティストでもあるのだ。
チョコレートやゼリーで絵を描いたり、飴でオブジェを作ったり、食とアートを融合したedible art(食べられるアート)の活動は世界で脚光を浴びていて、ファッションやコスメのラグジュアリーブランドとのショーのコラボレーションも数知れない。
並外れた感性と探究心に満ちたジャニスさんのお皿はどれも、ハッとするおいしい発見がいくつも潜んでいて、ひと口ごとに心が踊る。この体験、ヤミツキになりそうです。
text / chico photo / Kayoko Aoki
※こちらのお店は閉店しました。
- JANICE WONG(ジャニス ウォン)
- 住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-55 NEWoMan SHINJUKU 2F エキソト
最寄り駅:新宿
まだある!新宿エリアの注目スイーツショップ
2015年からパスカル シャルデラ氏がエグゼクティブ ペストリーシェフに。彼のお菓子は軽やかさが身上で、「チョコレートとシトラスのトリュフ」(税込680円)も数種の柑橘とショウガ、シナモンが香り、ホワイトチョコベースながらなんともすっきり。
- パーク ハイアット 東京 ペストリー ブティック
- 東京都新宿区西新宿3-7-1 2F
最寄り駅:新宿、都庁前、初台
『ラデュレ』などで活躍したユーグ・プジェシェフ率いる、パリのパティスリー&ショコラトリー。「カルネ・シ・スフェール」(6個入り税込3,078円)はパリっとしたショコラの中からキャラメルがとろ〜り溢れる逸品。手帖みたいなボックスもシック。
- HUGO & VICTOR(ユーゴ&ヴィクトール) 伊勢丹新宿店
- 住所:東京都新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿本館B1
最寄り駅:新宿、新宿三丁目
恵比寿発の人気レストランが新しい東京土産を発信するブティックを始動。木下威征シェフのお菓子は遊び心たっぷり。解凍・冷凍の2通りで楽しめる「とうもろこしのムースサンド」は、レストランのスペシャリテから生まれただけあり、お酒とも好相性。
- AU GAMIN DE TOKIO(オー・ギャマン・ド・トキオ)
- 住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-55 NEWoMan 新宿2F エキナカ
最寄り駅:新宿
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※本記事内の情報は2016年04月28日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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